戦前GPマシーン最高傑作のひとつ「アルファ ロメオ P3」を超解像度で堪能【ミニカー・トピックス】

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ALFA-ROMEO P3 1932-1933 ◎1/18ダイキャスト製ミニカー

ハイエンドモデルの主流がレジンとなった今も、決してその存在意義・価値が揺らぐことがない、超精密ダイキャスト製モデルの雄、CMC。抜群のプロポーションや細密なエンジン、インテリア他、実車ではまず目にすることが出来ないシャシーまわりなども超高解像度で確認できる。

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第二次世界大戦以前にレースを闘ったアルファ ロメオ製GPマシーン、あるいは戦前GPマシーンすべての中でも最高傑作のひとつと称される「P3」こと「ティーポB」は、自動車史上最高の巨匠のひとりとして、今なお崇拝されるインジェニェーレ(エンジニア)、ヴィットリオ・ヤーノが手掛けた歴史的なマスターピースである。

アルファ ロメオにおけるヤーノ技師の第1作、2L直列8気筒機械式過給機つきエンジンを搭載した「P2」は、1924年のデビュー以来、無敵のGPマシーンとなっていたものの、1930年代になるとレースの現場では旧態化が目立ち始めていた。そこで市販車の「6C1750SS」用6気筒エンジンを並列に2基搭載した怪物「ティーポA」や、同じく市販スーパースポーツである「8C2300」をベースに、グランプリも可能なレースカーに仕立てた「8C2300モンツァ」などを投入することで、なんとか急場をしのいでいた。

エンジンに乗って走っている一切の無駄を排した戦前の戦うマシーン、究極のカタチ。

そして1932年に、ようやくP2後継のGPマシーンが完成。これがティーポB(P3)である。ティーポBは、アルファロメオとしては初めて、ドライバーを中央に座らせるレイアウトを採った。つまり、純然たるシングルシーターとして設計された初のモデルだった。

このマシーンのため、ヴィットリオ・ヤーノは天才的かつ革新的なアイデアを生み出すことになる。当時のハイパワー車には不可避的だったオーバーステアの傾向を減少させるため、トランスミッション出口から2本のプロペラシャフトをV字型に出してリアのデフに繋ぐ。そして左右後輪は、それぞれのドライブシャフトからの出力で駆動するというものだった。さらにこの革新的手法は、2本のドライブシャフトの間にドライバーを座らせる。つまり着座位置を低めることによって、車体の重心を下げることも可能としていた。

ティーポBはエントリーしたすべてのレースで優勝、多くは2、3位まで独占するという、戦慄を覚えるほどの強さを発揮した。

一方エンジンは、2基のルーツ式スーパーチャージャーで過給される直列8気筒DOHC。同じ基本設計を共有する8C2300用とはバルブ挟み角が異なり、吸排気バルブの向きも左右逆とされた。排気量は、1932年の誕生当初は2654ccとされ、最高出力はこの時代におけるGPマシーン最強の215psをマーク。さらにそののち、1934年シーズンには2905cc、1935年には3165ccまで拡大された。

こうして待望の完成に至ったティーポBは、1932年のイタリアGPにおけるデビューウィン以来、1934年に「A.I.C.I.Rチャンピオンシップ」が欧州に誕生する以前のフォーミュラ・リブレ時代においては文字どおり最強のマシーンとなり、ヌヴォラーリやカラッチオラのドライブで、エントリーしたすべてのレースで優勝。多くは2、3位まで独占するという、戦慄を覚えるほどの強さを発揮した。

さらに1935年ドイツGPでは“天駆けるマントヴァ人”ヌヴォラーリが、既にA.I.C.I.R「750kgフォーミュラ」で猛威を揮い始めていたメルセデスW25勢を打ち破って値千金の勝利を得た。そして、この傑作マシーンを最も巧みに操縦したタツィオ・ヌヴォラーリは、カラッチオラやヴァルツィ、シロン、トロッシ伯など、同時代の並みいる名手たちの間でも、一歩抜きん出た存在となるのだ。

また、ティーポBも先達のP2と同様に、1934年にはシンプルな2座席ボディと最小限のロード・エクイップメントを括りつけたスポーツカー仕様に改造されることになった。このモンスターは、1934年と1935年の「タルガ・フローリオ」にて、ヴァルツィとブリヴィオの操縦で優勝。1935年「ミッレ・ミリア」でもピンタクーダ/デラ・ストゥファ組とともに総合優勝を果たした。それは、歴史的名作ティーポBの終焉に相応しい戦果だったといえよう。

剥き出しのメカニズムゆえにこの解像度の高さと圧倒的な質感はCMCの独壇場だ

メッキやジンクコート、塗装によって表面処理がなされた金属部品で構成されるCMCのモデルカー。このティーポBに関して総パーツ点数は実に1805点におよぶ。スーパーチャージャーがマウントされた直8エンジンは燃料系の配管にいたるまで、金属製パーツで正確に再現されている。ホイールはセンターのノックオフを介して着脱が可能だ。前後サスペンションはリーフスプリング式となるが、驚くことにCMCのモデルは、実車同様、極薄の板ばねの反発力でサスペンションが可動する。撮影時は外していないが、フロアを覆うカウル類は極小のビスを外せばすべて取り除くことが出来、車体中央のトランスミッションから、左右後輪に枝分かれするようにマウントされた2本のプロペラシャフトを確認できる。

製品詳細は下記サイトをご覧ください
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フォト:服部佳洋 テキスト:Hiromi TAKEDA(武田公実)

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