ボクらのヤングタイマー列伝:第5回『ルノー・エクスプレス』 車体後半に大きな箱をくっつけたフルゴネットスタイル! 現代のカングーに繋がる名商用車

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遠藤イヅルが自身のイラストともに1980年代以降の趣味車、いわゆる”ヤングタイマー”なクルマを振り返るという、かつて小社WEBサイトでひっそり!? 連載していた伝説の連載、その進化版がこの『ボクらのヤングタイマー列伝』です。第5回は連載初となるフランス車で、まずは王道……とならないのが当連載。ルノー・サンクではなく、現在のカングーに至る名商用車、エクスプレスが登場です!

ボクらのヤングタイマー列伝第4回『ランチア・デルタ』の記事はコチラから

車体後半に大きな箱をくっつけた”フルゴネット”は、フランスや欧州ではよくある商用車の作り方

私のFacebookなどをご覧の方はご存知かと思うのですが、ぼくはとりわけ商用車や実用車が好きなのです。コストが重要視される日本では一般的に導入されること(というより正規で輸入されること)があまりない海外のバン、トラックへの興味が尽きません。なので海外に出るとぼくは、街の片隅に停めてある、洗車もしてもらっていない商用車の写真ばかりを写真に撮ってしまうのです。ぼくのネガやデータの中は、観光地の景色よりも各国各メーカーの商用車の写真ばかり。困ったものです(笑)。

でも、まれに正規で商用車が輸入されることもあります。その代表例が、今回取り上げる『ルノー・エクスプレス』と、その後継車である『ルノー・カングー』ではないでしょうか。両者ともに日本に入ってきているクルマは、乗用車として使用することが前提の”装備充実の乗用仕様”ですが、それでも現地で活躍するホンモノの商用車を日本で乗ることが出来るのに変わりはありませんものね。

エクスプレスを簡単に説明すると、ルノー・シュペール5(サンク)の車体後半に大きな箱をくっつけた”フルゴネット”です。フランスや欧州ではよくある商用車の作り方で、ルノー4をベースにした『4F』、シトロエン・ヴィザに箱をつけた『C15』、シムカ1100のフルゴネット『VF2』など、いろいろ存在しました。あ、日本の『スズキ・アルトハッスル』なども立派なフルゴネットですね。エクスプレスはシュペール5の5ドアハッチのフロントドアを流用していますが、後継のカングーと異なりサイドにスライドドアがありません。前ドアが小さい2ドアバン形態も、フルゴネットに見られたスタイルです。そして、エクスプレスの美点は、まさに背中に背負った大きな”箱”。日本に入っている乗用仕様では折りたたみ式でも座り心地が良い立派なリアシートが装備されていますが、それを畳まない状態でもかなりの荷物が入ります。そして全高1790mmという数字はダテじゃなく、高さ方向もフルで使えば、全長約4mでボンネット付きという制約を感じさせないオドロキの収納力を誇るのです。

日本でいうところのライトバンにあたるエクスプレスは、本国フランスでは郵便(LA POSTE)や消防(Pompier)、電力会社(EDF)、ガス公社(GDF)などの公共サービスにも数多く使用されました。ぼくもエクスプレスを買うチャンス、運転する機会はこれまで幾度もあったのですが、結局、未だ自分のクルマにすることは叶わず。だけど、もし手に入ったら黄色く塗って郵便仕様か、エクスプレスによく見られたポリバケツのような青い色ならそのままEDFかGDF仕様にコスプレして、憧れの現地仕様商用車スタイルで乗りたいなあ、なんて夢をまだ諦めていなかったりします。あえて正規で入らなかったフェイズ2、いわゆる”台湾エクス”のチョイスも魅力的だなあ。仕事柄、イベントへの出張絵描きなどもあるので、そんな時エクスプレスで行ったらサマになるなあ……などなど、今夜も妄想が捗るのでした(笑)。

カー・マガジン460号より転載

この記事を書いた人

遠藤イヅル

1971年生まれ。東京都在住。小さい頃からカーデザイナーに憧れ、文系大学を卒業するもカーデザイン専門学校に再入学。自動車メーカー系レース部門の会社でカーデザイナー/モデラーとして勤務。その後数社でデザイナー/ディレクターとして働き、独立してイラストレーター/ライターとなった。現在自動車雑誌、男性誌などで多数連載を持つ。イラストは基本的にアナログで、デザイナー時代に愛用したコピックマーカーを用いる。自動車全般に膨大な知識を持つが、中でも大衆車、実用車、商用車を好み、フランス車には特に詳しい。

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