カーボンパーツを多用して最大50kgの重量削減も
2月17日、ジャガーは「FタイプSVR」の詳報を公開した。3月のジュネーブ・モーターショーでのワールドプレミアに先駆け、英国ではクーペが11万ポンド(約1785万円)、コンバーチブルが11万5485ポンド(約1875万円)の価格で本日より受注も開始される。
1月末には「最高速は200mph(約322km/h)」という動力性能値だけが告知されていた5.0リッターV8スーパーチャージドエンジンは、FタイプR比で25ps(18kW)/20Nm上乗せされ、最高出力が575ps(423kW)、最大トルクが700Nmと判明した。なお、駆動方式は4輪駆動のAWDのみ、トランスミッションはクイックシフト8速ATのみとなる。
外観上におけるSVRの識別点は、スプリッター付きのフロントバンパー、カーボンファイバー製アクティブリアウイング、フロントフェンダーのスリットなど。専用の20インチ鍛造アルミホイールにはFタイプRよりも前後とも1サイズずつ幅広い、前265/35ZR20+後305/30ZR20タイヤが装着されている。また、よく見れば出口形状が異なる排気マフラーはアクティブバルブ付きのチタン&インコネル(ニッケルをベースとした合金)製で、標準品より16kgも軽量だ。
300km/h超の最高速度を実現すべく、細かな空力対策も実施されている。両サイドのインテークを拡大して全幅が広げられたフロントバンパーは、可能な限りフロントタイヤを隠して空気抵抗を減らすためだ。もちろんフロア下はフラット化されている。可変式のリアウイングは、通常状態だと空気抵抗係数を7.5%、揚力係数を45%低減。クーペでは70mph(113km/h)、コンバーチブルでは60mph(97km/h)に到達して角度を増した状態では、同じく角度を増すリアスポイラーを備えるFタイプRよりも、それぞれ2.5%と15%低減されるとのことだ。
加速性能では、0-97km/h加速が3.5秒でFタイプR AWDより0.6秒も短縮されているが、これには25kgの軽量化も貢献しているだろう。さらに、オプション設定される前380mm/後376mmから前398mm/後380mmに拡大される大径カーボンセラミックディスク+前6/後4ピストンモノブロックキャリパーのブレーキシステム(これだけで21kgの削減)や、カーボンファイバー製ルーフパネルを含むカーボンファイバーパックを選択すれば、合計50kgの重量削減となる。
車内では、SVRのロゴがエンボス加工されたキルトパターンのパフォーマンスシート、スウェードでカバーされたメータークラスターやセンターコンソール上部などが目を引く。ハイパフォーマンスデルであってもマルチメディア系は省略されたりはしておらず、メリディアン製オーディオや8インチタッチスクリーンのナビゲーションシステムは健在である。
日本への正式導入については今のところ不明だが、英国価格から日本での販売価格を予想すると、クーペが1700万円台中盤、コンバーチブルが1900万円前後になりそうだ。レンジローバースポーツではSVRモデルが日本にも正式導入されているだけに、ジャガーにも期待したい。