果たしてちゃんと完成するのか…!?旧グンゼ製ハイテックモデル「ジャガーEタイプ」を地道に作ってみる・第1回

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流麗なボディはプラで、エンジンなどはメタルで

どんな自動車が好きかと聞かれたとき、「美しいクルマ」と答えるカーマニアは少なくないだろう。美しいクルマ――そう呼んで差し支えない車種は、自動車の歴史において色々と存在してきたが、ジャガーEタイプはそうしたものの代表例として、真っ先に名が挙がるモデルのひとつである。

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1961年にデビューしたEタイプは、直6DOHCの3.8Lエンジンを搭載したスポーツカーで、オープンの2シーターとクーペが存在した。エンジンは後に4.2Lへと拡大、さらに5.3LのV12 SOHCへと変更。また、クーペにはホイールベースが長く屋根も高い2+2が追加され、後にホイールベースはロング版に一本化されている。このような変更とともに外観も灯火類の大型化などがなされつつ、1975年まで生産された。

このEタイプはエンツォ・フェラーリもその美しさを絶賛したというほどで、モデルカーでも実車現役当時から現在に至るまで、人気の題材となっている。当然プラモデル化も数多いのだが、その中でも特に難物として知られているのが、グンゼ(現GSIクレオス)によるハイテックモデル版であろう。このハイテックモデルとは、1980年代半ばから後半にかけて同社が積極的に展開したシリーズである。プラ製のボディなど基本パーツに、シャシーやエンジンをホワイトメタルで、また様々なディテールをエッチングで再現した、マルチマテリアルキットであった。

「難物」と言ったのは、その組み立てにあたってパーツを自分で加工していく必要があるからである。メタルパーツへの孔開けやエッチングの折り曲げだけでなく、排気管は付属のアルミロッドを折り曲げて作る、あるいは真鍮パイプを2本組み合わせてフレームにする、といったような「無茶ぶり」的な工作が指示されていたのが特徴であった。キットによっては室内のシートがメタルパーツであったり、あるいはエッチングも硬くて曲げにくいステンレスであるというような、癖のある素材のチョイスも目についたのである。

そんなシリーズにジャガーEタイプもラインナップされていて(キット名はジャガーXK-Eだが、これは北米市場における実車の呼称だった)、リリースは1987年である。筆者はこのキットを1990年代に購入したのだが、その当時は未だ高校生。一般的な1/24カーモデルが1000~1500円程度であったその頃で、このキットは6000円もした。それでもこのキットを買ったのは、筆者もEタイプの美しさに惹かれるひとりだからである。

しかし、購入以来、箱を開けては眺めるだけで、制作には踏み切っていなかった。今の技術では完成させることなど覚束ない……と自覚しており、いずれ色々な工作技術を身に付けたら挑戦してみようと、長らくキットを保管していたからだ(ほんのすこしパーツを弄ったところもあるのだが……)。そしてそれから30年近くが経った今、とうとう制作に挑んでみることとした。

お断りしておくと、この作例は現時点で完成していない。つまり、ここでその工程を何回にも分けてお伝えしながら、完成まで辿り着こうではないかというのが、この記事の趣旨である。完成まではおそらく数十回かかるであろうし、もしかすると100回まで行くかもしれない。現時点ではそれは分からないし、あるいは途中でリタイアしてしまうかもしれない。今からドキドキである。

エンジンなど、メカニズムの主要部分をホワイトメタルで再現したキットとなっているが、隔壁までメタルである必要があるのかは少々分からない。

普通のプラモで経験を重ねてきたからこそ、危険が察知できる(?)
このEタイプに限らず、ハイテックモデルの制作レビュー記事が載っている模型雑誌(具体的には、当時の「モデルアート」誌である)を読むと、パーツの接合に難儀するというようなことが書いてある。曰く、メタルにもエッチングにも、その両者の組み合わせにも、瞬間接着剤は効果がない、と。しかし現在試してみるとそんなこともないのは、おそらく接着剤の性能が向上したためであろう。そうした意味でも、数十年後にやっと制作してみようというのは、よい結果であったかもしれない。

ただし、瞬着で固定しただけでは衝撃などで簡単にバラけてしまいそうな部分も、メタルパーツで構成された箇所には見受けられる。そうした部分は、おそらく当時の記事で推奨されている通り、ハンダづけで接合した方がよいのであろう。とは言え筆者は自分でも分かりすぎるほどに分かっている程のうっかり野郎なので、ハンダづけ作業はおそらく火傷必至。そこで、補強のためのピンを埋め込むという方法を採ることにした。

こうした判断が吉と出るか凶と出るかは、筆者自身にもまだ分かっていない。そのためこのキットに関する連載は、「こうして作るとよいですよ」という趣旨ではないことをご理解のうえ、生温かい目でご覧いただくのがよいと思う。

作例制作・写真・文章:秦 正史

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