数々のガレージ作品を作り上げてきた一級建築士と、モータージャーナリストやミュージシャンとしても活躍する施主がタッグを組んだ、新たな木造キットガレージ
ここでは、「モノ(ガレージ)」ではなく「ヒト」にフューチャーすることから書き始めたいと思う。Kさんは『NAVI CARS』や『MOTO NAVI』などクルマ&バイク雑誌メディアを立ち上げられた方で、筆者にとっては業界の先輩にあたる人物である。一緒に仕事をしたことはないものの、ニューモデル発表会などでご挨拶をすることはあった。そんなKさんとはSNSを通じて繋がっており、Facebookだったと思うが半年ほど前、「ガレージを建てる!」というタイムラインを見かけており、気に掛けていた。
それから数か月経った昨年末のこと、以前『GarageLife』でコラムなどをお願いしていたことがある「Ka デザイン」の建築士である山本健太郎さんとお会いする機会があった。その際に「Kさんが住んでいる南房総の家に新しいキットガレージを建てたんですよ」との話。ここで点と点が結ばれた。私は早速現地へ伺うことにした。
【写真15枚】ギャラリーやライブスペースなどさまざまなスタイルで活用できる
横浜青葉インターから首都高横浜北西線に乗って大黒ふ頭で湾岸線へ、アクアラインを使い房総へ渡り、東関道を南下。あっという間にガレージのある南房総市へと着いた。
Kさんは新型コロナウイルスが流行し、生活スタイルに変化が現れたこと、元々千葉で生まれ育ち、サーフィンなども楽しむために、いずれは房総の海から近い場所に住みたいと考えていたことから、数年前に賃貸物件を使い、東京の住まいとの2拠点生活を送っていた。現在は東京の住まいを引き払い、南房総の家と都内や全国各地の仕事先でホテルを利用する生活となっている。そんなKさんがガレージを持つまでに至った経緯を伺った。
「アルファロメオ・スパイダーや数台のバイクを持っているのですが、千葉の住まいにはガレージが無いので東京に置いていました。東京の住まいを引き払って千葉を本拠点とすることになった際に、住まいのオーナーに空き地となっている場所に『ガレージがあったら……』と話しました。オーナーもクルマ好きで理解をしてくれたので次はガレージの選定です。
当初は安価で簡単な輸入スチールガレージを建てるつもりだったのですが、房総半島は風が強い日があって台風の被害などもしばしばあるので、飛ばされてしまうかもしれないと思いました。そこで以前私のオフィスの設計もお願いしたことのある山本健太郎さんに相談したところ、”安く、手軽で、カッコイイ”キットガレージを設計してくれることになったのです」とKさん。
ガレージを拝見してみると、ガルバリウム鋼板の外壁やOSB 合板の内壁など、コストが抑えられていると思えないほど素敵な雰囲気でまとめられている。基礎コンクリートこそ職人にお願いしたそうだが、ガレージ本体はSNS で呼びかけた仲間の手を借りながらDIYで組み上げたということ。
ポイントとなっているのは「I型ジョイスト」という構造材を用いていることで、高強度かつローコストを実現している。Kさんは今後ガレージをギャラリーやライブスペース、カフェなど様々なスタイルで活用していきたいと話してくれた。
設計:有限会社Ka デザイン一級建築士事務所 東京都足立区青井6-3-18
Phone/050-1072-4804 www.ka-design-studio.com/