福島盆地を埋め尽くす雲の海が稜線の道に押し寄せてくる(福島県 磐梯吾妻スカイライン)【雲海ドライブ&スポット Route 19】

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東北随一の絶景ロードでさまざまな雲海と出会う【磐梯吾妻スカイライン】

福島市郊外の高湯温泉と土湯峠を結ぶ磐梯吾妻スカイラインは、東北随一の絶景ロードと言っても言い過ぎではないだろう。全長約27kmにおよぶルートの大半は、奥羽山脈の稜線伝いに延びているため、車窓の左右どちらにも次々とすばらしい景色が現れてくる。しかも、中央分水嶺の稜線地帯は天気が変わりやすく、冬季閉鎖の直後(春)や直前(秋)などには雲海が発生することも多い。

浄土平周辺には、火山活動によって生み出された不思議な風景が広がっている。

土湯峠寄りには湖見峠や国見台、高湯温泉寄りにはつばくろ谷といった展望スペースが数多く整備されているため、雲海を眺めるにも都合がいい。雲の海から頂をのぞかせる磐梯山や安達太良山を仰いだり、福島盆地を埋め尽くす雲海を眼下したりと、変化に富んだ眺めを堪能できる。しかし、磐梯吾妻スカイラインのハイライトと言えば、やはり浄土平だろう。

すり鉢状の火口を空に向けて広げる吾妻小富士。その名の通り、富士山を小さく、そして、上から押しつぶしたような姿をしている。

このルートの中間付近、標高約1600mにある台地は、山岳信仰が盛んだった時代、やっと平坦な道程となることが極楽浄土のようだったことからその名が付いたという説がある。われわれの目には「浄土」と呼ぶには躊躇してしまうほど荒涼とした景観だが、見る者を惹きつけてやまない不思議な雰囲気に満ちている。

磐梯吾妻スカイラインの南側起点、国道115号バイパスの土湯トンネル付近からも福島盆地の雲海は見ることができる。

ときに福島盆地側から押し寄せてきた雲海は、スカイラインや浄土平を濃いガスの中に呑み込んでしまうことがある。そんな時は吾妻小富士に登ってみるといい。山頂の火口壁(お鉢巡り)からは、浄土平全体を覆いつくす雲海を眼下にできることもある。

吾妻小富士(標高1707m)の脇を抜けていく磐梯吾妻スカイライン。浄土平駐車場から吾妻小富士の火口壁までは10分程度、魔女の瞳を眼下にする一切経山の山頂までは約90分で登ることができる。 写真提供:浄土平ビジターセンター

『雲海ドライブ&スポット』より転載。掲載データなどは2017年8月末時点のものです。実際におでかけの際は、事前に最新の情報をご確認ください。

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