一級建築施工管理技士が造り上げた、”プライベート・ファクトリー” ガレージ。【ガレージライフ】

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自ら設計した夢空間には、愛車用のパーツを作り出すこともできる、ちょっとした作業スペースも存在している

ガレージ内には、イタリア車を愛する者にとって非常に気になる顔ぶれを並べている佐々木さんは、「フィアット・アバルト124スポルト」を駆り、さまざまなレースに出場している。築45年以上の家に住み、カーポートを利用したガレージライフを楽しんできた佐々木さんは、一念発起して、自宅を新築することにしたそうだ。

本業は一級建築施工管理技士だが、各種レースでゲットしたトロフィーがガレージの一角に飾られていることからも察しがつくように、そのドライビング・テクニックも”一級”なのであった。

124だけに限らず、アバルト製スポーツカー全般は定期的なメンテナンスを必要とするが、佐々木さんの自宅にも愛車を好きなときに整備できる、機能的なガレージが備わっている。そして、建築のプロならではの観点でまとめあげた快適な生活空間も備わっており、佐々木さんは両者が共存した夢の城で非常に充実したガレージライフを満喫している。

【写真14枚】施主のこだわりは二階のリビングにも反映されている。 

佐々木さんのプライベート・ファクトリー内には、これからガレージを建てようと思っている者が見習うべきポイントが多々あったが、まず注目したいのは、ガレージの壁面にレッド・シダーの板を貼り付けた点だ。こういう仕上げにすることで雰囲気がよくなるだけでなく、スペアパーツや自転車などを壁面に付けたフックから簡単に吊るすことができる。そして、ガレージの奥側の上部に棚を設けたのも特長で、こちらにもスペアパーツなどが置かれていた。

佐々木さんのガレージは、クルマを横方向に2台も駐車できるので、さほど狭いスペースではないが、ガレージの中で愛車を整備したり、パーツを作ったりすることを考えると、やはり、広いとは言い難い。そのため、すぐに使わないものは棚の上などに置いてしまうのが得策だが、佐々木さんは駐車スペースを犠牲にしない形でそれを見事に実践した。

ガレージは名車を風雨から守りつつ整備の場としても活用されている。
佐々木さんは建築のプロということもあり、当初、鉄骨で造ることを前提として自宅を自ら設計した。その後、木造でのプランに変更し、それを実行したわけだが、今ではRC構造にしてもよかったかなと少し思っているそうだ。

整備用のリフトがガレージ内に無いことを、これからの夢ではなく、ちょっと失敗という項目への回答として挙げてくれたが、佐々木さんはRC構造の広々としたガレージを構築し、そこにリフトを設置したかったのだ。結果的にリフトを導入しなかったが、エンジンを吊るためのクレーンやエアツールを動かすためのコンプレッサーまで持っている佐々木さんは、やはりリフトを設けたほうがよかったと考えているのであった。

欄外に記したその車歴を見ればわかるように、佐々木さんは常にトラブルの心配がある、凄いクルマばかりに接してきた。そういったこともあり、いつしかドライビング・テクニックだけでなく、整備技術も向上したそうだ。今回訪問したプライベート・ファクトリーがある邸宅を新築する前に、佐々木さん一家は築45年以上の家に住んでいたが、カーポートしか存在しなかったその時分にも、佐々木さんは124を整備していたそうだ。

ちなみにカーポートの下では、諸般の事情でクルマの左側しか整備できなかったらしいが、そのような制約があったこともあり、整備性が高いガレージを建設を切望することに繋がった。

リフトこそ無いものの、佐々木さんのガレージは居心地がよく、当の本人も非常に気に入っているとのこと。カーポートがガレージへと発展し、整備性が格段にアップしただけでも大満足なのだ。そして、何よりも自分自身で設計したガレージ内に愛車を収納できたことが、氏の満足度を上げているといえるだろう。趣味人が構築した趣味人のためのガレージには、至極、楽しげな空気感が宿っていた。

◆Plannig Data
 所在地:神奈川県
 施 主:佐々木晴英さん
 竣 工:2006年11月
 構 造:木造
 敷地面積:約40坪
 ガレージ面積:28.98平米
 愛 車:1974年式フィアット・アバルト124スポルト
     1998年式アルファロメオ・アルファGTV

◆Owner’s Check
・一番気にいっているところは?
 ガレージ内の居心地がいいところ。
・ちょっと失敗したところは?
 RC構造にすればよかった。そして、ガレージ内に整備用リフトが無いこと。
・次の夢はなんですか?
 特に無し。
・読者へのアドバイスを!
 同じ趣味を持っている方に設計をお願いするといいでしょう。さまざまな制約があるでしょうが、ガレージはできるだけ大きくしたほうがいいです。

『GarageLife Vol.36』掲載

text/Hidenori-TAKAKUWA(高桑秀典) photo/Masaya-ABE(阿部昌也)

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