【知られざる“旧東側&南米”などのスポーツカーたち】1台でも知っていたらスゴイ…!? なるほど・ザ・世界のマイナースポーツカー大集合!!

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欧米・日本だけがスポーツカー生産国にあらず。速いクルマに憧れるのは万国共通。スポーツカーの土壌がない国も、共産圏でも、小さなメーカーでもスポーツカーを作っていた。その情熱の一部をとくとご覧あれ。

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世界のマイナースポーツカー大集合

「スーパーカー」が生まれた時代。クルマを作るからには、やはりスポーツカーを手がけてみたい! と思ったのは、欧米・日本以外の国でも同じ。世界中のカーガイたちは、フェラーリやカウンタックのようなスポーツカーに憧れたに違いない。でもV12エンジンは作れないし、著名なデザイナーもいない。そんな状況でも彼らはお国事情や、各国ごとのクルマの特性を存分に生かして、古くから様々なスポーツカーを生みだしてきた。

ペレストロイカ、ベルリンの壁崩壊、以前の“東側”はむろん社会主義国家だった。その中では、スポーツカーのような突出したクルマは生まれにくい。だが、それでもロシアが強烈なウェッジシェイプのスポーツカーを独自の解釈で生み出していたことは驚きだ。チェコのシュコダは東欧メーカーで本格的にモータースポーツに参戦した数少ないメーカーだったため、「速いクルマへの挑戦」が感じられるスポーツカーを生み出していたことにも注目したい。

南米では、プーマやVW SP1/SP2などVWビートルベースのスポーツカーがいくつもあった。ビートルを用いたモデルはアメリカ・西欧など各国でも盛んに作られ、枚挙にいとまがない。少量生産のため、ベースのビートルが手に入りやすかったという時代背景が感じられて面白い。見た目はスーパーカーだが、パワーはその数分の一しか無かったのが微笑ましいではないか。スポーツカーは男の浪漫。世界各国のそんな「夢たち」を、少しだけ振り返ってみたいと思う。

パンゴリーナ444GT(1980〜/ロシア)

1980年に、ソ連のアレクサンダー・クリギンというデザイナーが作り上げたロシアン・スーパーカー。明らかにカウンタックに触発されたデザインだが、上に開くのはドアだけでなく屋根ごと。ベースがFRセダンのラーダ2101(さらに元はフィアット124)のため、エンジンは前に積まれたまま。しかもエンジンにアクセスするには、ダッシュボードを上に持ち上げる……という、奇怪なアクションを要求した。スポーツワゴン的スタイルでFRのため、後部には広いラゲッジエリアを持つ。ドアミラーは無く、屋根に設置されたペリスコープで後方を確認した。1985年にブルガリアで開催されたEXPOにも出展されたという。なお、現在も保存されている。

シュコダ110スーパースポーツ(1971〜/チェコ)

シュコダ110Lの1.1L直4エンジンをミドに搭載したスポーツカー。1971年に1台のみ製作。ウェッジシェイプのスタイルはなかなか魅力的だが、16個並んだテールランプは、やはりどことなく東側のデザイン。乗降はキャビンの上側を大きく開くことで行う。全高約1.1m、車重約900kgという車体を生かし、73PSながら最高時速180km/hを達成した。1982年にはホラー映画の主役を演じ、黒に塗り替えられるとともにレーシングカーっぽい雰囲気にリスタイルされている。

プーマGTB/GTB S2(1972〜1993/ブラジル)

ブラジルのスポーツカーといえばプーマがあげられる。VWビートルベースのGTで知られるが、GTBはGMブラジルのFR車、シボレー・オパラのシャシーを用い、FRP製のアメリカンクーペ的ボディを載せたGTカーとして1972年に誕生した。1978年に大掛かりな変更を行い、シンプルなスタイルを獲得。S2に進化した。S2のエンジンは4.1L直6 OHV、最高出力は171PS。1980年代後半にはさらにマイチェンしてAMVという名となり、生涯を終えた。

VW SP1/SP2(1972〜1976/ブラジル)

プーマと並んで南米を代表したスポーツカーがVW SP1/SP2で、VWブラジル独自開発車だった。ストラットサスを持つ以前のビートルをベースに、オリジナルの低くスポーティなボディを載せており、まるで往年のFRフェラーリを思わせる美しいリアビューを誇る。1.6Lで標準版たるSP1と、1.7Lにボアアップ&ツインキャブで武装した高性能版のSP2が存在。「高性能」と言っても最高出力は70PS前後しかなく、デザインはとても速そうでも、実際の中身はビートル……というギャップがたまらない。生産台数は約1万台だが、一説では、プーマに勝てなかったとのこと。さらにSP1の台数は100台に満たない。また欧州への輸出もほとんどされなかったという。

ティーポ366号より転載

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