なんとベースはカーポート!? コストを抑えつつ質感を向上したガレージ【ガレージライフ】

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戸建て住まいを持ったことを機にスタートしたガレージライフ。当時所有していたクルマを収めることが主な利用方法だったが、ドゥカティを購入し、それに見合うよう質感を高めるためのリノベーションを敢行。いまではフェラーリ、ポルシェ、ドゥカティなどのスーパーマシンが並ぶ空間へと昇華。

40代でバイク遊びへ返り咲き鑑賞→峠道→サーキットへ
今号の特集はキットガレージをフューチャーしているが、ここで紹介するT さんのガレージは、そもそもガレージというスタイルではなく、カーポートをベースにガレージへとカスタマイズしている例だ。もしかすると現在カーポートを使用しており、いつかはガレージをと考えている方もいるかもしれないので、そのような際の参考になることを願いつつ、ガレージを紹介していくとしよう。

いまから約17年前の2005年のこと。Tさんは現在の住まい、そしてガレージを建てた。昔からクルマ、バイクが大好きだったと言い、竣工当時はシボレー・コルベットとサーブ・900Sを持ち(両車とも現在も所有している)、それらの愛機を収めるためのガレージが欲しかったというのが最初の動機。ただ近隣住民からの目もあったことから、カーポートであれば許してもらえるのではないかと考えた。

【写真14枚】クルマ、バイク好きのガレージライフには終わりというものはない 

ひとまず建てたカーポートだったが、サイド部分にはブロックを積み、さらに木材パネルを用いて壁を造り上げた。さらにサーブと同色にペイントされたシャッターを取り付けハコ型(ガレージ)としたのだ。「近隣に住む方と挨拶をした時にはガレージを建てにくい感じだったので、まず”カーポートを建てようと思います”とお伺いを立ててプランを進めました。

ただ最初に作ったガレージには、木の板を壁としてそこに装飾などを行っていましたが、ガレージライフというには今一つのものだったこと、さらにその後に転機が訪れたので、とにかくガレージの質感を引き上げようと大々的なリノベーションを行うことにしたのです」とTさんは話してくれた。

一方で実は次なるガレージ構想も着々と進められていた。
さて、その”転機”というキーワードについてなのだが、青年時代にバイクでワインディングを走ることを楽しんでいたものの、20代になってからいったんはバイクをおりた。それから年月が経ち43歳を超えたある日、無性にバイクが欲しくなりバイクショップの門を叩いた。

そこに置いてあったのは、イタリアはボローニャの地で生まれたスーパーバイク、ドゥカティ・749S。その美しいボディライン、どこから見ても惚れ惚れするスタイリングを気に入り、すぐに手に入れた。と、ここまではたまに耳にするリターンライダーの話。ここからが本題だ。

当初ガレージの“飾り”として購入したものの、目の前に置いてあればやはり乗ってしまう。近所の“峠”を走らせるのだがやはり危ない。そうなれば“サーキット”だ。「とにかくのめり込んでしまいましたね。結局はイベントレースにも頻繁に出場するようになり、ドゥカティもレーサーばかりになってゆく。そうなるとドゥカティに似合うガレージにしたくなるのですよ」と笑いながらTさんは言う。

リノベーションを行ったのは2010年のこと。特に細かい要望こそ出さなかったそうだが、作業をお願いした「ゆうき産業」で担当してくれた職人がとてもガレージのことを勉強していたようで、コンセントの配置や、照明のスイッチをすべて分けること、そのスイッチプレートや換気扇カバーをシルバーにペイントするなど、ディテールにひと手間加えることで、全体的な雰囲気が引き上げられている。

リノベーションで一つだけ失敗したのは、フロアをブラックにペイントしたことだった。施工したばかりはよいのだが、時間が経過するとタイヤが乗る部分の塗装が剥がれてきてしまう。何度か上塗りも行ってしのいでいたそうだが、最終的には2014年にフロアにタイルを施工し、現在のガレージの状態となっている。

実はTさん、数年前から近くにあるご実家と隣接する土地を購入し、新たなガレージをプランニングしている。その図面を拝見したのだが、かなりボリュームのあるガレージが作り上げられそうである。読者諸兄もそうだと思うが、クルマ、バイク好きのガレージライフには終わりというものはないのだ。

◆PLANNING DATA
 所在地:奈良県生駒市
 竣工年:2014年2月(現在の状態にリノベーション)
 ガレージ面積:35平米
 ガレージ建築コスト:約250万円
 構 造:カーポートベース
 外壁仕上げ:磁器タイル、ブロック、ガラスブロック
 内装仕上げ:クロス、タイル
 竣工:2005年10月(リノベーション2010年5月)
 愛車:2009年式 フェラーリ・スクーデリアスパイダーM16
    2016年式 ポルシェ・マカンGTS など

◆OWNER’S CHECK
 ・一番気にいっているところは?
 長年にわたり保管していたヘルメットやツナギ、模型などをすべて飾れたこと。
 ・ちょっと失敗したところは?
 以前はフロアの塗料が剥がれてくるなどがありましたが、それは改善処理しました。エアコンもつければ良かったです。
 ・次の夢はなんですか?
 現在新たなガレージを建設するプロジェクトを進めています。6台並列で収められるようにします。
 ・読者へのアドバイスを!
 施主の趣味趣向を深く理解した上で、プロならではのアドバイスをしてくれる施工業者に出会えると良いですね。

◆COMMENT FROM A BUILDER:ゆうき産業 代表 横川大三郎さん
創業より38年、「お客様の想いに寄り添うこと」を第一に取り組んでまいりました。今回のガレージは、お引き渡し後12年余りが経過しておりますが、お引渡し直後と変わらない状態であり、オーナー様が大切にお使いいただいていることがよくわかります。設計・施工者として、本当にありがたいことです。こういった素晴らしい経験をさせていただけるように頑張っていこうと思います。
大阪府茨木市山手台1-8-22  Phone 0120-631-163

『GarageLife Vol.95』掲載

ガレージの奥にはフェラーリ。スクーデリアスパイダー16Mと、ドゥカティ・848EVOが置かれている。これらもまた、ガレージとの相性がバツグンだ。

Photo &Text/Dan-KOMATSU(小松 男)

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