すべてを包み込んでくれるような優しい乗り味が美点「メルセデス・ベンツGLS」【試乗記】

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2020/10/29 12:00

メルセデス・ベンツ製SUVのラインナップは5年ほど前、つまりはGLAやGLCの登場にあわせて、サルーンと同様のネーミングによるクラス分けに改められた。そのトップに君臨するGLSも同じタイミングで改称されたモデルだ。それが昨年フルモデルチェンジを受け、今年の春に日本にやってきた。基本骨格は従来型を踏襲しながら、快適性や装備を最新の基準に沿うよう徹底的にブラッシュアップされているのが特徴だ。

「GLS」は、メルセデス・ベンツのSUVを表す「GL」に車格を示す「S」を添えた名前のとおり、大人7名がゆったり乗車できるゆとりあるサイズのボディに、オン/オフロードを問わない優れた走行性能を獲得。上質で高いプレステージ性を持つメルセデス・ベンツの最上級SUVとして位置付けられている。

エクステリアおよびインテリアは最新メルセデスのデザイン言語で統一され、印象を一新。目力の強さと大きなグリルで押し出し感が溢れていたフロントマスクは、ヘッドランプが特徴的な鉤形のデイタイムライトを備えた横長の目となり、グリル自体も角が丸められたオクタゴンタイプに置き換えられた。だからだろう、表情が優しくなり親しみやすさが加わったように見える。

新型は2006年に登場した「GL」から数えて3代目。ボディサイズは5210×1955×1825mmで、ホイールベースは3135mmだ。

インテリアはGLEクラスとの共通性を持たせたデザインや装備で仕立てられている。メーター周りには12.3インチのモニターを横長につなぎ合わせたディスプレイを配置。センタースタック付近にスクエアな形状の4連の通風口を据え、そこから左右ドア方向へ連続性を持たせたアクセントパネルとクロームの水平ラインを配することで、もともと広い室内空間にさらなる広がりを与えている。

インテリアは、ラグジュアリーでエレガントなデザインと、対話型インフォテイメントシステム「MBUX」の高度なデジタル技術の導入が特徴。ダッシュボードには「12.3インチワイドディスプレイ」と「12.3インチコックピットディスプレイ」を装備し、1枚のガラスカバーで融合することで、ドアパネルまで流れるような先進的なデザインを描く。センターコンソールには、SUV特有の装備として、大きなグラブハンドルが左右に設置される。前席にはシートベンチレーターやステアリングヒーター、温冷機能付きカップホルダーを採用し、長距離移動などでの快適性がさらに高められている。

センターコンソールの山型グラブハンドルやタッチパッド等もGLEと共通の意匠。もちろん音声認識で各種操作が行える“MBUX”も備わる。コクピットに収まるだけではGLEとの差異は見受けられない。では、GLSがSUVシリーズのフラッグシップたるゆえんは何か。それはやはりフロントシートから後ろの圧倒的な室内空間の広さである。

4つに水平に並んだ四角いエアベントは、標準モデルのフロントグリルに採用されているルーバーのデザインがモチーフ。メルセデス・ベンツのSUVのエッセンスが表現されている。

ボディサイズは全長5210×全幅1955×全高1825mm(GLS400d)で、ホイールベースは大台の3135mm。GLEよりも全長で270mm、WBで140mm長い。シート自体もフロントは共通サイズだが、2/3列目はいずれもGLSのほうが座面長の長いものが用いられている。実際、2列目シートはしっかりと体を支えてくれる高いホールド性を持ちつつ、ファーストクラスのような快適性が得られるもの。それを電動操作することでサードシートへのアクセスも容易だ。3列目は身長178cmの乗員だと足元が少々窮屈だが、それは2列目のスライドで解消できるし、左右方向や頭上の空間は同じ7人乗りGLEやGLBでは得ることのできない圧倒的余裕があった。
GLSは直列6気筒ターボディーゼル・エンジンとガソリンのV型8気筒ツインターボの2種をラインナップ。試乗には先にGLEで試していた直6ディーゼルターボ搭載車が用意されていた。GLEで感銘を受けたこのディーゼルエンジンとGLSとの相性はというと、もちろんGOOD。ただ、さすがにGLEよりも150kg(装備によっては200kg!)重量が嵩む点は隠せないようで、330ps/700Nmのパワーをもってしても、スロットル操作に対しての瞬発力はGLEよりもマイルドだ。もちろん音振面でのマナーは申し分ない。

日本市場には、ディーゼル仕様とガソリン仕様が各1種導入。ディーゼルの「GLS 400d 4マチック」は、330ps/700Nmを発揮する3L直列6気筒ターボの「OM656」ユニットを搭載。一方、ガソリン仕様の「GLS 580 4マチック・スポーツ」には、489ps/700Nmを発する4L V型8気筒ツインターボ「M176」ユニットに、48V電装システムや「ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)」を組み合わせるマイルドハイブリッドとなる。トランスミッションはいずれも9速ATだ。

ハンドリングにおいてもやはり体の大きさは意識に上り、姿勢変化は緩慢と感じた。ただ、ステアリング操作に対する車体の動き自体は素直であり、操っていても不安感を覚えないのは、全グレードに標準のAIRマティックサスペンションのセッティングの妙かもしれない。ともかくすべてにおいてゆったりとした動きに終始するのがGLSの乗り味だ。そもそもそれはGLS(と前身のGL)の生まれ育った環境やSUVのSクラスとも言われるキャラクターを考えれば、納得のいくものだと思う。過剰にすぎない必要にして充分なパワーや、大小問わず凹凸を受け流す鷹揚な乗り心地。すべてを包み込んでくれるような優しさがGLSにはある。それは他のメルセデスでは味わえない、稀有な個性だと思う。

3列目シート使用時のラゲッジルーム容量は470Lで、2/3列目シートを倒すと最大2400Lまで拡張。サイドにはシートの折り畳みと荷室のフロア高を調整できるスイッチが備わる。トランクスルーで積み込める横幅が72mmまで拡大された。

タイヤサイズは275/40R20が標準。試乗車にはAMGラインのオプションとなる275/45R21のピレリPゼロが装着されていた。

【Specification】メルセデス・ベンツ GLS400d 4マチック
■車両本体価格(税込)=12,630,000円
■全長×全幅×全高=5210×1955×1825mm
■ホイールベース=3135mm
■車両重量=2590kg
■エンジン型式/種類=OM656/直6DOHC24V+ターボ
■内径×行径=82.0×92.3mm
■総排気量=2925cc
■圧縮比=15.5
■最高出力=330ps(243kw)/3600-4000rpm
■最大トルク=700Nm(71.4kg-m)/1200-3000rpm
■燃料タンク容=90L(軽油)
■燃費=(WLTC)10.9km/L
■トランスミッショッン形式=9速AT
■サスペンション形式=前Wウイッシュボーン/エア、後マルチリンク/エア
■ブレーキ=前後Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後275/50R20

公式サイト
メルセデス・ベンツ日本 https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/mercedes-benz-cars/models/gls/gls-suv/explore.html

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