【VWゴルフIV弾丸テスト】周囲の雑音に惑わされずに落ち着いて乗れる【VW GOLF FAN Vol.2】

2021/01/11 12:00

※この記事は2004年12月に発売された「VW GOLF FAN Vol.2」から転載したものです。

Volkswagen GOLF Wagon GT

もし1台の車に長く乗ろうと考えるなら、モデル末期にあるクルマを選択するべきだ――。
よくいわれていることだが、これは真理。なぜなら、モデル初期にあった様々な問題点が解消され、熟成の域に達して、ほぼ不満のない仕上がりになっていること確実だからだ。いまなら、ゴルフIVのワゴンがそれにあたるはずだが、そのあたりを紅葉を求めてつつの弾丸テストでチェック!

ひとつの理想的完成型

ゴルフはV型にモデルチェンジを果たしたものの、ワゴンに関してはまだ当分型のまま継続される。今回の弾丸テストにはその高性能で豪華版のゴルフワゴンGTを引っ張り出してみた。
ゴルフのコンセプトを思い起こすと、外寸はコンパクトなままルーミーな室内を得る、という試みから高さ方向に余裕をもったデザインを採用している。当時はそのボクシーなハッチバックは異端でもあったが、ゴルフは時間と共にこれを主流にしてしまった。
しかしガラス面積の縦寸法が大きいスタイリングはチョロQ的でもあり、上が重い印象も拭えない。そこでキャビン部分をより長くすれば見た目にも安定する。これはまさにワゴンで実証された。ゴルフはワゴンの方がカッコイイと思うのはボクだけだろうか。

メーター類の夜間照明は、ご存知のように鮮やかなブルーとレッド。視認性はきわめて高い。

IV型はAピラーを湾曲させて全体に丸味をもった新世代に入ったが、V型のワゴンを見ていなからなんともいえないけれども、ワゴンはすーっと長いからこそカッコイイ部分もあり、それにはストレートなラインこそ特徴が強調される。このIV型ワゴンのスタイリングは歴代ゴルフの中でも傑作であり、ひとつの理想的完成型として後世に残せるものである。
走り出せばまさにゴルフ、なれ親しんできた世界の標準車という自然な感覚があり、予備知識なしでも昨日まで乗っていたクルマの感覚で操れることに、いまさらながら感心する。まったくの新型車にのるとどこかしら違和感を覚えるものだが、このクルマにはそれがない。モデル末期のクルマはそれなりに改良されており、NG領域の対策はすでに済ませてあるからかもしれない。
サイドミラーが大きくなってまともになったことも嬉しい。面積的に小振りだった初期型は視野範囲が狭く、斜めの合流などでヒャッとしたことなど、もう忘れてしまっていい。

ターボパワーに悪癖なく

今回の行く先は東北。赤や黄色の紅葉を求めて山野を走り回ればGTの動力性能も生かせるはずだ。借用時の満タン具合は不明だし、都内の通過などの渋滞は平均燃費を下げることにもなるので、東北道にのるまえにリセットの意味で給油する。

紅葉を求め、東北に向けて走り出したものの、山々はすでの初冬の趣。ただ弘前城を囲む公園は、まさに紅葉の真っ盛り。きわめて日本的な、美しい風景を堪能した。

朝5時20分に横浜を発ったものの、実はMカメラマンを迎えに行く時に池袋線で東北道に出たのはいいが、加平で下りるには右へ戻らなければいけないところを左にとってしまった。早朝の速い流れの中であれよあれよという間に下り損ない、結局外環状を回って常磐道に迂回した。これが失敗のもとで、三郷の料金所手前から通勤渋滞にはまってしまい加平までノロノロというか、まったく動かない時間もあった。それゆえ8.3km/Lは実用燃費としてもそれほど悪い数字ではなく、高速燃費に期待をつなぐ。
最初の給油は岩手山パーキング。盛岡を過ぎたあたりでポーンという警報音がして黄色いランプが点灯する。燃料タンク容量は55リッターゆえ、500kmを目安にしていたのでそろそろ給油しようと思っていたところだ。結果は10.6km/Lと期待したほど良くはない。ターボパワーをもってすれば、5速の100km/hで2500rpmは回し過ぎだ。もう少しハイギアードな設定でもいいかなと思うが、トップギアによる加速が問題となるドイツではこれで普通なのだろう。

青森港のフェリー埠頭にて。大きな口を開けるフェリーの前にクルマを置いてみると、巨大な昆虫に襲われるようなシーンが出現。

ターボパワーは特に意識されるような悪癖はなく、初期のターボモデルに見られた吹き残りも減少した。インタークーラーとインテークマニホールドを繋ぐゴムパイプは、繊維質のメッシュで巻かれ膨らまないように対策してある。強いてターボの特性を感じるとすれば、加速してそろそろこの辺でシフトアップさせようと右足を緩める頃になっても、加速の勢いは衰えないから、ついついもう少し回してもいいかという気になってしまう点か。
これが右ゲートでマニュアルシフトしている時には、手の方が動くので低い回転帯でも使えるが、このATはDレンジに入れっぱなしでも痛痒はないので、全体を通じてみればエンジンブレーキを使用したい時以外はマニュアルでアップさせる機会は少なかった。

海岸はもう完全に冬景色。冷たい風が強く吹き、波も荒かった。砕け散る波のしぶきが頬にあたって、本当に寒かった。

小坂で東北道を下りる。12250円と高いが611kmで割ればkmあたり20円と割安にはなる。
十和田湖周辺はすでに紅葉の時期を終え、枝に葉はなく冬を待つ時期に入っていた。奥入瀬にも水はすくなく冬の渇水期状態。山の上では期待した紅葉は見られなかったが、里におりるとまだ銀杏などの黄色い樹木も目立った。初日は八甲田山を巡って青森泊まり。
ゴルフの長距離走行での美点はシートの座り心地がいいことだ。ランバーサポートの調整代も大きいし、座面の後傾斜角を始めとして基本的な構成がしっかりしている。したがって腰などの疲れはすくない。初日で850kmも走れればマシな方だろう。

ワゴンGTは遠くに行けば行くほど、そのよさが分かってくる。今回の東北への旅は、紅葉こそ十分に味わえなかったものの、ワゴンGTの実力を改めて知るよい機会となった。ターボの加速のよさはやはり運転をラクにするものであると、再認識した。

VW GOLF FAN Vol.2から転載

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