これが名車の原点だ!!「ハコスカGT-R」のフジミ製プラモから最初期型1500ツーリング・デラックスを再現【モデルカーズ】

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セパレートシート+3速コラム+前輪ディスク

スカイラインが日産の車種となってから初めてのフルモデルチェンジで登場したのが、三代目・C10型系である。まず1500ccの4ドア・セダンとバン、ワゴン(エステート)という布陣で、1968年8月に発売された。先代S54A型(GT-A)の後継モデルである6気筒バージョンは、2000GTの名で同年に遅れて追加されている。

【画像77枚】独特のディテールが特徴の最初期ハコスカと、その工程を見る!

基本となる4気筒モデルは、先代のコンセプトを受け継いだファミリー向けの小型セダンと言うべきもので、そのフォルムはボクシーかつオーソドックスなもの。スタイリング的には、筋肉の盛り上がりをモチーフにしたとのことで、全体が滑らかな曲線と曲面で覆われている。何よりも特徴的なのは、リアフェンダーから前方に向けて走るプレスで、これを「サーフィンライン」と称した。後輪ホイールアーチに被さるこのラインが、以降のスカイラインの重要なアイデンティティとなったのは、広く知られている。

搭載エンジンは先代末期に採用された1.5L OHCのG15型で、最高出力は88psと変わりないが、細部に変更が施され耐久性を増すとともに、ローレル用のG18との部品共用化が図られている。サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーンからマクファーソンストラットに一新され、これも以降のスカイラインの基本として受け継がれていくこととなった。リアは先代同様にリーフリジッドである。

デビュー時点でのグレード構成は、廉価なスタンダードと豪華なデラックスの2本立てが基本であるが、フロントシートとシフトのタイプによってデラックスは3種類に分かれていた。すなわち、セパレートシート+4速フロアシフトのスポーティ・デラックス、セパレートシート+3速コラムシフトのツーリング・デラックス、ベンチシート+3速コラムシフトのファミリー・デラックスである。なお、スポーティ・デラックスのセパレートシートはリクライニング可能であるが、ツーリング・デラックスではこの機構はオプションとされていた。

さらに細かく述べると、ツーリング・デラックスとファミリー・デラックスにはBWのオートマチックも用意されていた。グレード名とその特徴を対応させると、それぞれの性格付けにはなるほどと頷けるものがある。また、スポーティ・デラックスとツーリング・デラックスでは、フロントブレーキがディスクとなるのも特徴であった。

プロポーション良好なフジミ製2ドアをベースに使用
国産旧車の中でも人気随一と言ってよいC10型系スカイライン(ハコスカ)だけに、プラモデル化の数は多い。とは言ってもその大半は、2ドア・ハードトップのGT-Rである。1/24スケールで4ドアのGT-Rをキット化したのは、アオシマとフジミのみ。4気筒の4ドアは、おそらくマルイの1800が唯一であろう。ここでお見せしているのは、最初期の4ドア・セダン1500ツーリング・デラックス(C10M型)を再現した作品であるが、マルイの1800を改造したものではないし、アオシマやフジミの4ドアGTのノーズを詰めたものでもない。

作例の基本にしたのは、1/24のハコスカの中では最もプロポーション優秀なフジミ製2ドアGT-Rだ。元々ホイールベースの短い2ドアであるが、4気筒モデルの寸法にするには、やはり若干ボディを詰める必要がある。そのうえで、アオシマ製の4ドア・ボディからグリーンハウスを移植。アオシマのボディは幅が広いので、フジミに合わせて中央で詰めている。リア周りのみは、フジミのボディにも違和感があるので、ここのみ形の良いタミヤ製2ドアからさらに移植した。

……と、言葉で説明するとこのようになるのだが、この作品での工法には、これ以外に大きな特徴がある。ボディ内側の骨格(内骨格)をプラ板で組み、この上でボディの接合を行っているのである。骨格、と言ってもそれほど複雑なものではなく、実車図面の上面図と側面図を利用し、それぞれの形にプラ板を切り出して、工作のガイドになるように接着したものだが、これによって歪みや破損が防げ強度を稼げるのである。詳しくは、工程写真を御覧頂くとより分かりやすいだろう。

最初期型ハコスカには、マイナーチェンジで継承されずに終わった独特なディテールも数多い。例えば、手動式のラジオアンテナは、チェスのナイトの形をした専用キーを差し込むことで引き出すという、「ちょっとどうかしているのではないか」と思われるような凝り方であった。ひと目で分かるそうした細部の特徴としては、平たいレンズ形状の台座付きフロントウィンカー、プレス形状がGT登場以降のものとは全く異なるスペアタイヤハウジングなどがある。年式とグレードでディテールの差異が多いのもハコスカの特徴だ。制作にあたっては、初期デラックスの隅々まで分かる資料を入手することができたので、それらの再現を盛り込んだ作例としてある。

作例制作=坂中善之/フォト=服部佳洋 modelcars vol.273より再構成のうえ転載

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