楽しい記憶を留める、様々なクルマのイベントの記念品【GALLERIA AUTO MOBILIA】#038

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小さな断片から自動車史の広大な世界を管見するこのコーナー。今回は様々なクルマのイベントの記念品を眺めながら、思い出のかたちについて考えてみたい。

思い出のかたち、メモラビリア

日本のフェラーリのイベントも、’95年にはピエロ・フェラーリを鈴鹿に招待してコンクール・デレガンスが開催されるまでになった。そのフォルツァ・フェラーリの賞品で、F1のパーツがスケドーニの革のしっかりした台座に固定されている。

かつてF1のシートも制作していたモデナのスケドーニは、フェラーリから認定されて様々な革製品を作った。これは、250GTを2台以上所有しているファミリーのみが参加できる超特別イベントの参加記念バック。

モータースポーツにはカップがつきもので、フィニッシュ後にはポディウムでカップを高々と上げるシーンは昔も今も変わらない。またレースで成果を上げた時や、スピード記録を樹立した時に関係者に配られる記念品などもある。

ヒストリック・フェラーリが一堂に集まるイベントの始まりは’83年に開催されたフェラーリ・デイズで、翌年には日本でも開催されて、それから一層、ヒストリック・フェラーリへの関心が昂まった。

時にはオークションで、歴史的なドライバーが歴史的なレースで優勝した時のカップや、様々な記念品などが出品されることもある。そういうカップや記念品の類もメモラビリアとしてオートモビリアの範疇である。

かつてF1のシートも制作していたモデナのスケドーニは、フェラーリから認定されて様々な革製品を作った。これは、250GTを2台以上所有しているファミリーのみが参加できる超特別イベントの参加記念バック。

そんな大層なものでなくても、クルマのイベント、とくに最近のヒストリックカーのイベントでは、参加記念品として、様々なメモラビリアを頂く機会も多い。ヒストリックカーの競技はイギリスにおいては実に古くから行われてきたが、その他の国で盛んになってきたのは、’80年代になってからのような気がする。

アルファロメオの公式クラブにはスクーデリア・ポルテロがある。これは、そのクラブからアルファロメオに乗って競技で活躍した人に受け渡される盾。下はフランスのアルファロメオのクラブの記念の盾。

日本でもイギリスにならって、ごく一部の愛好家によるヒストリックカーのイベントは、それこそ’50年代からあり、CCCJ(日本クラシックカークラブ)のような組織も’56年からあった。だが、やはり多くの人たちがヒストリックカーの魅力を再発見したのは’80年代からだろう。ここ10年くらいの間では、さらに多くの人たちがヒストリックカーの世界に参入するようになった気がする。

往時のミッレミリアで、最終区間を最速で走った者に与えられた賞が不世出の名レーサーの名前を冠するグランプレミオ・ヌヴォラーリの起源で、現在は独立したヒストリックカーラリーとして開催されている。

ヒストリックカーのイベントはローカルなものから、世界中に注目されるイベントまで多様となったが、とくにイタリアで開催される復刻版のミッレミリアは広範囲に強い影響を及ぼした。’27年から’57年まで開催された公道を走るスピードレースが、ヒストリックカーラリーとして復活し、それが世界中のヒストリックカーのイベントに影響を及ぼしたのだ。

昨2018年は、久しぶりにヒストリックカーラリーに参加した。ローマにほど近い山岳地帯の街で催されたチルクイート・ディ・アベッツァーノで、日本からの参加者には名前の入った盾が渡された。

ミッレミリアは、スイスのショパールが参加者全員にそのゼッケン番号を打刻したリスト・ウォッチをプレゼントすることで有名だ。私も’96年から2002年にかけて7回連続で出場したから、7本のショパールを持っていることになる。また他のスポンサーからジャケットやバックなども支給されたので、ミッレミリアの影響から、他のヒストリックカーラリーでも様々な参加賞が用意されるようになったと思う。

コッパ・ジャポネのシリーズでは最近、ファイヤーマスター・ジャパンのプロデュースにより、ドイツの工場でポスターをブリキに印刷している。北島泰明画伯の作品だからこそ制作する価値がある。

レースもラリーもコンクールデレガンスも、コンペティションであるばかりか祝祭でもあり、華やいだ要素がある。それを引き立てるのはポスターや幟などであり、また参加者にとっては特別な記念品がより気分をもり上げてくれるということもあるようだ。

コッパ・ジャポネではマグカップやコーヒー缶なども制作してきた。これならば、Y・A画伯やY・K画伯のヴィジュアル作品を、参加者でなくとも、誰にでも日常から楽しんでもらえる。

こうしてメモラビリアは楽しい記憶を留めるためのオブジェとなるが、個人的な範囲を超えた普遍的で時間の腐食に耐えるものであれば、なお素晴らしい。

ミッレミリアではルート途中でも、いろいろな記念品を貰うことがあった。各地名産のワインなどがよく提供される。これはサンマリノの山越えの時に配られたカップだ。

 

Text:岡田邦雄/Photo:横澤靖宏/カーマガジン489号(2019年3月号)より転載

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