ステアリングやシートに伝わる振動なども実にリアル
東武鉄道の群馬県太田駅の正午前、駅前のデジタル気温計は摂氏41度を示していた。そこからタクシーで約15分、ある企業の施設内の入口に着いた後、敷地の奥手の建物に誘導された。そこにあったのは、アジア初の乗用車開発向けの最先端ドライビングシミュレーター。早速、体験してみた。
シミュレーター車室はホンダ「ヴェゼル」を再現しており、乗った瞬間はダッシュボード中央部の専用モニターなどの一部を除いて、量産車に座っているような気持ちになった。ドライバーと助手席の説明担当者がいる空間は、量産車と比べると後席部分から後側がなく、動力系統、サスペンション、タイヤはついていない状態だ。
これを9つの作動軸によってコンピューターが操る。シミュレーター車室そのものに6軸、またシミュレーターの土台にある横方向の動きを決める3軸の合わせた9つが連携した動く仕組みだ。これにより、クルマの運動特性である「走る・曲がる・止まる」を3次元的に再現している。
走行シナリオは、アメリカ西海岸のフリーウェイ。片側4車線あり、このうち中間の2車線を時速100キロ程度で車線変更しながら進んだ。これまで様々なドライビングシミュレーターを体験してきたが、今回最も印象深かった点は車線変更した際の横Gだ。
まるで実車を操っているように、自然なかたちで横Gの変化を体感でき、また路面からタイヤ、サスペンション、タイヤを通じてステアリングやシートに伝わる振動などの「手触り感」が実にリアルなのだ。
助手席の開発関係者の許可を得て、少し急なステアリング操作での車線変更も試したが、これまた実にリアルな感触だ。近年、eスポーツが盛んになっているが、そうした領域と今回体験した量産車開発向けでは開発コストや装置施設の規模など、まったくの別モノであることを痛感した。
体験したドライビングシミュレーターは、ドイツのVI-grade社がシステムを開発。それを日本の自動車部品・各種試験機メーカーである鷺宮製作所がハードウェアを仕立てたものだ。これをベンチャーの「S&VL」が自動車メーカーや自動車部品メーカー向けにサービス事業化した。同社は自動車メーカーと資本関係にない独立系企業で、量産車の実験技術、モデル化技術、そしてコンサルティングをワンストップで提供する。
今回の最新型ドライビングシミュレーターのお披露目式には、自動車メーカー各社の関係者も訪れ実機を確認しながら、今後の導入の可能性についてS&VLと意見交換した模様だ。
この記事を書いた人
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。日本自動車ジャーナリスト協会会員。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、自動運転、EV等の車両電動化、情報通信のテレマティクス、そして高齢ドライバー問題や公共交通再編など。
■関連記事
TAG :
愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?
複数社を比較して、最高値で売却しよう!
車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか? 販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。 1 社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目 指しましょう。
手間は少なく!売値は高く!楽に最高値で愛車を売却しましょう!
一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。 MOTA 車買取は、この営業不特定多数の業者からの大量電話をなくした画期的なサービスです。 最大20 社の査定額がネット上でわかるうえに、高値の3 社だけと交渉で きるので、過剰な営業電話はありません!
【無料】 MOTA車買取の査定依頼はこちら >>