ダイムラーが次世代リチウムイオンバッテリーの開発に着手

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米国のシラ・ナノテクノロジーズと提携。性能を2割アップさせたバッテリーを開発

米国のバッテリー関連のベンチャー企業と提携をすることで、着実にEVシフトへの準備を整えていると言えるだろう。

クルマの電動化が進むなか、カギを握るバッテリーを巡る提携が活発化している。フォルクスワーゲングループは今年初めに米国のベンチャー企業、フォージナノに出資してバッテリー性能の向上を図る動きを見せたが、ここにきてダイムラーグループも同じく米国のバッテリー関連ベンチャーであるシラ・ナノテクノロジーズへ出資。リチウムイオンバッテリーの性能向上へ向けて、ドイツと米国のコラボが一段と進みそうだ。
電気自動車(EV)を含むクルマの電動化に欠かせない次世代バッテリーに関しては、主流となっているリチウムイオンバッテリーの高性能化が図られる一方で、よりエネルギー密度を高められる全固体電池の開発も進められている。フォルクスワーゲングループやダイムラーが提携する米ベンチャーは、リチウムイオンバッテリーの電極素材などを吟味し、よりエネルギー密度を高めるノウハウを研究しており、実現性の高い技術開発を得意としている。
ダイムラーが株式を取得したシラ・ナノテクノロジー社も、電極を現在の炭素主体のものからシリコン複合材料に置き換えることで20%の性能向上が図れるとしており、ダイムラーの次世代EVであるEQブランド車での採用を目指している。ダイムラーはバッテリーは単なる部品ではなく車両アーキテクチャの一部と考えており、今回、資金を投じるとともに取締役を送りこんだのもそうした姿勢の強さのあらわれと見られる。一方でシラ社は独シーンメンスからの出資も受け、BMWと提携したり米ゼネラルモーターズ(GM)から取締役を迎えたりしており、有能なベンチャーに対する主導権争いもかいま見える。
手頃な価格の量販EVでは日産リーフを凌駕するクルマはなかなか出てこないが、48Vのマイルドハイブリッドやプラグインハイブリッドでは欧州勢も効率の高いクルマを世に送り出しつつある。ブレグジットや米中貿易摩擦が怪しい影を落とす世界経済に打ち勝って、蓄えた技術を一気に開花させた市販車が今年あたりデビューすることになるのか!? 各社の動きに注目したい。

ル・ボラン2019年7月号より転載

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