これは大きいの? 小さいの?
8月にアメリカ・カリフォルニア州のモントレーで開催された「モントレー・カーウィーク」。そこではオークションやクラシックカーレースなど、さまざまな旧車に関するイベントが開かれるのだが、特に有名なのがペブルビーチで行なわれる品評会「コンクール・デレガンス」だろう。だが最近はクラシックカーだけでなく、そこに集まる富裕層コレクターに向け、自動車メーカーがさまざまなニューモデルやコンセプトカーを披露するようになっている。そこで今回メルセデス・ベンツが発表したのが、この「ビジョン・メルセデス・マイバッハ6」だ。ご存じの方も多いだろうが、「マイバッハ」はメルセデス・ベンツのさらに上をゆく、ダイムラーの高級ブランドの名称である。
そのマイバッハ6がパリサロンの会場にも展示されていたのだが、これがまぁ、なんともスゴいカタチをしていて驚いた。サイズは全長5700×全幅2100mmだから、もし市販化された暁にはライバルとなるであろう、ロールス・ロイスのファントム・クーペとだいたい同じくらいの大きさなのだが、ロールスの全高が1600 mmあるのに対してマイバッハ6はたった1328mmしかない。つまり20cm以上も低いわけで、とにかく平べったく、見たことのないカタチをしているのだ。私の場合、直感的にアタマがこれをクルマと認識しなかったほど。ちなみに名前の「6」には、全長6m級という意味が込められている。
しかも最近のメルセデスデザインの法則に則り、フロントマスクが巨大なのに対してテールがスッと尻つぼみになっている。以前メルセデスのデザイナーに聞いたのだが、これは空力的に有利なティアドロップ形状を狙ったもの。しかもボディサイドを大きく抉ってシェイプしているから、見る角度によってサイズ感が大きく異なる。前からだと巨大に見え、サイドからはとにかく長く、リアに回るとコンパクト。うーん、コレは大きいのか、小さいのか? カッコいいのか、悪いのか???
古典的なロングノーズ&ショーデッキのプロポーションを持つマイバッハ6だが、実は駆動を750ps(550kW)を発生する電気モーターによって行ない、バッテリーを床下に配置するピュアEV(電気自動車)。0-100km/h加速は4秒未満、リミッターで制限される最高速度は250km/hと発表されている。また航続可能距離は500km以上を実現しているとのこと。ちなみにガルウイングドアを持つが、会場では開けている姿を見ることはできなかった。
もちろんこれはデザインコンセプトであり、メルセデス・マイバッハの今後の方向性を示唆する極端な例なのだろうが、現行のラインナップがメルセデス・ベンツの派生モデルの域を出ていないだけに、オリジナルモデルの開発宣言と考えることもできそう。あれこれ想像ししつつ、会場で撮った画像をお楽しみいただきたい。
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Text & Photo:Naohide ICHIHARA(Editor in Chief)
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