いまやドイツでは縦列駐車でバンパーをぶつけて停めるのはNGなんです!【池ノ内ミドリのジャーマン日記】

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居住者のみしか駐車出来ないエリアに違法駐車をすると罰金も

ついこないだ桜が満開になったと思ったらもうすっかり1年の半分が過ぎ去り、信じられない早さで日々が終わっていると感じています。夏至を迎えたドイツの私の住むミュンヘンでは22時近くまでは明るく、夏時間は明るい時間が長いのでナイトドライブも視界が良くて嬉しい季節です。

初夏のミュンヘンは爽やかで心地よい気候。

その代わり冬のミュンヘンは朝8時頃まで暗く、夕方16時頃から暗くなってしまいます。丁度いまのミュンヘンは湿度の低いカラリとして、気温もまだそんなに高くありませんので最高のカブリオレの季節! と言いたいところですが、菩提樹? の花粉がとんでもなく多く降り注いでいる季節で、屋根や窓を開けて走ると花粉だらけになります(笑)。

さて、ニュルブルクリンクとル・マン24時間耐久レースをハシゴして、3週間ぶりに自宅に戻り、大量の洗濯や荷物の片づけやたまった郵便物の整理や銀行や税務署の用事と、苦手な日々の日常にげんなり(笑)。ル・マンからの1100kmの岐路を運転しながら、現実に戻るどんより気分が重くのしかかっていました。

ミュンヘン市内の私が住む区の街路樹の多くが菩提樹。この季節は花粉が半端なく黄色い絨毯状態。

そんなミュンヘンでの現実的な日常が戻ったある日、ウチの前で『ある出来事』は起こりました。よく日本のメディアで目にする、“フランスやイタリアは縦列駐車の出入りにバンパーを当てる“が発端です。

つい先日までいたフランスのル・マンは地方都市なので、またパリ等の大都市とは事情が違いますが、縦列駐車用に一台ずつに十分スペースを確保したラインが路上に引かれていて、とても落ち着いて縦列駐車が出来ました。私がお邪魔していた民泊のお宅の前も全て路上駐車区域でしたので、毎日その白線の内側に縦列駐車をしていました。

ル・マン市内 縦列駐車の一台分の広さは十分に取ってある。

民泊のオーナーさんやそのご友人らに聞いたところ、縦列駐車をする際にバンパーを当てられたらダメで、すぐに警察を呼ぶ! との事でした。同様に、イタリア人の地方都市在住の友人にも聞くと、他人のクルマにぶつけられたら許さない! と言っていましたので、『バンパーにぶつけても大丈夫』は、大都市神話なのかも知れませんね。まさに、ウチの前で起こったその出来事の発端こそが縦列駐車です!

ル・マン市内の住宅街の縦列駐車は白線で一台分が区切られていて安心。

若い女性がオペルの人気小型SUV moccaでやってきました。キレイにセットされた縦ロールのロングヘアに、ステキな白いワンピースを着たその女性が運転する地方都市のナンバーのオペルは、丁度空いていたウチの前のスペースを見付けてラッキ~♪ と思ったのでしょうね。しかし、縦列駐車が不得意のようで、何度切り返してもなかなか入りません。近所の方にアシストして貰っても、どっちにハンドルを回して良いのか分からないようです。

その女性は窓を開けていたので、わちゃわちゃした様子は私の部屋にも筒抜けでした。二軒隣の方がベランダからアシストしていたようですが、それでも駐車に時間が掛かっていてかなり危なかしい……。何度も当たりそうになりながら切り返していると、前に停まっているBMWのリアにやはりヒットしてしました。それも何度も。私もこれを何度か他車にやられていまして、証拠がないと警察は動いてくれなかった事もあり念の為にスマホで撮影をしておきました。

縦列駐車が苦手な女性が当ててしまいました。

私だけではなく、お向いのアパートの方も同様に撮影されていたようで、BMWのオーナーさんが降りてきて警察に電話をされているところでした。電話が終わった時点で、私も窓から顔を出して証拠をお渡ししますよ、とお伝えし、連絡先を交換して写真を送りました。

そうこうしている内に警察の方が来られ、事情聴取や証拠の確認、車両や傷の部分の寸法を測ったり、オペルの所有者を無線で問い合わせたりと騒がしくなってきました。警察の方から私も状況を聞かれて、見たままをお伝えしましたし、他の住民で同じくその接触を見たり撮影した人も警察の方に状況を聞かれていました。

ミュンヘン自宅近辺は月~土曜日の9-23時は居住者駐車証明書のみが停められる それ以外の日時はなしでもOK。

本来はウチの前の縦列駐車区域は市役所で登録し、お金を払って手に入れる居住者駐車証明書を掲げているクルマしか停める事は出来ません。しかし、ここはミュンヘンオリンピックの記念公園の超至近距離とあり、現在開催中のサッカーのヨーロッパ選手権のため、スタジアムで巨大パブリックビューイング等のファンビレッジがある関係で、毎日のように多くのサッカーファンが詰めかけていて違法駐車の嵐ですが、駐禁の罰金は40ユーロ(約6800円)です。また、一本先の通りはコインパーキングの縦列駐車区域なのですが、こちらもお金を払わない違法駐車も多くいます。(居住者駐車証明書があれば無料)

駐禁の切符。

ところで、オペルの所有者の女性は、居住者駐車証明書をダッシュボードの上やフロントガラスに貼り付けておられなかったので、恐らくここにクルマを停めてファンビレッジに行ったのでは? とみんなで推測。そうこうしている内にレッカー車が到着、5分も経たない内にもう一台別に来たパトカーに先導されてドナドナされていきました。

あっという間にドナドナ。 レッカーでどこかへ連れて行かれました。

ぱっとみた感じでは、被害に遭ったBMWの傷は少しでしたが、それでもBMW正規ディーラーで修理をすると高額が予想されます。その女性は、縦列駐車を何度も試みている際に「私、縦列駐車できな~い!」と笑いながら大きな声を出していたので、周りの方も気付いたのだと思います。

運転しているヒトなら誰でも分かるかと思いますが、接触した事は絶対にご本人も分かっておられるハズ。通報せずにどこかへ行った事(当て逃げ)、居住者のみしか駐車出来ない区間に違法駐車をした事で恐らくダブル罰金、それプラスレッカー移動とその手数料、被害者側のBMWの修理代でかなり高額な出費となる事は間違いないでしょうね。調べてみると当て逃げは罰金または三年以下の拘禁。更には2~3点の加算(ドイツは加算方式)、最大三ヶ月の免停や免許取り消しとなるそうです。

21時からの試合分の場所取りを午後からしているファン。

以前は私も家の前に愛車を停めていていたのですが、度重なる当て逃げやアンテナの窃盗、相当酷い10円傷、挙句の果てには二軒隣の若い女性が狭い住宅地で無理にUターンをしてのバックの切り返しに失敗して私の愛車の右側面に大きな傷やへこみを作ってくれる等、散々な目に遭いました。なかなか空きがなかなかなくて非常に苦労して探した駐車場ですが、激狭ながら路上駐車で被害に遭うよりはマシと割り切っています。
日頃からウチの近所のオリンピック公園を訪れる観光客vs住民の駐車スペースを巡るケンカは日常茶飯事。今回は警察の方がすぐにレッカー移動でドナドナする事を判断してくれて、ご近所さんもみんなでホッとしました。今回はかなり私も驚いた事例でしたが、みなさんももし外国でレンタカーを借りて縦列駐車をされる際には十分にお気をつけて! ドイツ以外の事情は分かりませんが、ドイツはコツンをして大丈夫だと思って行ってしまうと警察沙汰になってしまう可能性があります。

この記事を書いた人

池ノ内 ミドリ

武蔵野音楽大学および、オーストリア国立モーツアルテウム音楽院卒業。フリーランスの演奏家を経て、ドイツ国立ミュンヘン大学へ入学。ミュンヘン大学時代にしていた広告代理店でのアルバイトがきっかけでモータースポーツの世界と出会い、異色の転身へ。DTM、ル・マン/スパ/ニュルブルクリンクの欧州三大24hレースを中心に取材・執筆・撮影を行う。趣味は愛車のオープンカーでヨーロッパのアルプスの峠をひたすら走りまくる事。蚤の市散策。

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