連載【桃田健史の突撃!キャンパーライフ「コンちゃんと一緒」】~どうする? コンちゃんたちのファンミーティング。富士山周辺で2週連続、三菱とマツダの皆さんと対話しながら考えてみた~ ~

盛況をみせる各ブランドのファンミーティング

夏から秋にかけて、シトロエン、マツダ、三菱など全国各地で様々なクルマのファンミーティングが開催されている。

コロナ禍を経て、「同じような考え方を持つ人たちと、楽しい時間が過ごしたい」という気持ちがさらに高まり、ファンミーティングに対して新しい価値が生まれようとしている。

これまで本連載でも紹介してきたように、コンちゃんの場合、トヨタ車の大手販売会社であるトヨタモビリティ神奈川が展開する「アルトピアーノ」ラインアップの中での「ハイエースキャンパー」だ。
同ブランドの方向性としては、あくまでもトヨタ純正車を基本として、必要十分な車内装飾や改造を行うもの。そのため、外観だけでは、パッとひと目で「アルトピアーノの仲間」と見分けることが難しい。それでも、リアゲートのアルトピアーノの表示を見つけると相手に対して親近感が沸くものだ。
羽田空港の駐車場や、高速道路のサービスエリア、または遠出をしてたまたま立ち寄った地元の蕎麦屋の駐車場など、これまで様々なところで「アルトピアーノハイエース」に出会ってきた。
また、同じく「アルトピアーノの仲間」である「タウンエース」をベースとした「キャンパーアルトピアーノ」の場合、アルトピアーノ専用の改装ツートンカラーを採用していることで、ひと目でアルトピアーノだと認識できる。さらに、ハイエースベースのイージーキャンパーも「アルトピアーノの仲間」である。

こうした仲間が増殖中のアルトピアーノだが、現時点(2023年10月)では「アルトピアーノ」公式のファンミーティングは開催されていない。一部、オーナーどうしで共同キャンプを楽しんでいる人がいるのだが、今後は是非、オフィシャルミーティングを定期的に行えればと願っているところだ。

一方で、アルトピアーノのオーナーが無料で使える「アルトピアーノ蓼科」(長野県茅野市)があり、オーナー家族や友達がそれぞれ楽しい時間を過ごす。ただし、現状では滞在者が共通のアクティビティをするという建てつけにはなっていない。

そうした中で、自動車メーカーが実施しているファンミーティングを、アルトピアーノでのファンミーティングを考える視点を持って現地取材してみた。

参加者と運営側のほど良い距離感

まずは、三菱「スターキャンプ」に行ってみた。
都内で「アウトランダーPHEV」を借りて、日頃コンちゃんで使っているカーサイトテント、ポータブル電源、冷蔵庫、ソーラーパネル等、キャンプ用品一式をアウトランダーPHEVに積み換えた。

目指すのは、静岡県朝霧高原の「ふもとっぱら」。オートキャンプ場としては有名で、クルマやアウトドア系の雑誌やウェブサイトでもよく登場するスポットである。その奥のスペースに陣取って、キャンプをしながらスターキャンプの詳細を取材した。
あいにく、初日は雨。天気予報では雨は早めに上がるはずだったが、夕方になっても雨は降り止まず、いろいろ工夫しながらキャンプの支度。日頃、コンちゃんで慣れているため、クルマが代わっても各種準備にぬかりなし。
翌日は天気は回復。三菱自動車工業本社の方々から、「スターキャンプ」の楽しみ方、そして企業としての開催意義などについて詳しく聞いた。その中で印象深かったのは、「続けることの大切さ」だ。
スターキャンプは、91年から97年に毎年開催された後、10年間のブランクがある。つまり、90年代のオートキャンプやRV(レクリエーショナル・ヴィークル)のブームがさって、2000年代後半に新たなキャンプブームがやってきた、という時代の変化が背景にあることが分かる。その後、全国各地の新車販売会社が各地域でのスターキャンプを開催するに至った。
それぞれの地域で、アクティビティのコンテンツは違うが、大切なことは参加者が自然体でゆったり過ごしながら、笑顔になること。
今回、スターキャンプを実際に体感してみて分かったのは、参加者と運営側の「人の距離感」がほど良く、場の雰囲気がとてもホンワカしている。そして、参加者自身が「クルマをベースキャンプとした遊び方」をしっかり心得ている。もちろん、なかにはオートキャンプ初体験の参加者もいるが、運営側のサポートによって、短時間で現場の空気感に馴染んでいる印象だ。

共に競技に参加することも「ファンとの絆」の証

一方で、メーカー側がやる気満々のファンイベントもある。それが、「マツダ ファン フェスタ」だ。マツダやマツダ販売店の社員の皆さんが「ファンのため」に全力投球している。
岡山国際サーキットと富士スピードウェイで開催されてきたが、富士スピードウェイでは4年ぶり3回目の実施となった。
コンテンツも、「遊び」の要素を取り入れているものの、デザイン、生産技術、衝突安全技術などマツダのモノづくりの最前線にいる人たちが、それら技術要素を盛り込んだアイテムを使って分かりやすく解説してくれる。または、簡単なモノづくり体験もできる。

さらに、マツダの場合、毛籠勝弘社長、役員、デザイン本部長、そして担当主査が自ら「ロードスター」のステアリングを握り、自社イベントであるマツダ耐久レースに出場している。
ファンと一緒にレース競技に参加することで、彼らが楽しみ、学ぶ姿がファンとマツダとの絆を強めているのだ。
ちょうど、三菱「スターキャンプ」の翌週開催であったこともあり、「メーカー×ファン×販売店」のつながる方法は、メーカーによって違いがあることを痛感した。

マツダファンフェスタ取材を終えて、コンちゃんと一緒に沼津で一泊。
翌日は沼津港で海の幸を味わいながら、思案した。
「さて、コンちゃんを含めたアルトピアーノ・オフィシャルファンミーティングは、どんな方向性が良いものか?」
その実現に向けて、これから一歩一歩、前に向かって進んでいこうと思う。

フォト=桃田健史 K.Momota

この記事を書いた人

桃田健史

専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。日本自動車ジャーナリスト協会会員。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、自動運転、EV等の車両電動化、情報通信のテレマティクス、そして高齢ドライバー問題や公共交通再編など。

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2023/10/12 12:00

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