”ロールス・ロイス・コード”? 複雑な暗号が内外装に織り込まれた50台限定の「クリプトス・コレクション」
ロールス・ロイス・モーター・カーズはこのほど、クーペモデル「レイス」をベースにした世界50台限定のコレクションカー「レイス・クリプトス・コレクション」を発表した。
ロールス・ロイスのコレクションカーは、芸術的な才能とスキルを詩的に具現化したもので、同社のビスポーク部門の高度な技術力を示すもの。最高級の素材と現代のテクノロジーを用いて、限られた台数が製造される。
このたび発表されたレイスのクリプトス・コレクションは、アメリカの彫刻家ジム・サンボーンが手がける暗号をテーマにした作品「クリプトス」に着想を得たもので、内外装の随所に複雑な暗号が織り込まれているのが特徴だ。
同社のビスポークデザイナー、カトリン・マーレン氏は、次ように説明している。
「クリプトスとは古代ギリシャ語に由来し“目に見えないもの”、“隠されたもの”、“暗号化されたもの”、“神話的なもの”を意味しています。暗号は何千年にわたってその歴史をたどることができ、世界で最も素晴らしい頭脳を持つ人たちの想像力を刺激してきました。私はデザイナーとして記号や絵文字、暗号を使用して、ごく少数のエリートにしか理解できないメッセージを伝えるというアイディアに魅了されてきました。解読のためのキーを見つけることは、芸術作品を理解するために不可欠です」
レイス・クリプトス・コレクションは、車両の随所にさまざまな暗号が組み込まれており、乗員を発見と陰謀の旅へと導く。初めて見る者は純粋に魅力的なデザインに映るだけで、識別可能なパターンはないように見えるだろう。しかし、注意深く見る人、解読するためのキーを持っている人にとっては、インスピレーションを得る体験をもたらす。
同社のトルステン・ミュラー-エトヴェシュCEOは次のようにコメントしている。
「レイス・クリプトス・コレクションは、一見するとダイナミズムの表現方法のひとつでしかありません。しかし、よく見て見ると暗号の裏には一連のメッセージが隠されているのです。お客様の誰かによって、この暗号が解読されることを楽しみにしています」
このクリプトス・コレクションに込められた暗号は秘密とされており、英国グッドウッドの本社、ハウス・オブ・ロールス・ロイスで完全な回答を知っているのは、デザイン担当責任者とCEOのふたりだけだ。そしてその解答は、CEOの金庫に封印された状態で保管されている。50名のカスタマーは同社が展開している専用アプリケーション「Whispers」を介して、その暗号を解くことができる。
さて、このクリプトス・コレクション暗号解読の“旅”は、1世紀以上にわたってロールス・ロイス車のボンネットを飾ってきたマスコット「スピリット・オブ・エクスタシー」からはじまる。謎に包まれた土台には、暗号を紹介するグリーンエナメルの刻印が施されている。フロントバンパーのインサートはこのモデル専用にデザインされたもので、レイス・クリプトス・コレクションに独特のアイデンティティを与えている。
専用色のボディカラー、デルフィック・グレーは、太陽光の下ではブルーとグリーンのマイカフレークが現れる隠れた効果がある。この効果は手描きのダブルコーチラインによって強調されている。上部が新たに開発されたクリプトス・グリーン、下部はダークグレーでシャドウとして機能する。これはどちらもインテリアコードに関連する手がかりを示すものだ。エクステリアの美しさを完成させるのは部分的にポリッシュ仕上げを採用したホイールで、オービット・グレーがベースで中央にピンストライプがあしらわれている。
インテリアでは、暗号がトリムの奥深くに入り込んでいる。ベースの素材はセルビー・グレーまたはアンスラサイトのレザーで、クリプトス・グリーンのアクセントがプラスされている。暗号解読への明白な手がかりはヘッドレストの刺繍とのこと。
ヘッドライナーは、動きのある情報の流れが光で表現された独特の美しさを放つ。イルミネーション付きのドアポケットには、底に向かうにしたがって光がフェードアウトしていく繊細さが特徴で、ロールス・ロイス独自のウーブンレザーとクリプトス・グリーンのステッチを使用してこのモデルのテーマが表現されている。