歴代Mモデルから最新のレーシングカーまでMモデルだらけの祭典!
日本は師走に入りましたが、このレポートをお届けしているドイツは10月の終わりで紅葉が美しい季節となりました。この夏には殆ど雨も降らなかった事もあり、例年よりは葉の枯れ方が違って黄色い発色が悪い感じがするのが残念なところです。
【画像135枚】大盛り上がり! ドイツ・ミュンヘンで開催されたBMW M 50周年イベントの模様はコチラ
今年のモータースポーツのシーズンもそろそろ終わりを迎え、私の怒涛の取材旅行も落ち着いてきました。忙しい時は狭いミュンヘンのアパートへ帰りたいと思っていたのに、いざ自宅にいると旅が恋しくなるという矛盾に自分でも笑ってしまいますね。
2022年は我が家からすぐ近所に本社があるBMW のMが50周年を迎え、ニュルブルクリンクとスパ24時間レース等の主要レース会場を中心に世界各地で様々なイベントを行っていましたが、そのファイナルともいえるイベントを3週間に渡って、本社敷地内にある大型ショールームBMW Weltで行われました。
1972年に本社近くのプロイセン通りに誕生したM。元レーシングドライバーであり、ル・マンなど世界中で活躍したヨッヘン・ネアパッシュ氏が初代代表取締役に就任し、僅か数名のスタッフではじまったMですが、モータースポーツのDNAを刻み込んだMは、50年の時を経て世界中で愛されるブランドとなりましたね。『M』を意味するのはまさしくモータースポーツ! 3週連続で行われたこのM50周年記念イベントの最後を飾るのはモータースポーツを中心としたイベントで大盛況でした。
今季にデビューしたM4 GT3を駆り、DTM(ドイツツーリングカー選手権)に初参戦を果たしたシューベルトモータースポーツが、今季のチームタイトルとドライバーズタイトルを獲得し、見事シリーズチャンピオンという大快挙を遂げたのですが、そのオーラ溢れる真っ赤なShellカラーのM4 GT3がフロアの真ん中で輝いていました!
なんと、DTMのチャンピオンを獲得してすぐにこちらへ持ち込まれた実車です。多くのファンが詰めかけてその姿をスマートフォンに収めていたのは言うまでもありません。他にも来年デビューするM4 GT4、そして来年にはアメリカのIMSAでデビューをするハイパーカーのショーカーやM2 CSレーシング等が並びました。
普段のBMW Weltには一般的なモデルのBMWやMINI、Mの他にバイクの最新モデルが並び、入場料は無料で自由に見学ができ、カフェやレストラン、ショップが併設されている施設で、隣接するBMWミュージアムと共に地元市民だけではなく、観光客にも人気のスポットなのです。
このM50周年のイベント期間はメインのBMWフロアは全てMモデルに換えられ、早速発表となったばかりの話題のXMモデルやM2、M3ツーリング、そしてもう完売して手に入らないM4 CSLら話題の新モデルも展示されていました。お値段を見ると、さすがに私の収入に対してちょっと引くレベルでどうやっても購入不可能ですので、本当に見るだけでしたが(笑)。
この3週間のイベントの初日からは、バイクのMotoGPのオフィシャルカーが建物の外部をぐるりと囲んでめちゃくちゃカッコ良かったです! MotoGPにはBMWは参戦していないのですが、セーフティカーやメディカルカーを提供している他、シリーズチャンピオンにはMモデルの車両が賞品として贈られているんですよ。従って歴代のMotoGP王者たちはみなMモデルを所有しています。
また、BMW Welt屋外スペースでは、第1週目にはMotoGPのVIPシャトルを使ったオフロード体験。第2週目はレッドブルのドリフトショーが第3週目にはM4 GT3を駆り、ヨーロッパを中心に活躍する主要カスタマーチームのROWEレーシング、シューベルトモータースポーツ、ヴァルケンホルストモータースポーツがトランスポーターにレーシングカー積んで大集合!レーシングカーのコックピットやエンジンルームが公開された他、ピットストップチャレンジも行われました。
ファンはもちろんの事、Mの関係者、ワークスドライバーに加え、日頃実戦で戦うレースメカニックらも参加して大盛り上がり。ピットストップの1秒差に左右されるレース中にはドライバーはやきもきするのですが、実際に自分でタイヤ交換をしてみると、その難しさに苦笑するシーンもありましたよ。
他にもワークスドライバーのサイン会やBMWの活躍するレースをサポートするワークストランスポーターの内部の公開、レースメカニックの質疑応答コーナー等、ファンにとってはテレビやサーキットでは間近に見る事ができない部分や、レースやレーシングカーについて楽しめる機会となりました。ちびっ子からお年寄りまで数多くのファンが集まり、活気に溢れた3週間でしたね。
私も連日足を運び、楽しくイベントを見学しましたが、MotoGP世界王者のヴァレンティ―ノ・ロッシファンだという男性は、来年からM4 GT3を駆りGTレースに参戦する予定のロッシがドライブするマシンを早速見学に。来年が待ち遠しくて仕方がないそうです。
実はこのイベントの日曜日最終日の午後に発覚したのですが、展示車両からエンブレムやMパフォーマンスのパーツ類等、数多くのモノが盗難に遭っていた事が発覚するという非常に残念な事もありました。あちらこちらにセキュリティーの防犯カメラが設置されているというのに、非常に大胆な犯行です。他にもせっかくファンに開放されたBMWワークスのトランスポーターの中もかなり酷い状態に荒らされたりと、せっかくファンの方々に身近にモータースポーツを体感して貰おうというイベントも、心無い一部の人物の為に台無しになり得ます。
来場者は地元の方だけではなく、色んな国の方々がいらしていましたので一概にどの人種が悪いとは言えないのですが、日本だったらそんな事はなかっただろうな、とふと思いました。
ところで、先日に初めて逆走車と正面に遭遇して本当に驚きました! アウトバーンのサービスエリアで休憩した後に合流車線へ入る手前で少しずつ加速していたタイミングで、出口から猛スピードで入っているクルマが向かってくるではありませんか!!
一瞬、なんで?!と頭が真っ白になりました。正面衝突を避けたくて停止したのですが、対向車の運転手がパッシングをして「お前が逆走をしている、どけ!」と物凄い剣幕で怒鳴って、クルマを降りてこちらに向かおうとしています。あまりにも驚いて、こちらは声さえも出ず、ひたすら恐怖で固まりました。助手席の女性もコブシを挙げて怒っています。
薄暗くなりかけていた時間なのですが、両者とも60歳~70歳代に見えました。どうやって出口から逆走してきたのかは不明ですが、本当に恐ろしい出来事でした。カーラジオの交通情報では毎日のように逆走車の情報が入りますが、自分で遭遇したのは初めてで、衝撃的でした!
ドイツのアウトバーンは通行料が無料ですので料金所がありません。ですから、逆走になりそうなポイントは多々あるのですが、実際に遭遇するとは誰が予想するでしょう。
間もなく冬時間に変わり、日没が更に早まります。日本の高速道路と違い、ドイツのアウトバーンは本当に真っ暗で、特に速度制限解除区間で真っ暗な中で200㎞/h前後で走行中に、その距離感が分からないドライバーが急にゆっくりと車線変更をしてくるのもかなりの恐怖です。少しは防止策になっていますので、オートライトで走る事にしているのですが、それでも突然ノロノロドライバーにはヒヤヒヤドッキリ!
余談ですが、いつもなら給油の為に一度アウトバーンを降りて給油するのですが、近くに営業中のスタンドがなく、夜も遅かったのでアウトバーンのガソリンスタンドで仕方なく給油をしましたが、1Lが2.39€=約360円!! もちろん満タンにはせず、取り敢えず家に帰れる15Lだけにしましたが泣きそうでした。日本語で『高いわ~』とつぶやきながら給油していました(苦笑)。きっと130km/h位に留めて走ればよいので、頑張ってはみるのですが、だんだん耐えられずに踏んでしまうでしょうね。
この記事を書いた人
武蔵野音楽大学および、オーストリア国立モーツアルテウム音楽院卒業。フリーランスの演奏家を経て、ドイツ国立ミュンヘン大学へ入学。ミュンヘン大学時代にしていた広告代理店でのアルバイトがきっかけでモータースポーツの世界と出会い、異色の転身へ。DTM、ル・マン/スパ/ニュルブルクリンクの欧州三大24hレースを中心に取材・執筆・撮影を行う。趣味は愛車のオープンカーでヨーロッパのアルプスの峠をひたすら走りまくる事。蚤の市散策。
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