BMW 740i vs メルセデス・ベンツ S300h、その似て非なる味付けの違いが露わに!【清水和夫のDST】#70-1

そんなS300hとは対照的なのが、BMW 740iだ。先代モデルよりも割りきって開発され、BMWらしいドライバーズカーを目指している。しかし、技術的には高級車とドライバーズカーの両立は非常に難しい。つまり、メルセデスSクラスよりも難易度が高いコンセプトで開発されているのだ。

エンジンは直6ターボ。V6よりも回転がスムーズで気持ちがいい。BMWの直6ターボは、ポルシェのフラット6のターボと並んで完全バランス。その突き抜けるような吹け上がりは、BMW製ストレート6の大きな魅力だ。ターボでありながら高回転まで回るエンジンは高級車では珍しく、この世界観はBMWだけかもしれない。だからこそ、高速周回路を走るとドライバーズカーだと改めて気づ かされる。この感覚は先代の7シリーズよりも強く、ドライバーズカーのDNAがより濃くなったと感じた。

BMWは、Dセグメントの3シリーズは得意分野だが、これまで7シリーズはどうしてもSクラスに敵わなかった。だが、新型はラ グジャリー性を失わない範囲で駆けぬける歓びを実現できたのではないだろうか。そういう意味でも、今回の2台はライバルでありながら似て非なる高級車であり、それぞれが独自の価値観を打ち出している。

 

ル・ボラン 2016年7月号より転載

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