コンセプトカーとの違いはどこに?
大型サルーンのスポーツモデルというジャンルは、ここ数年で急速に市場が拡大している。メルセデス・ベンツはこの分野でも老舗だが、近年はスポーツ指向を前面に打ち出した「ポルシェ・パナメーラ」の台頭や、リディキュラスな加速で幅を利かせる「テスラ・モデルS」などによる下克上の動きが目立つ。そんなバックグラウンドがあるから、その対抗策として絶好調な「AMG GT」に4ドアサルーン版が投入されるのは当然の流れといえるだろう。
すでにかなり完成形と見える4ドア(厳密にはサルーンでなくハッチバックだが)のコンセプトはジュネーブショーで公開されているが、今回のスクープはその市販バージョンのテスト車ということになる。カモフラージュに隠されてはいるが、造形的にはジュネーブでも好評だったコンセプト車にかなり忠実。ただしルーフやウインドー周りはショーカーのように極限のフラッシュサーフェス化がされてはおらず、従来通りの量産手法で実用的な妥協はされている。
側面から見るウインドーグラフィックはAMG GTの手法と「CLSシューティングブレーク」で見せた“上弦の月”スタイルの融合という練れた形。まぁ2ドアのAMG GTのウインドーグラフィックを単に横長にしただけだとパナメーラに似てしまうので、これはメルセデスらしい造形とするための工夫なのだろうか。ともあれ、スクープ写真ではウインドー枠まで偽装されていることから、まだ最終案は見せたくない様子である。
フロントマスクはAMG GT同様の前傾グリルとスプリッターの効いた大開口バンパーが特徴のはずだが、これもまだヘビーな偽装の下。リアエンドはコンセプト車ではセンター排気と深いディフューザーが話題になったが、このスクープ車では通常の左右出しエキゾーストになっている。これはおそらくハイブリッドを意識したレイアウトで、かさばる大容量バッテリーと燃料タンク、サイレンサーのスペースをやりくりする中で決まったのだろう。
このAMG GTサルーンのハイエンドモデルはハイブリッド、それも既存のSクラス等とは明確にキャラクターの異なるパフォーマンス指向の電動機能を与えられたものになるといわれている。ライバルに先んじて4.0リッターV型8気筒ツインターボとモーターを組み合わせる総合出力は、ジュネーブでの発表によればオーバー800ps、0-100km/h加速3秒以下というクラスの王座を狙うスペックだ。
2019年モデルとしてデビューする際に揃うパワートレインとしては、先に述べたV8のほか、新しい直列6気筒の48Vマイルドハイブリッド仕様も追加される模様。メルセデスの新世代直6、そのAMG版のテイストがどうなるかが楽しみだ。またスクープ画像では、フロント左右のコーナー部とリアバンパー左右にカバーに覆われた部品が配置されているようだが、これはその位置や発売時期から推測すると、おそらく高性能光レーダー「LIDER」を搭載しているのだろう。
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Text:Makoto TAKEHIRA Photo:Apollo News Service
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