「世界一美しいクーペ」をじっくりと組み上げる喜び!フジミ製プラモ「BMW M635CSi」【モデルカーズ】

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初代6シリーズ最強のモデル、それがM635CSi

BMWの6シリーズは、今では5ドア・ハッチバックとなっているが(日本での販売は現在終了)、かつては美しいボディを特徴とする2ドア・クーペ/カブリオレであった。その初代であるE24型系は、1976年に発表されている。E24にはカブリオレはなくクーペのみで、そのボディラインは、当時のチーフ・デザイナーであるポール・ブラックの手になるもの。逆スラントのノーズからなだらかなテールまで、そのスタイリングは絶妙なバランスで構成されており、「世界一美しいクーペ」の評価をほしいままにしている。

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翌年に発売となった当初の6シリーズは、630CSと633CSiの2モデル構成だった。前者は3L/185hp、後者は3.2L/200hpのエンジン(いずれも直6 SOHC)をそれぞれ搭載している。シャシーは前ストラット/後セミトレの、ノイエクラッセに端を発する熟成のメカニズム。1978年には635CSiを追加、これは3.5L/218hpに拡大したM90エンジン(先代にあたる3.0CSが搭載していたもの)を載せた、よりスポーティなモデルで、外観上も前後にスポイラーを装着するなどしていた。

本題のM635CSiがデビューしたのは、サスペンションの変更なども含むマイナーチェンジ(1982年)を挟んで1984年のこと。これは635CSiとは異なり、エンジンはBMW M1と共通のM88(直6 DOHC)を搭載したもので、初代6シリーズ中最強モデルとされている。エンジン最高出力は286hp、シャシーは再設計され5速ミッションやブレーキも強化、最高速度は255km/hに達した。6シリーズはその後、1987年には大型バンパーを装着するなどのマイチェンを行い、1989年まで生産されている。

丁寧に作業すれば完成させるのは難しくない
さて、初代6シリーズはタミヤ、フジミ、モノグラムなどからプラモデル化されているが、ここでお見せしているのはフジミ製キットの完成品である。これは1/24スケールのエンスージアストモデル・シリーズに属するもの。パーツ割りを1/12スケール並みに細分化し、エンジンや足回りを精密に再現したキットであるが、E24系を全網羅というわけではなく、635CSiレース仕様やハルトゲH6S、アルピナB7ターボなどのバリエーションを展開していた。作例は、その中でも現在入手可能なM635CSiをフィニッシュしたものである。

前述のとおりキットは細かなパーツ割りと細部までの再現が特徴で、シャシーやエンジンが再現されるだけでなく、トランクフードも開閉可能、その中にはスペアタイヤとバッテリーが収められているというコダワリぶりだ。また、前後フードとも裏側のフレームが別パーツで付属、エンジンフードには断熱材のスポンジも付くという、1/24としては極限に近い内容となっている。ボディ形状は低く、ワイドにデフォルメされているようで、実車とは若干イメージが異なるのだが、この再現ぶりはそれを上回る魅力であろう。

それだけに、パーツ点数の多いキットを組み立てる際の困難と無縁ではないが、基本的には、ひとつひとつのパーツをしっかりと処理して組み立て、塗装の前にできるだけ一体化を進めておけば、それほど難しいことはない。接着箇所の凸凹が明確でないパーツが見受けられるので、そうした箇所は仮組みして接着位置を確認し、金属線で補強を兼ねて接着位置を確定しておくと良いだろう。

もうひとつ注意したいのは、プラの質が柔らかいため細いパーツが折れやすいことだ。それもあり、作例では、スタッドボルトを模したパーツはボディとシャシーを合わせて他の全てのパーツを組んでから取り付けを行った。ハブのパーツとホイールとは極小ネジで接合するのだが、説明書にあるように、これはあらかじめネジを数回締めて穴を拡げてく必要がある。

エンジンルームの補機類は沢山パーツが用意され、実車同様にクリアー部品とされている箇所もあり、精密感たっぷりだが、取り付け位置や向きがいまいち明確ではないので、実車写真を参考に位置や向きを確認しておくことが重要だ。最後にボンネットが閉まらない、ということがないよう、取り付高さを確認しながら取り付けていくことがポイントであろう。

作例制作=棚瀬和重/フォト=羽田 洋 modelcars vol.196より再構成のうえ転載

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