【比較試乗】「BMW 118i vs メルセデス・ベンツA180」FF化でタイマンに待ったなし!

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ここまで価格やパッケージング、駆動方式が近づくとエンドユーザーの選択は実に悩ましくなる。新しい分、今は新型1シリーズに分がありそうだが、今後のマイチェンや新型アウディA3の投入で、立ち位置が変わる可能性は十分にある。

新型1シリーズはパッケージングで優位に

「ついに」というか「とうとう」FF化した新型BMW1シリーズが日本に上陸した。コンパクトセグメントで最後までFRにこだわり続けていたBMWだが、ニュー1シリーズの投入で、ライバルと文字通り足並みを揃える事となったのだ。

左がMERCEDES-BENZ A180 STYLE、右がBMW 118i

世界中の自動車メーカーが、コンパクトカーに前輪駆動を採用するのは、パッケージ効率が高く、キャビンスペースを大きく取れるからだ。ユーザーがより広いスペースを求める中で、衝突安全性の要求を満たすには、エンジンを縦置きする後輪駆動では、特にコンパクトカーでは分が悪いのである。

1シリーズ(右)とAクラス(左)を並べると全長とホイールベースはともに1シリーズの方が短いが、全高は高い。ちなみに1シリーズの後席レッグスペースは、先代比で40mm拡大された。

かくしてエンジン横置きの前輪駆動となったニュー1シリーズのプロポーションは、長いボンネットが特徴的だった先代までとは大きく変化した。最大のライバルである新型メルセデス・ベンツAクラスと比べてみても、ボンネットの長さはほとんど変わらない。

だが、1シリーズとAクラスでは、コンセプトの違いがプロポーションによく現れている。低く、スポーティなルックスを重視したAクラスに対して、1シリーズはショルダーライン、ルーフ共に高く、パッケージ効率をより重視したことが想像できる。ボディサイズやホイールベースを見てもらえば理解してもらえると思うが、1シリーズは全長、ホイールベースともAクラスより短く、よりアップライトなパッケージングとなっているのである。

BMW 118i

結果、1シリーズの後席足元の空間は、先代から40mm拡大した。身長176cmの筆者がドラポジを取った状態でリアシートに座ってみても、膝前に拳が縦にひとつ入るくらいの余裕があり、Aクラスと比較しても全く遜色ない。ラゲッジルーム容量もAクラスの370Lに対して1シリーズは380Lを確保している。つまり1シリーズは、パッケージングの点でライバルと互角か、それ以上を実現したと言って良い。

BMW 118i/先代と比較すると、後席のヘッドスペースは確実に広い印象。

走りの方はどうか。今回比較したのは、Aクラスが136psと200Nmを発揮する1.3L直4ターボ+7速ATのパワートレインを積んだA180スタイル、1シリーズは140psと220Nmを発揮する1.5L 3気筒ターボ+7速DCTを積む118iだ。

BMW 118i/ラゲッジルーム容量は380Lを確保。

結論から言ってしまうと、この2台の比較では、118iの方が好ましかった。4気筒を積むA180は、確かにエンジンはスムーズに回るのだが、低回転でのトルクが細いので、発進時や加速時にアクセルペダルを深く踏み込みたくなるのだが、そうするとキックダウン状態になってエンジンが高回転まで回ってしまう、というシーンに何度も遭ったが、118iは発進時からトルクフルでリニアな加速を披露した。これには変速制御の違いも影響しているが、118iの方がドライバビリティに優れていたのは確かだ。

BMW 118i/16インチ・スタースポークホイールにブリヂストン・トランザを装着。

シャシーも118iの方が完成度が高く感じられた。2台とも乗り心地が硬めなのは共通なのだが、舗装の継ぎ目やパッチが多い路面で、A180はバタつきが感じられたのに対し、118iは入力をしっかり受け止めつつ、しなやかさも感じさせるフラットな乗り心地を実現しているのだ。ステアリングフィールも、118iの方が雑味なく上質。静粛性の点でも、118iの方が耳障りな音を上手くカットしていると感じた。

MERCEDES-BENZ A180 STYLE/標準装備の16インチアルミホイールにピレリ・チンチュラートP7を装着。先代よりも後席のショルダースペースは22mm拡大されている。ラゲッジルーム容量は370Lを確保。

と、重箱の隅をつつく感じで比較すると、118iの勝ちとなるが、A180も実力は伯仲している。今後は次期アウディA3と三つ巴で、一層熾烈な戦いを繰り広げることになるだろう。

フォト=安井宏充/H.Yasui (Weekend.) ル・ボラン2020年1月号より転載

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