完全自作のエンジンに驚愕せよ!ベルキット製プラモ「フォード・エスコートRS」を堪能する・前編【モデルカーズ】

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ようやく1/24プラモ化された名車

エスコートMk1は、アングリアの跡を継いで1968年に登場したフォードのベーシックカーである。開発は英国フォードで行なわれたが、ドイツ・フォードとの車種統合により1969年以降はドイツでも生産された。1.1/1.3Lの4気筒OHVエンジンでリーフ固定軸の後輪を駆動する保守的な設計の小型実用車で、ボディバリエーションは2/4ドアセダン、3ドアエステート、それに商用3ドアバンがあった。

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もともとスポーティさを売り物にするエスコートには、OHVをツインキャブ化したスポーツやGTといった高性能版が存在したが、それらとは別格の競技用ホットバージョンとして仕立てられたのが、コスワースBDAツインカムを搭載したRS1600だ。

市販版はボディこそノーマル版2ドアセダンと変わらないが、低く固めた足周りに軽量アロイホイールを履き、2分割フロントバンパーや丸型ヘッドライトで差別化され、競技仕様では大きく膨らんだフェンダーフレアが装備された。フルチューンでは200bhpにも達するBDAと、800kgを切る軽量さを生かして、レースやラリーで大活躍したエスコートRSは、今日に続く欧州フォードのスポーツイメージの源流となった。

出来の良いキットだから追加工作もやりやすい!
そんな歴史的名車たるエスコートMk1だが、プラモデルは従来エアフィックス1/32しかなく、競技車両となるとレジンやホワイトメタルのキットに頼るしか無かったが、このたび(注:作例が制作された2016年のこと)ベルキットから待望の1/24プラモデルがリリースされた。1972年と1973年のRAC優勝車が同時にリリースされたが、今回ご紹介するのは前者の方だ。

これまでラリーカーを専門に手掛けてきたベルキットにして初のヒストリックカーだが、大変良く出来たキットである。コロンと愛らしいスタイリングを見事に再現しているボディは、かなり肉厚でガッチリしているが、表面のヒケや歪みはほとんど無く、ディテールのモールドも繊細だ。ロールケージを装備したスパルタンなインテリアも的確に再現され、シャシーはエンジンこそ無いものの、駆動系や排気系、前後サスペンションがきっちり部品化されている。

親切な設計と充分な成型精度のおかげで、海外製キットにありがちな取っ付きにくさはほとんど無く、大変作りやすい。フロントグリルやシートベルトの金具にはエッチングパーツが、外装のバッジ類にはメタルシール(蒸着インレット)が奢られ、大判のデカールも高品質、フェンダーフレアの曲面にもきれいに馴染んでくれた。

作例ではキットの作りやすさに乗じて、余力でエンジンも自作してみた。幸いBDAは画像資料が豊富にあり、インターネットではキットの元になったと思われる現存車両のエンジンベイの写真も見る事が出来るので、プラ板工作好きな方には是非トライしていただきたい。

作例制作・文章=北澤志朗/フォト=服部佳洋 modelcars vol.243より再構成のうえ転載

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