それは凶暴で従順なモンスター
このところランボルギーニ周辺のザワツキといえば、スパイダーやレーシングバージョンの噂など、デビューしたばかりのウラカンに関するものが多かった。しかしランボルギーニの本流はやはりV12エンジン搭載モデル。今回リポートするのは、ジュネーブ・ショーで話題をさらったあの伝説の称号=SVを冠する最強のアヴェンタドールだ。
試乗の舞台となったのはバルセロナ近郊のカタルーニャサーキット。F1スペインGPはつい2週間前に終わったばかりだったが、極彩色のモンスターがピットレーンにズラリと並び、低いうめき声を轟かせつつ最終調整を受けているその光景は、レース直前のF1にも決して劣らぬ緊張感と迫力を湛えていた。ただアイドリングしているだけなのに周囲の空気は激しく振動し、時折ストレートを駆け抜けるテスト車の爆音はわれわれの会話を無遠慮にかき消す。この日の予想最高気温は26℃だっだが、クルマが発する熱気もあってすでに外気温時計は30℃を軽くオーバー。いやはや、今日はとてつもなく熱い1日になりそうだ。
さて、今回ドライブするのは「SV=スーパーヴェローチェ」の名を冠する史上最速のランボルギーニ。その名もアヴェンタドールLP750-4スーパーヴェローチェである。SVは’71年のミウラP400SV、’96年のディアブロSV、そして’09年のムルシエラゴLP670-4 SVと、歴代V12ランボルギーニの中でも特別なモデルに与えられる名前。チューニングの方向性はぞれぞれで若干異なるのだが、共通する哲学はエンジンのパワーアップや軽量化により、スポーツカーにとっての絶対正義=速さを徹底的に追求していること。その例に漏れず、このアヴゥンタドールSVもノーマルに比べて50psのパワーアップと50㎏のダイエットが図られている。ちなみにスーパーヴェローチェはイタリア語だが、英語にすればSuper Fast、要は「超速い」ってことだ。
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