美しい国を、愛しいクルマで
FILE.04 長野県 塩の道(千国街道) 編
全国のヤナセから試乗車を借り、おすすめドライブコースを紹介する本企画。今回のテーマは「塩の道」。こう呼ばれる街道は全国に数あれど、「敵に塩を送る」の舞台となった、千国街道はもっとも有名なもののひとつ。新潟県糸魚川市から長野県松本市まで、北アルプスを望むおよそ110㎞。ヤナセ松本支店でお借りした、メルセデス・ベンツGLCでドライブする。
日本の原風景が時代を超えて
戦国時代、信濃を治める武田信玄が南の今川/北条から「塩止め(=経済封鎖)」を受けた際、越後の上杉謙信が武士道に反すると憤慨、北から塩を送ったというエピソードがある。これが「敵に塩を送る」の語源だが、その舞台になったのが千国街道。かつて歩荷や荷牛が山海の幸を背負い、一歩一歩を踏みしめた道は、北アルプスを望みながら史跡探索を楽しみつつ、のんびり往きたいドライブコースだ。
白と黒のコントラストが美しい松本城に見送られながら出発し、国道19号を北上。すぐに国道147号との交差点が現れるのでそこを左折。梓川を越えればもう、20分ほどで安曇野だ。国道沿いには民家や商店が建ち並んでいるのだが、寄り道を決め込んでステアリングを切れば、すぐに期待通りの田園風景がフロントウインドー越しに広がる。四方を山に取り囲まれた、見渡す限りの美しい水田。安曇野には多くの美術館や博物館、そして蕎麦の名店がある。これらを目指せば、自然と懐かしい里山の風景に出会えるはずだ。
さらに1時間ほど走ると、かつて荷の中継地として栄えた大町にたどり着く。ここで国道は147号から148号へと切り替わるのだが、道は左へ、右へ、そしてまた左へと不自然に曲がっている。ここでピンと来る方は鋭い。道路標識が「糸魚川」と示すルートはバイパスなのだ。そんな時はまっすぐに進むと思わぬ景色に出会えることが多い。案の定、そこにも間口の狭い、江戸時代の面影を強く残す町屋がたくさん並んでいた。
市街地を抜けると「仁科三湖」として知られる木崎湖、中綱湖、青木湖が立て続けに現れる。快適な新道は三湖の東側を走っており、そこでは塩の道きっての爽快なドライブを楽しめるが、古道は対照的に森深く薄暗い西側を通っている。その青木湖の北にある佐野坂峠は難所として知られており、そこではいまでも三十三体の観音像が、守り神として、道標として、旅人の往来をひっそりと見守っている。
白馬村では神々しいほどに美しい北アルプスを仰ぎ、小谷村では番所が置かれ、街道の名前の由来にもなった旧千国宿で往時に思いを馳せる。ここからは一気に山深くなり、国道はいくつもの長いトンネルの中を行くように。ようやく視界が開けたら、ついにそこが糸魚川だ。
でも、海岸にクルマを停め、潮の匂いを嗅いだらなんだかすごくホッとしたのは、やはり人間が海から陸に上がって進化をしてきた生物だからなのだろうか。
塩の道(千国街道)~旅の風景
今回試乗車をお借りしたお店
ヤナセ松本支店
(メルセデス・ベンツ松本)
〒399-0002 長野県松本市芳野17-20
TEL:0263-24-3611
趣味はなんと蕎麦の手打ち!
蕎麦を通じたコシの強いおつきあいを
ヤナセ松本支店の名物スタッフ、メルセデス・ベンツ国際認定セールスの小林 薫さんは、先輩に教わったことがきっかけで蕎麦打ちに熱中。「製粉屋さんで蕎麦粉を買い、小麦2蕎麦8の割合でこねるんです。これが『二八蕎麦』。いずれは十割に挑戦したいですね」。家庭菜園で蕎麦を育てている方も多く、お客様に譲ってもらい、蕎麦を打ってお返しすることも。最近は趣味の話が周囲に知れ渡り、年末は蕎麦屋さん並みに忙しいとか……。