高級路線への転換点となったモデル
ロータス・エスプリは1976年に登場したミッドシップスポーツカーであり、ロータス社がそれまでのライトウェイトスポーツからスーパースポーツへ路線変換したモデルである。
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ジウジアーロの真骨頂である、直線基調のデザインは現在においても古さを感じさせず、いくつかの変更と1987年のモデルチェンジを経て、2004年まで生産されたのも頷けるものである。またボンドカーとして使用されたことでも有名で、特に映画『007 私を愛したスパイ』の登場車では、潜水艦に変形するという特殊機能を持っていたことは皆様もご記憶ではないだろうか。
初期ボディの1/24スケールのエスプリのプラモデルといえば、どちらも実車登場当時の1970年代に発売された、このニチモのキットと、エーダイのボンドカー(潜水艦仕様)があるが、前者の方が箱替えを繰り返して(確か最後の頃は「ZEPPANシリーズ」と本末転倒な名前で発売されていた気が……)長く生産されており、まだ手に入る可能性は高い。
そのニチモのキットは、発売当時のカーモデルの標準である、モーターによる走行を前提にしたものであるが、ボディはカチッとしたモールドで成型、室内もきちんと再現され(電池ボックスのスペース確保のため、やや前方に詰まっているが)当時のメーカーの技術力の高さが窺われる。ただし、古いキットのため、パーツのあちこちにヒケや突き出しピンの跡があり、組み立ての際には各パーツのすり合わせが必要なのは、制作時に注意する点のひとつである。
干渉する部分は切り離して対処
今回の制作にあたっては、エンジンがレリーフ状にモールドされたパーツが、シャシーのモーターをマウントする部分に当たってしまい、ボディとシャシーを組み合わせる際に干渉したので、シャシー側のマウント部を切り離すことで対応した。また、リアハッチのヒンジ部分も運転席の隔壁と干渉するので、ヒンジの部分を切り離してしまった。私の組み方がまずかったのかもしれないが、皆様も制作の際には気を付けてほしい。
編集部(注:自動車模型専門誌「モデルカーズ」編集部のこと)から送られたキットは「史上の栄光車」シリーズのもので、デカールはもともと付いてはおらず(説明書はデカールが付いていた版のものそのまま)、別途メーカーに注文して手に入れなければならなかったかと記憶している。さすがに現在は注文できないので、エンブレム等のデカールはパソコンで自作した。リトラクタブルライトは閉状態か開状態の選択式で、今回はパーツを接着せず、完成後も差し替えができるようにしたが、腕に覚えのある方は、軸を自作して開閉可能にするのもアリだと思う。
できることなら、このエスプリに限らず、スーパーカーブームの頃に胸ときめかせた車のフルディテールの決定版キットが欲しいという方は、まだまだ大勢みえるのではないだろうか。メーカーさんには頑張ってほしいところである。
※この作例と文章は自動車模型専門誌「モデルカーズ」226号(2015年)で発表されたもの。その翌年フジミからエスプリS1が新規金型で発売されているが、フルディテールキットではなかった。