簡単に撤去できるユニットガレージでも、工夫次第で素敵なガレージにできる好例
京都府在住のNさんは「シングルナンバー」のコレクターとして知られる1人である。シングルナンバーとは、ナンバープレートの地名右側に記された分類番号が1桁のものを指す。現在は3桁表示になっているが、昭和40年代中期までに登録されたナンバープレートは1桁となっており、ナンバーを取得したときから継続してクルマを維持してきた証となるのだ。
そのナンバーを継続するためには、ワンオーナーで所有し続けるか、登録された場所でナンバーを更新し続けねばならないため、地元に住む理解あるオーナーへとクルマが大切に受け継がれる必要がある。Nさんはこのナンバーに魅力を感じ、多くのシングルナンバー車を所有してきたという。
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Nさんは昨年、1963年に発売されたホンダ初のスポーツカー、ホンダS500のシングルナンバー車を購入。このクルマは外装こそリペイントされているが、腐りもなく大変コンディションのいい個体であった。今の状態を維持するため、屋内で大切に保管したいと考え、ガレージを建てることを決意したのだという。
賃貸駐車場にガレージを建築!
S500のガレージにふさわしい場所を検討したところ、自宅前の賃貸駐車場がちょうど空くということで大家さんと交渉。ガレージを建てる許可をもらい、ユニットガレージを建てることとなった。簡単に撤去できるユニットガレージであれば大家さんも安心であるし、工夫次第で素敵なガレージになるイメージもできているとのこと。
Nさんのコンセプトは、お金をかけない”貧乏ガレージ”。国内メーカーのユニットガレージカタログを取り寄せ、値段、サイズの検討をしたところ、ヨドコウから発売されている「ユニットガレージ・ラヴィージュ1台用」が土地にも希望にもピッタリということが判明。
理由は特殊鋼鈑で耐久性がよく二重ロックでセキュリティに優れていること。また、オプションで天井高を2m60cmにオーダーできることなどで、昔からの友人でもある「masamune a.h.l」斉藤さんに相談し、施工と仕上げをお願いすることとなった。
ガレージドアを開けるとスゴイんです!?
Nさんの希望は、普段はシンプルな車庫に見えるものの、スチールシャッターを開けたら別世界が広がるというもの。そこで斉藤さんは、ガレージの内壁にパイン材を施工し、暑さ対策として断熱材を入れ、ガレージ内の見た目と快適性を高めることを提案した。
斉藤さんは、京都市内でカフェの内装を手がけるほか、伝統的な床を造る職人として活躍する1人。ユニットガレージを心地よい空間にするイメージもすぐについたということだ。
完成したガレージは、温かみのあるパイン材の内装に、壁面は単調にならないように、クルマの時代背景に合わせた米『LIFE』誌のアドバタイジングをあしらい、趣味の空間を造り上げている。また、床面はクルマが引き立つようガレージ用のペイントを塗っているが、砂をスリップ防止のために活用するなど細かい工夫がなされていた。
完成したガレージは、まさにホンダS500の雰囲気にピッタリの空間。シンプルな空間だけに、主役であるクルマが引き立ち、お金をかけずに素敵なスペースを手に入れることができた。斉藤さんいわく内壁にパイン材を施工したことで、湿気対策になるほか気分によってデコレーションを変えれば、飽きがこないはずとのこと。
スチールのユニットガレージといえば、クルマを保管する車庫というイメージだが、工夫をすることでガレージとして存分に楽しむことが可能なのだ。