プレミアムSUVを”スポーティに走らせたい”もしくは”快適性をアップさせたい”オーナーに!「ブリヂストンALENZA 001/LX100 」試乗インプレッション

石井 昌道
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2022/03/02 18:00

SUV専用に設計されたプレミアムタイヤ

ブリヂストンの“ALENZA(アレンザ)”は2017年から展開を始めた比較的に若いグローバル新ブランドだ。乗用車の中心的な存在になってきたSUVの多様化が進み、なかでもプレミアム・ブランドのモデルはハイパフォーマンスかつラグジュアリーでなければならない。セダンなどに比べると背高で車両重量も増すSUVであるにもかかわらず、その個性についても、ユーザーが主に求めるものが、快適性だったりスポーツ性能だったりと、多岐に渡ってきている。

技術的にみれば背反する要素が多く、基本性能のポテンシャルを高めながら上手にバランスをとっていくしか道はない。装着されるタイヤにもまったく同じことが言えて、SUVの高荷重を支えながらプレミアム・ブランドに相応しい運動性能や上質な乗り心地、静けさなどが求められる。さらにいえば、ご時世的に環境負荷低減というテーマへの対応も必至であり、転がり抵抗低減による燃費改善や摩耗寿命を伸ばすことにも注力せねばならない。二律背反どころか、五つも六つもある要素を、同時に高める必要に迫られた。

そこでプレミアムSUVに向けて新たに立ち上げたのが “ALENZA(アレンザ)”というわけだ。これまでブリヂストンにはSUV用タイヤブランドとして”DUELER(デューラー)”があったが、そこにプレミアムな”REGNO(レグノ)”、スポーティな”POTENZA(ポテンザ)”、環境対応の”ECOPIA(エコピア)”のユニークセールスポイントを融合させたようなものとみていいだろう。プレミアムSUVの足元を支えるには総力戦で挑まねばならないのだ。ただし、”DUELER(デューラー)”がオフロード向けであるのに対して“ALENZA(アレンザ)”はオンロードに特化している点が違う。

2017年に発売された第一弾商品の”ALENZA 001”はプレミアムSUVの運動性能を引き出すことに主眼がおかれたモデルだったが、2021年2月に発売となった第二弾商品の”ALENZA LX100”は静粛性や快適性を重視したモデル。タイヤに求められるあらゆる性能でハイレベルを誇る“ALENZA(アレンザ)”だが、2種類のラインアップでキャラクター分けがなされた。今回は”ALENZA 001”をアウディe-tronに、”ALENZA LX100”をボルボXC90に装着して試乗。プレミアムSUV用タイヤの実力と、それぞれの特性の違いを検証した。

「ALENZA 001」はステアリングを切り始めた瞬間のレスポンスが◎

昨今は欧州メーカーを筆頭に、電動化シフトの動きが慌ただしい。プレミアムSUVでもアウディe-tronのようなBEV(バッテリー式EV)は急速にシェアを伸ばしつつある。いまのバッテリーの技術ではBEVは車両重量が重くなることは避けられず、足元を支えるタイヤへかかる負担も大きくなりがちなことは容易に想像がつく。

BRIDGESTONE ALENZA 001

2017年2月に発売された「ALENZA 001」は、プレミアムSUVのスポーティな運動性能を高次元で引き出すために専用設計されたタイヤだ。オンロードでの高いドライ、ウェット性能に加え、低燃費性能、ライフ性能にも配慮したハイパフォーマンスタイヤとなっている。

それでもプレミアムSUVに特化したブランドの、それも運動性能を重視した”ALENZA 001”だけあって剛性感、しっかり感にはまったく不足がない。街中から郊外路、高速道路まで、つねに頼もしさがあり、たとえ路面が荒れていたり強めの横風を受けたりしてもフラフラするようなことはなく、ビシッとした安定性がある。タイヤの骨格部分がベルト補強材やベルト端補強材などの採用によって高剛性化されているからだ。

コーナリングではステアリング操作でクルマの動きをきちんと支配できている感覚が強い。切り始めた瞬間のレスポンスの良さ、切り込んでいったときの確かな手応えなどはスポーティだ。

高速直進時に外乱で進路を乱されたとき、修正のために微舵を入れたときの反応もたしかで矢のように突っ走っていける。ステアリング操作でクルマの動きをきちんと支配できている感覚が強い。コーナリングではもっとそれが際立ってくる。切り始めた瞬間のレスポンスの良さ、切り込んでいったときの確かな手応えなどはスポーティだ。タイヤをみれば、4本のストレートグルーブに大きめのブロックからなり、ショルダーはスクエア気味。シャープな反応と高荷重時の頼もしさがうなずける構成だ。

運動性能重視で剛性感も高いものの、無用に乗り心地が犠牲になっていないのも「ALENZA 001」の美点。路面からの入力を上手にいなすことで、ゴツゴツ感は抑えられている。

また、ブレーキングではググッとした頼もしい減速感があったのだが、これは制動時のエッジの巻き込み変形を抑制してフラットな接地を実現する“チャンファリング“、ブロックの倒れ込みを抑える3D-M字サイプといったテクノロジーによるものだ。
運動性能重視で剛性感もたっぷりとあるものの、だからといって無用に乗り心地が硬いということはない。引き締まってはいるが、入力の角を上手に丸めた印象で、ゴツゴツ感は抑えられているのだ。また、ロードノイズやパタンノイズは、速度の高まりやザラザラ路面などでそれ相応に高まるが、耳につくというほどではない。パワートレーンがほぼ無音のBEVで不快感がないのだから、プレミアムSUV用タイヤとして十分に合格点であるだろう。

この上ない静粛性と快適性を追求した「ALENZA LX100」の乗り味

とはいえ、” ALENZA LX100”の装着車に乗り換えると、静粛性において上には上があるということを思い知ることになる。まったく音がしないということはないのだが、気になるような音質は徹底的に抑制されている。3Dノイズ抑制グルーブは、”REGNO(レグノ)”で開発されたダブルブランチ型消音器を採用。タイヤの縦溝と縦溝の間に横方向の切れ込みを入れて繋げるとともに、途中で空間を設けることで消音効果をもたらすものだ。一つの消音器で2本の縦溝の気柱共鳴音を抑制してパタンノイズを低減している。

さらに、ショルダー部にクッション効果を持たせて、トレッド部からの振動をサイド部へ伝わりにくくする3Dノイズカットデザインはロードノイズを低減するという。この2つのテクノロジーが、ヒュー、シャーといった高周波音、ゴー、ガーといった低周波音の双方を抑制して耳障りな音をカット。1ランク上の静粛性を実現しているのだ。実質的な従来品といえる”DUELER H/L850”に比べると騒音エネルギーは22%低減(※)。また、摩耗後も高周波ノイズ低減効果が持続するシークレットグルーブによって60%摩耗時でも9%の騒音エネルギー低減(※)を実現しているという。

BRIDGESTONE ALENZA LX100

2021年2月から販売が開始された「ALENZA LX100」は、従来のSUV専用タイヤである「ALENZA 001」と比較して、より快適性を高めた新製品。全39サイズがラインアップされている。

乗り心地がまろやかなのも“ALENZA LX100”の特徴だ。路面からの入力をしなやかにいなし、快適な乗り心地を実現している。だからといって高速域でフラフラとするようなことはない。基本骨格はプレミアムSUVに相応しい高剛性なものだが、ちょっと厚底にして路面からの入力を和らげているような印象。しなやかだが、腰はあるといった乗り味になっている。

街乗りでは、乗り心地の良さが際立つ「ALENZA LX100」。とはいえカーブでステアリングを切り込んでいけば粘りのある走りが愉しめる。

ステアリングを切り始めたときのレスポンスは”ALENZA 001”に比べるとマイルドだ。キビキビ感はあまりないものの、素直に曲がり始める感覚であり、切り込んでいけばグーッと粘りが増していく。穏やかなタッチだが、荷重を支える体幹はしっかりしているのだ。

「ALENZA LX100」では、プレミアムタイヤの”REGNO(レグノ)”で開発されたダブルブランチ型消音器を採用するなど、静粛性に注力しているのが特徴だ。

スポーティな”ALENZA 001”とコンフォートな”ALENZA LX100”のキャラクターの違いは明確だ。あらゆる項目でハイレベルを要求されるプレミアムSUV用タイヤとして、どちらも高い実力を誇っているが、それぞれに個性をも際立たせている。クルマのキャラクターに合わせて、あるいは好みよって選択すれば、どちらも高い満足感を得られるだろう。

今回、「ALENZA 001」と「ALENZA LX100」の試乗インプレッションをしてもらったのは自動車ジャーナリストの「石井昌道」氏。これまで数多くのタイヤの評価を行っており、タイヤに関する知識も豊富だ。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

※詳しくはブリヂストンのHPを参照

ALENZAサイト

LX100サイズ表

001サイズ表

フォト=篠原晃一 K.Shinohara

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