世界に1台だけの「スペクター ルナフレア」は、絹雲の中の氷の粒子を通して光が屈折する”月の後光”にインスパイアされた一台
「ほかの依頼で目にした素材や仕上げ、テーマからインスピレーションを得ることも多いのです。『スペクター ルナフレア』はその完璧な例で、月の光輪の幽玄な美しさを追求し、別のビスポーク・カーの塗装仕上げを目の当たりにしたクライアントが閃いたものです。
この共生関係とアイデアの相互受粉は、イノベーションと創造性の”好循環”を育んでいます。これは、私たちのビスポーク・デザイナーチームにとって非常に重要なことで、私たちは、私たちにビジョンを託してくださる方々に比類ない価値を提供することに集中しています」と、ロールスロイス・モーターカーズのビスポーク・デザイン責任者、マルティナ・シュタルケ氏は語る。
ロールスロイス・モーターカーズは、息をのむような一台「スペクター・ルナフレア (Spectre Lunaflair)」を発表した。この画期的なモーターカーの特別で絶妙なハイライトは、魅惑的な「虹」効果を生み出す驚くべきホログラフィック塗装仕上げだ。
この依頼は、月の周りに色とりどりの光の輪が現れる光学現象「月光」からインスピレーションを得て名付けられた。この現象は、月光が高高度の巻層雲に含まれる氷の結晶を通過することによって引き起こされ、氷の結晶は微小なプリズムとして機能する。
この現象をビスポーク塗装で表現するには、1年以上の実験が必要だった。クライアントのコンセプトを満たすために、塗料の化学的性質、塗布のタイミング、ベースコートを徹底的に試したという。
最終的な仕上げは、フッ化マグネシウムとアルミニウムの細かいフレークを混ぜ込んだ特別調合の真珠光沢コートを含む7層のラッカーを塗布することで達成される。これにより、低光の下では深いメタリック効果が生まれ、明るい太陽の下では虹色のテクニカラーとなる。
【写真7枚】ルナフレア塗装の開発には要したのは、なんと1年!
スペクター ルナフレアコンセプトの一部は、ビスポークのもうひとつの傑作である1台限りの「ファントム シントピア」にインスパイアされている。2023年に発表されたこのモデルは、色が移り変わる鏡のような顔料を配合した、ダークな虹色のリキッド・ノワール仕上げが特徴だ。
ファントム シントピアの外観に魅了された依頼主は、ビスポーク・コレクティブに、月の光輪現象への憧れを反映させた、このコンセプトの軽やかで光り輝く表現を依頼したそうだ。
過去の依頼がまったく新しいコンセプトやストーリーに直接影響を与え、インスピレーションを与えるという、このようなアイデアの相互受粉は、ビスポークのパワーを物語っている。デザイナー、エンジニア、職人からなるビスポーク集団にとって、この創造的な好循環とアイデアの相互接続は、彼らの芸術の進歩に常に新たな機会を与えてくれる。
スペクター ルナフレアのドラマチックなコーチワークを引き立てるのは、完全ビスポークのインテリアだ。ネイビーブルー、ホワイト、ピオニーピンクを基調としたインテリアは、月光浴中に見られる色彩のスペクトルを想起させる。
この配色はシート、ドア、スターライト・ヘッドライナーに施されている。このテーマは、外側がネイビーブルー、内側がアークティックホワイトのデュアルトーンのステアリングホイールにも採用されている。
スペクター ルナフレアは1台しか生産されない。ユニークなルナフレア塗装は、依頼を受けたパトロンのみに限定される。