アルトゥーラとマクラーレン・スーパーカーのラインナップに新たに追加された、これまでにはないドライバーエンゲージメントが体感できる一台
マクラーレンは2024年2月27日(火)、ハイパフォーマンス・ハイブリッド・パワートレインを搭載する初のコンバーチブル「アルトゥーラ スパイダー (Artura Spider)」を、第2のアルトゥーラモデルとして発表した。新型アルトゥーラ スパイダーはパワー、パフォーマンス、ドライバーとの一体感が大幅にアップグレードされており、さらに五感を刺激するオープントップ・ドライビングの楽しさが組み合わされた、次世代スーパーカーだ。
アルトゥーラのパフォーマンスをさらに引き上げるため、スパイダーのために考案された最新のアップグレードは、クーペにも同様に組み込まれ、新モデルとして同時に導入される。新型スパイダーと新型クーペは、いずれも最高レベルのダイナミクス・パフォーマンスを誇り、卓越したサーキット走行性能まで備える。それだけでなく、日常的なドライビングの必須要件も満たし、都市環境で非常に役立つほぼ無音のEV走行も可能。新型アルトゥーラ スパイダーと新型アルトゥーラ クーペは、いずれも2025年モデル(MY25)に指定されており、現在注文受付中だ。
「新しいアルトゥーラは、まさに完全なる次世代スーパーカーです。パワートレインとシャシー・システムをアップグレードしており、パワーとパフォーマンスの向上、さらに高いレベルでのドライバーとの一体感を実現しました。同時に、日常的なドライビングについても一切妥協していません。今回は、アルトゥーラ クーペと並びアルトゥーラ スパイダーも誕生しましたが、特にこの新型コンバーチブルは、オープンエアでの高揚感を新たな次元にまで高めたニューモデルなのです」とは、マクラーレン・オートモーティブCEOのマイケル・ライターズ氏だ。
【写真35枚】アップグレードされた強力なパワーとパフォーマンスを実現
多彩なドライビング・モード
新型アルトゥーラ スパイダーは、すべてにおいて野心的な目標を達成するために設計・開発された。特に重点を置いたのが、ドライバーとの一体感、パフォーマンス、アジリティ、洗練性、効率性、上質さだ。さらには、わずか11秒で開閉する電動式リトラクタブル・ハードトップによって、コンバーチブルならではのエクスペリエンスを満喫でき、スーパーカーの刺激的な高揚感を味わえるという魅力が加わっている。
ルーフをオープンにして静寂の中で走り出すアルトゥーラ スパイダーは、これまでのマクラーレン以上に五感を刺激する。オープンエアでの体験は、素晴らしい海岸線をドライブしながら、昇る太陽の暖かさを直接感じたり、海水の香りのエッセンスを味わったりすることができるのだ。
ラグジュアリーなタッチのステアリングホイールと彫刻が施されたシフトパドルを手に取り、ひとたび走り出したら、壮大なスーパーカーサウンドが ドライバーとパッセンジャーを包み込むだろう。その再設計されたエグゾーストシステムからのサウンドの高まりに合わせて、高揚感も急速に高まっていく。Eモード、コンフォート、スポーツ、トラックという4つの多彩なドライビング・モードが、それぞれ新型アルトゥーラ スパイダーのポテンシャルを発揮してくれる。
超軽量、信じられないほどの走り
新型アルトゥーラ スパイダーは、最軽量の乾燥重量がわずか1,457kg、DIN車両重量が1,560kgで、アルトゥーラ クーペからの重量増加は62kgに留まる。そのため、新型スパイダーは、コンバーチブルの競合モデルに大差をつけて最軽量で、そのアドバンテージは最大83kgにも及ぶ。
さらに重要なのは、ハイパフォーマンス・ハイブリッド・パワートレインの最高出力700PSと組み合わせると、最軽量の乾燥重量におけるパワーウェイトレシオが480PS/tに達する点だ。そのためアルトゥーラ スパイダーは、スーパーカーが誇るハイパフォーマンスのあらゆる側面を最適化する完璧な条件が整っているといえる。エンジンをミッドマウントする後輪駆動というシャシー・レイアウトを最大限に生かしたこともそのひとつだ。
アルトゥーラのコアは、マクラーレン・カーボン・ライトウェイト・アーキテクチャー(MCLA)という安全なプラットフォームで構成されるため、固定ルーフを排除しても剛性がまったく損なわれない。スパイダーとクーペの重量差62kgの大半は、電動式リトラクタブル・ハードトップ(RHT)の作動メカニズムによるものだ。
MCLAには、コアを成すカーボン・ファイバー製モノコックだけでなく、アルミニウム製の衝突吸収ストラクチャーと、ハイブリッド・パワートレインを搭載するリア・ストラクチャーも組み込まれている。また、MCLAには革新的なイーサネット・エレクトリカル・アーキテクチャーも組み込まれており、これによってケーブルが25%減少し、その分の重量が削減されている。エレクトリカル・アーキテクチャーは、新型スパイダーの開発過程で最適化が進み、データ容量と転送速度が増加した。
サウンドとパフォーマンスの力強いクレッシェンド
マクラーレンのハイパフォーマンス・ハイブリッド・パワートレインはキャリブレーションが変更された。MY25 アルトゥーラではV6内燃エンジンの最高出力が20PS向上し、総最高出力は700PSに高まった。増大した出力は4,000rpmからレッドラインの8,500rpmの間に集中しており、パフォーマンスに明らかな「クレッシェンド」をもたらした。最大トルクは強大な720Nmで変わらないが、トルクデリバリーは電子的なマッピングをわずかに変更して最適化されている。
ドライサンプ式、アルミニウム製3.0L M630型ガソリンエンジンは、いまや比出力が200PS/Lを超え、極めてコンパクトかつ軽量だ。重量わずか160kgとマクラーレンV8より50kgも軽く、大幅に短くなってパッケージングの効率性が高まっている。こうしたサイズが実現したのはバンク角を120°としたためで、これは低重心化にも貢献している。
この設計によって、排気システムでの圧力ロスが低減されると共に、高強度クランクシャフトの採用や、8,500rpmというレブリミットが可能となった。V6エンジンの吹け上がりの鋭さは、ツイン・ターボチャージャーを「ホットV」に配置したことで実現した。この配置によってターボチャージャーの回転上昇が速まり、スロットル・レスポンスが向上している。
エンジンサウンドも強化された。バルブを改良した排気システムに、調整を施したレゾネーターを組み込み、テールパイプを上向きの円錐形とすることで、中~高回転域のエンジンノートがさらに洗練されている。その結果、「よりクリーン」なサウンドが乗員を包み込む。
オプションにはスポーツ・エグゾースト・システムもあり、全体に強化されたさらにクリーンな音色を提供。また、テールパイプからキャビンへ本物のサウンドを送り込むエグゾースト・シンポーザーによって、ドライバーとの一体感がいっそう強まっている。
アルトゥーラのV6が誇るレスポンスとパワーを補うのが、極めてコンパクトなアキシャル・フラックス型Eモーターだ。Eモーターはトランスミッションのベルハウジング内に位置し、最高出力95PS、最大トルク225Nmを発生。1kgあたりの出力密度は、アイコニックなハイパーカー、McLaren P1のシステムを33%も上回る。Eモーターに電力を供給するバッテリーパックは、5個のリチウムイオン・モジュールで構成される。実効容量は7.4kWhで、EV航続距離は33km(21マイル)に伸びた。バッテリーは冷却レールを使った冷媒冷却方式だ。
MY25 アルトゥーラでは、新たなパワートレイン・マウントが開発され、ダイナミクス特性に明らかなメリットをもたらした。新マウントは、パワートレインのシャシー内制御を向上するように調整されている。とくに荷重がかかった際にパワートレインの動きが制限されるため、安定性やステアリング・フィール、車両全体のアジリティが向上し、いっそう精密でドライバーが強い一体感を味わえる走りを実現する。
こうしたダイナミクス上のメリットに加えて、新マウントによって剛性も高まっている。そのためドライバーは、自身が経験している全体的な一体感にパワートレインが重要な役割を果たしていることをより強く実感でき、一貫してドラマチックな感動が上乗せされる。
標準仕様で装着するP ZEROタイヤは、左右非対称のトレッドパターンを備え、これがブレーキングを向上させるほか、とくにウェットでのパフォーマンスを重点に、幅広い路面コンディションでハンドリングと制御性を強化。オプションのP ZERO CORSAは、公道とサーキットの両方で使用できる設計で、レースタイプのコンパウンドとユニークなトレッドパターンによって、より高いグリップレベルを誇り、ブレーキングとトラクションも向上する。P ZERO WINTERタイヤも選択可能だ。
ブレーキのパフォーマンスもまた、卓越している。MY25 アルトゥーラは、カーボン・セラミック・ディスクと、強化された軽量アルミニウム製キャリパー、新たなブレーキ冷却ダクトを擁す。このブレーキ・システムは、リア・アクスルのキネマティクス、改良されたエンジン、速まった減衰反応と連携して働き、高速走行時の制動力と安定性を一層高めると共に、サーキット走行でのディスクとパッドの寿命も伸ばす。ABSのキャリブレーションが変更され、スパイダーと新型クーペは、100km/h(62mph)から静止するまでの制動距離が31m、200km/h(124mph)からの制動距離は短縮されて124mとなった。
先進的な8速トランスミッションは、Arturaのハイパフォーマンス・ハイブリッド・パワートレインのため特別に設計されたもので、Eモーターを内蔵するが非常にコンパクトだ。マクラーレンのV8モデルに搭載する7速トランスミッションより1速多いにもかかわらず、2個のクラッチを並べるのではなく入れ子構造としたことで、ギアクラスターの全長が40mm短縮されている。
MY25 アルトゥーラでは、ギアボックスのキャリブレーションも変更された。クロスレシオの8速ギアボックスは、さらに速いギアチェンジを可能とするプレフィル機能が新たに備わり、変速スピードが25%高まった。これは、ギアボックス内部の油圧の圧力を変速に必要な閾値(いわゆる”キスポイント”)まで高めておき、ドライバーがギアを選択した(あるいは自動で変速する必要が生じた)際に最短で変速されるようにすることで可能となった。
アルトゥーラには4つのパワートレイン・モード、コンフォート、スポーツ、トラック、そして電力のみを使う排出量ゼロのEモードがある。コンフォート・モードはEV走行とハイブリッド走行を組み合わせ、ストップ&スタートの使用を拡大し、低速では内燃エンジンを停止して、スピードや加速が求められると再稼働させる。
スポーツおよびトラック・モードでは、電力をよりアグレッシブに利用して、低回転域のレスポンスと加速を補い(“トルク・インフィル”)、より鋭く反応する変速ストラテジーを使用する。トラック・モードでは、高電圧バッテリーの充電速度が最大に。Eモードはデフォルトの「スタート」モードで、これがさらに洗練されたことで、排出量ゼロの航続距離が伸びている。
MY25 アルトゥーラではEモードからコンフォート、あるいはスポーツ、トラックへのモード変更の過程が改善された。内燃エンジンを稼動させる前に触媒コンバーターを温めて排出量を減らすエンジン・コンディショニングの過程が、ドライバーの利便性を優先した再キャリブレーションによって、始動後最初に選択した際に最大90%速まっている。
魅惑的なシルエット
新型スパイダーは、リトラクタブル・ハードトップ(RHT)の導入とそれによる変更にも関わらず、ひと目でアルトゥーラだとわかる、視覚的デザインとアーキテクチャーだ。「シュリンクラップド」を思わせるボディワークの造形、トレードマークの「ハンマーヘッド」ノーズ、フロント・フェンダーと一体化したルーバー、ヘッドライトのエア・インテークなど、すべて見覚えがあると同時に目を引く特徴だ。ディヘドラル・ドアも同様で、狭い駐車スペースでも乗り降りしやすいよう、ボディに沿って開く。
とはいえコンバーチブルである新型スパイダーのビジュアルには、疑問の余地なくスーパーカーであるとわかる完全に独自の個性がある。その中心となるのが「RHTシステム」だ。まったく新しいバットレスには、ロールオーバー構造が組み込まれている。
ガラス張りの部分もあり、後方視野を向上させると共に、エンジンベイ周辺へ気流を導く役割も果たしている。両バットレスの間に位置するヒーターガラスのリア・スクリーンは、ボタンひとつで昇降するので、ルーフ開放時に快適性を最適化することも、ルーフ閉鎖時にエグゾースト・サウンドをキャビンに響かせてドライバーとの一体感を高めることもできる。
「ホットV」からのチムニーを含むパワートレインの冷却ベントは、クーペに比べて後方に位置する。これは、RHTメカニズムとトノカバーを収めるためだ。ルーフを開閉する際に持ち上がって位置を変えるトノカバーは、軽量なカーボン・コンポジット製ストラクチャーを持ち、ご希望があれば追加料金でグロス・カーボン・ファイバー仕上げにも変更できる。
リトラクタブル・ハードトップ自体は、カーボン・ファイバー・コンポジットの1枚パネルだが、代わりにエレクトロクロミック・ガラスパネルも選択可能だ。その場合、ボタンひとつでキャビンを明るくすることも、日光を最大99%さえぎることもできる。マクラーレンは、アルトゥーラ スパイダーのエレクトロクロミック・ガラスに先進的な懸濁粒子デバイス(SPD)技術を採用。最も暗くした際にキャビンへの熱伝導がさらに抑えられ、太陽のエネルギーを96%以上さえぎるので、車内は最大限涼しい状態に保たれる。
アルトゥーラのパーソナライズ
アルトゥーラのインフォテインメントおよびインターネット接続システム(MIS II)は、2個の高解像度スクリーンを活用する。MIS IIは、スマートフォン並みの応答性を誇り、スマートフォンのミラーリングも可能だ。また、対応するモバイルデバイスで使えるワイヤレス充電器がオプションに加わった。これは接触面がソフトで、携帯電話を縦向きに直立させるユニークなホルダーと一体型だ。MIS IIには、バリアブル・ドリフト・コントロールを含め、おなじみのマクラーレンのアプリも搭載されている。
またMIS IIではドライバーを支援するいくつものADASが利用可能だ。レーン・デパーチャー・ウォーニング(ビナクルのスイッチで設定)とロードサイン・レコグニションは、全Arturaに標準装備となった。オプションとして、切り替え可能なフォローモード付きインテリジェント・アダプティブ・クルーズコントロール、オート・ハイビーム・アシスト、ブラインドスポット・モニタリング、リア・クロス・トラフィック・ディテクションが用意されている。
また、アルトゥーラはキーに低消費電力Bluetoothを備え、ドライバーが車両に近づいてくるのを検知すると、システムの電源を入れて乗員を出迎える。そのひとつがドアに装備された「点灯するまで見えない」アンビエント照明で、これがパドルランプの役割も果たす。
アルトゥーラ スパイダーの英国価格は、イギリス市場で標準仕様が221,500ポンド(約4227万円)から。インテリア仕様はさらに3種類あり、それぞれ5,050ポンドの追加で選択できる。「パフォーマンス」仕様は、よりスポーティーなデザイン、「テックラックス」仕様はその名のとおりテクニカルなラグジュアリーを重視した。そして「ヴィジョン」仕様は、よりアバンギャルドで大胆なルックスと印象となっている。
新型スパイダーでは、アルトゥーラに初めて採用されたカラーも含め、エクステリア・カラーの選択肢が拡大した。標準の5色に加えて「エリート」の20色が用意され、さらに18色のMSOカラーからも選ぶことが可能だ。
すべての新型アルトゥーラには、5年間/走行距離無制限の車両保証と、6年間/7万5,000km(4万5,000マイル)のバッテリー保証、10年間のボディに対する錆び穴保証が標準で付帯する。これらの保証は延長も可能だ。また、3年間の定期点検と、5年間のロードサイド・アシスタンス・パッケージも付属する。
すべての仕様やオプションなど、新型マクラーレン アルトゥーラ スパイダーのさらに詳しい情報と、カラーや装備を顧客が選択できるオンライン・コンフィギュレーターは、次のサイトでチェックできる。
https://cars.mclaren.com/jp-ja/artura-spider
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