自転車や電動キックボードなどに関する法改正に伴いよく耳にするようになった「努力義務」という言葉。この言葉の意味を正しく理解している人はどのくらいいるのでしょうか。街中を走行している自転車や電動キックボードを見ると、ヘルメットの着用が努力義務になってからも、ヘルメットを着用していない運転者を多く見かけます。今回は、よく聞く「努力義務」の意味や努力義務とされていることをした方がいいのかを考察します。
「努力義務」とは?
そもそも「努力義務」とは「〇〇するよう努めなければならない」と記載される言葉です。言い換えてしまえば、「〇〇した方がいいものの、〇〇しなくても違法ではありません」となります。
一方、「義務」の場合は、「〇〇しなければならない」と言い換えられることからもわかるように強制です。また、「努力」とは「努めること/力を尽くすこと」となるため強制ではありません。
この「努力」と「義務」が組み合わされた「努力義務」という言葉は、非常に曖昧な意味であるため、どのように解釈すればいいのかわからないと思う人もいるのではないでしょうか。では、実際の事故統計から「努力義務」とされていることをした方がいいのか考察してみましょう。
自転車や電動キックボードにおける「努力義務」
交通社会において「努力義務」として話題に挙がるのは、自転車や電動キックボードにおけるヘルメット着用についてです。自転車も電動キックボードもヘルメットの着用は努力義務となっているため、ヘルメットを着用する人もいれば着用しない人もいます。
警察庁が公表している統計データによると、自転車乗車中死者の人身損傷部位(トップ3)は次のようになっています。
1位:頭部(56%)
2位:胸部(12%)
3位:頸部(8%)
関連リンク:警察庁 頭部の保護が重要です
このような統計データがあることからも、頭部を保護するヘルメットは着用した方がよいといえるでしょう。
ヘルメットってダサくない? いやいや最近のヘルメットはデザインもいいんです!
ここまで、ヘルメットの着用をした方が良いと述べていましたが、ヘルメット=ダサいといったイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
しかし近年のヘルメットは、帽子のようなヘルメットやキャップのようなヘルメットなど、さまざまなタイプのヘルメットがあり、種類やカラーバリエーションが豊富です。一見すると「ホントにヘルメット?!」と思ってしまうヘルメットもあります。
もし、ヘルメットをした方がいいとわかっているものの、ダサいヘルメットをしたくないのであれば、「ヘルメット おしゃれ」や「ヘルメット かわいい」などと検索してみてください。思っている以上におしゃれなヘルメットやかわいいヘルメットを見つけることができます。
「努力義務」をやっておいて困ることはない
自転車や電動キックボードをはじめ、法律における「努力義務」と聞くと、「どちらでもいいんでしょ?」と思う人も多いようです。
しかし、あえて「努力義務」と表現しているのは、「やっておかないと後悔しますよ」というメッセージが込められていると捉えることもできます。
そのため、「努力義務」は「やらなくていい」と解釈するのではなく、「基本的には行い、何らかの事情によりできないときは例外的に行わなくてもいい」と考えておく方が良いといえるでしょう。自分の身や命を守るためにも、努力義務とされていることは行っておくことをおすすめします。