【海外試乗】「メルセデスAMG GLS63S」これが正真正銘のトップ・オブ・メルセデスSUV

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Gクラスを別格のレジェンドとするならば、メルセデスSUVシリーズの頂点に君臨するのは“S”を冠するGLS。さらにいうなら、アファルターバッハでさらに全身を強化したメルセデスAMGモデルこそ王者の風格。早速、最新の4L V8ツインターボ搭載モデルのパフォーマンスをお伝えしよう。

極上のライドフィールは豪華クルーザーのそれ!?

メルセデス・ベンツがリリースするSUVシリーズのトップモデル、GLSをベースにAMGが開発したGLS63Sの試乗会が3月にアメリカ西海岸のマリブで開催された。あえてこの地が選ばれた理由は、近年AMG製SUVの販売シェアが50%にも達する巨大市場に成長しているからだ。

トップモデルだけに過度な装いは抑えられているが、リアバンパー下のディフューザー、計4本のスクエアなエキゾーストがAMGを主張。

カリフォルニアの陽光が眩いホワイトボディにペイントされたAMG GLS63Sのエクステリアでもっとも目を引くのは、フラッグシップに相応しいフロントエンドの15本の縦格子から成るパナメリカーナグリル、そしてその下の左右に大きなエアインテークを持つフロントバンパーだ。リアエンドは、クロームのアクセントラインの下にディフューザー、その左右から2本ずつスクエアなエキゾーストパイプが顔を覗かせる。全長5.24mの堂々たるボディがどこかコンパクトに見えるのは、23インチの大径タイヤのせいだ。

新世代のAMG製4L V8は2基のボルグワーナー製ターボチャージャーにより最高出力612ps、最大トルク850Nmを発生。トランスミッションは9速AT。

エンジンは4L V8ツインターボで、90度のVバンク内に収められた2基のターボチャージャーにより最高出力612ps、最大トルク850Nmを発生。当然、環境への配慮もなされており、V8エンジンとしては初めて48Vマイルドハイブリッドシステムが搭載される。このシステムはインテグレーテッド・スターター・ジェネレーター(ISG)とDC/DCコンバーター、そして48Vのリチウムイオン電池で構成。ISGはクランクシャフトと9速ATの間に挟まり、スターターとしてだけでなく、16kW(22ps)と250Nmのブーストパワーを発生、アイドリングストップやコースティング時のスムーズなエンジン再始動なども行う。これに加え、GLSではAMGアクティブ・ライドコントロールのアクチュエーターを駆動させる。さらに、低負荷時のシリンダー休止システムが採用されるなどハイテク盛りだくさんのエンジンは、 AMG本社工場で 「ワンマン・ワン・エンジン」工法によって組み上げられる。

23インチホイールには、かつてハマーと呼ばれた1980年代初期のAMG Sクラスを思い起こさせるマットブラックをオプションで用意。

12時の位置にマークの入ったアルカンターラ巻きのステアリングホイールを握りスロットルを踏み込むと、AMG謹製のV8ツインターボは豪快に約2.6トンのボディを加速させる。カタログ値での0→100km/h加速は4.1秒、最高速度はスタンダードで250km/hに制限されるが、オプションのAMGパッケージを選べば280km/hまでリミッターを引き上げることが可能だ。もちろん、まさかパシフィック・ハイウェイで試すことができる速域ではないが、RACEモードでスロットルを踏み込んだ瞬間、その圧倒的なダイナミック性能の片鱗を体感することができたことをお伝えしておこう。

最新のMBUXは「ハイ、AMG!」でも起動。ただし「アーマーゲー」ではなく「アーエムゲー」、あるいは英語流に「エーエムジー」と正しく発音するべし!

とはいえ、このGLS63Sの本懐は、無闇に牙を剥くことのない余裕綽々のクルージングにある。法定許容速度65マイルでの走行で48Vマイルドハイブリッドによってエンジンを停止させ、エアサスペンションによる極上の乗り心地に身を委ねている感覚は、まさしく豪華クルーザーのそれ。並みのSUVよりもホイールベースが長いGLSの場合、前後重量バランスが2%ほど前方に移動することで操縦性もきわめてスムーズ。ボートや馬をトーイングして休日を過ごす豊かなライフスタイルが、自然とアタマに浮かんでくる。

GLS63Sは、まず主力の北米で発売が開始されるが、時期や価格は現時点では発表されていない。

キャビン内は2+3+2の7シーターで、ルーフラインが後端までフラットなため、基本的にどのシートに収まっても快適に過ごせる。

ルボラン2020年7月号より転載

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