キミってSUVだよねぇ?
ちなみにエンジンフードを開けてビックリ。このエンジンは見事にフロントミッドシップに、それもかなり低い位置にレイアウトされてるのです。でもって、エンジンのアウトプットは、“Q4システム”と呼ばれるアルファ独自のオンデマンド式AWD機構を通じて路面に伝えられます。これ、簡単にいっちゃうと普段は後輪駆動として機能し、後輪が滑ったり空転したりすると前輪に最大50%の駆動力が配分される仕組みです。これまたジュリアのヴェローチェに設定されてるQ4システムと同じもので、それが何を意味するかっていうと、砂利道を想定して開発されたというより、もっぱらバロッコのサーキットを念入りに走り込んで開発されたモノだってことなのです。もちろん多少の砂利道や低μ路とかでも威力を発揮してくれるでしょうけど、それはオマケみたいなもので、コーナーを速く安定して走り抜けることを第一義とする4WDなのですよね。こういうプロファイルからも、いかにこれまでのSUVの概念から飛び出してるSUVなのか、何となく想像できますよね?
でも、そんなことを知らなかったとしても、走らせてみたらイッパツでわかっちゃうよ。「キミってSUVだよねぇ?」と思わずクチに出しちゃうかも知れません。何せステアリングを操作した瞬間、間髪入れずにクルマが向きを変えはじめるのです。反応がめちゃくちゃシャープ。それもそのはず、前述の通りステアリングギア比までジュリアと同じなのです。フツーのセダンで18:1とか17:1、ちょっとスポーティなクルマで15:1とか14:1あたりだっちゅーに、パリンパリンのスポーツカー並みの12:1。ハンドリングやコーナリング・パフォーマンスはこのレシオだけで決まるってわけじゃないですけど、反応の良さを示す大きな目安であることは確か。しかもステルヴィオ、ジュリア同様、サスペンションがこのクイックさを綺麗に活かせるセットアップになってるのです。わずかなロールを感じさせながら、スパッ! ヒラッ! って感じで、唖然としちゃうぐらい快くコーナーを縫って走れちゃう。アンダーステアって何? ってな勢いで。
もちろんステルヴィオにも物理の法則は作用しますから、走らせ方によってはアンダーステアを“出すこともできる”し、荷重と横Gとタイヤのグリップのバランスを超えればリア・タイヤがグリップを失いもします。でも、そうした動きは笑っちゃうぐらいハッキリと身体に伝わってきて解りやすいし、後ろが滑って「おっ!」と思ったときにはフロント・タイヤがトラクションを受け持って安定方向に引き戻そうとしてくれるから、ちっとも怖いことはありません。むしろそうした性質を活かしてワインディングロードを元気よく走ったりすると、楽しいのなんのって!
最近のSUVは押し並べてちゃんと曲がるように作られてるけれど、こんなにも“曲がる”という行為を満喫できるSUVは、こんなにも“曲がる”という行為に気持ちよさを感じられるSUVは、他にはありません。これはSUVの姿をしたスポーツカー。キレッキレ! です。
もちろんジュリアよりも室内は広々としてるし、荷物も積めます。乗り心地に関しても、他にもっと快適だったり優しい乗り味を持つSUVはいくらだってあるけど、このクルマだって楽勝で及第点。東京~神戸間もその逆も、途中で給油のために、それも意識的にサービスエリアに入った以外、全くノンストップで……なんてこともやりましたけど、疲れも軽かったです。ちゃんと“SUVとしても”しっかり機能してくれるのです……っていう表現は変かな? でも、そんな感じです。
人も乗せたい、荷物も積みたい、ライフスタイルがプアなものじゃないことををそれとなく示したい……などなど、SUVを選ぶ理由というのはいくつもあるわけですけど、そうしたモロモロに“スポーティな走りを堪能したい”という項目をちっとも無理なく付け加えられるのが、このアルファロメオ・ステルヴィオというクルマなのです。そういう意味では、世界で最も退屈しないSUVといえるかも知れませんね。
ALFA ROMEO STELVIO FIRST EDITION
【Specification】■全長×全幅×全高=4690×1905×1680mm■ホイールベース=2820mm■車両重量=1810kg■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1995cc■最高出力=280ps(206kW)/5250rpm■最大トルク=400Nm(40.8kgm)/2250rpm■トランスミッション=8速AT■サスペンション(F:R)=ダブルウィッシュボーン:マルチリンク■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク■タイヤサイズ(F:R)=255/45R20:255/45R20■車両本体価格=6,890,000円
アルファ ロメオ ジャパン http://www.alfaromeo-jp.com/
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