新型「Sクラス・ロング」よりホイールベースを180mmストレッチ。2021年後半からは一定の条件下で自動運転する「ドライブパイロット」を搭載予定
11月19日、ダイムラーはフルモデルチェンジを受けた「メルセデス・マイバッハSクラス」を発表した。受注は多くの市場で年内から始まり、ドイツでは2021年の春から顧客へのデリバリーがスタートする。
今年9月にフルモデルチェンジを受けた新型「メルセデス・ベンツSクラス」にも、ハイエンドラグジュアリーシリーズに位置付けられる「メルセデス・マイバッハ」モデルが設定された。
ボディサイズは全長5469×全幅1921×全高1510mmで、ホイールベースは3396mm。新型Sクラスのロングボディと比べて、全長とホイールベースがともに180mmストレッチ。ちなみに標準ボディのSクラスとの比較では、全長&ホイールベースが290mm長いことになる。
全長およびホイールベースの拡大は当然ながら後席の居住性に生かされており、マイバッハSクラスがエクゼクティブを後席に迎える「ショーファードリブン」としての役割に軸足を置いたモデルであることを、新型でも明確に示している。
内外装は従来型と同様に、マイバッハ仕様を特徴づけるディテールを随所に採用している。エクステリアでは「MAYBACH」を表示するフロントグリルのほか、専用デザインバンパーやCピラーに装着されるブランドロゴ、ホイールがマイバッハモデルを主張。2トーンを設定するボディカラーもマイバッハらしい特色だ。
上質なウッドやレザーをふんだんに使用したインテリアは、専用デザインのメーターを採用したほか、「エグゼクティブシート」と呼ぶ2名掛け後席が特徴。このリヤシートは乗員の快適性が追求されており、多彩な調整を可能にする電動アシスト機構が備わるほか、高機能なマッサージを搭載。シートベルトは乗員が乗り込むと肩口から自動でせり出し、スムーズな装着をアシストする。ちなみにこの機構はこれまで、メルセデス・ベンツのクーペやカブリオレに採用実績があるが、セダンでは初採用だ。
後席シートバックは最大で43.5度リクライニング可能。リヤエンターテインメントシステムや電動オットマン、折りたたみ式テーブルといったアイテムが標準装備される。
AI(人工知能)を用いた対話型インフォテイメントシステム「MBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)」は、当然後席にも対応。乗員の呼びかけによってエアコンをはじめとする各種操作が可能なほか、ルーフライナーに組み込んだ3Dレーザーカメラを用いた「MBUXインテリアアシスト」により、乗員の手や身体の動きも検知し、各種の操作ができる。
設定されるエンジンは、まだ明かされていないが最大15kW(20ps)のブースト機能をもつ第2世代のスタータージェネレーターを組み合わせるマイルドハイブリッドを採用。マイルドハイブリッドパワーユニットに最適化された9速AT(9Gトロニック)や、継続的に調整可能なエアサスペンション「AIRMATIC」が標準搭載され、スムーズで快適な走りを実現する。
さらに「アクティブ・ロードノイズ補正」システムを搭載。逆位相の音波によって不要な低周波ノイズを低減し、車内の静粛性を向上させている点も見逃せない。
オプション装備としては、4.5度または10度の舵角から選べる後輪操舵システム「リヤアクスルステアリング」や、48Vベースの「E-アクティブボディコントロール」サスペンションを設定。リヤアクスルステアリングは、標準が6.7mの最小回転半径が4.5度仕様で6.2mへ、10度仕様では5.7mになり、小回り性向上に寄与。E-アクティブボディコントロールは、ステレオカメラにより前方路面を検知し、それを予測したダンピング特性にすることで快適な乗り心地をさらに高めるほか、側突事故の際に車体が上昇して衝撃を低減させ、乗員の保護性能を高める。
2021年の後半からは、さらに進歩した自動運転技術が採用される予定で、搭載される「ドライブパイロット」は、高速道路等で一定条件を満たすと車速60km/hまでの範囲で運転操作をクルマに任せることができるという。