
2つのV8ユニットが物語るスーパースポーツの行方 ツインターボか? 3モーターか?
電動化はスーパースポーツも例外ではない。トップメイクスは、V8のSF90ストラダーレ、V6の296GTBと電動化戦略を着々と進行させている。しかし、現段階ではっきりしたことは、フェラーリが描くパワーユニットの未来は、二者択一という単純なものでは、決してないということだ……。
SF90はフェラーリの電動化のスタンスを示した
SF90とF8。ほぼ同時期にデビューした2台のV8ミッドシップ・フェラーリは、実はまったく異なる使命を背負って誕生した。SF90という名称には、フェラーリF1チームであるスクデリア・フェラーリの設立90周年を祝福するという意味が込められている。もっとも、SF90ストラダーレの使命は、その由来とはあまり関係がなく、私が考える本来の役割は、電動化時代に向けてV8モデルの地位を向上させることにあったというものだ。
ロードカーを化する際は、シリンダー数を減らすのが一般的。たとえば、先ごろデビューしたフェラーリ296GTBは、PHEV化に伴い、エンジンをそれまでのV8からV6に改めた。シリンダー数の減少=パワーの低下は、モーターによって補われる。これによりパフォーマンスを低下させずにCO2を削減するのが、PHEV本来の役割といって構わない。
一方で、フェラーリの名が与えられるロードカーはV12モデルもしくはV8モデルというのが古くからのならわし。前述の296GTBはフェラーリの名を冠した史上初のV6ロードカーと位置づけられているが、これを説得力あるものにするには、シリンダー数の位置づけをこれまでより一段階押し上げなければならない。

SF90 STRADALE。フロントアクスルに2基、エンジンとギアボックスの間に1基の電気モーターを搭載し、システム合計出力は1000psを叩きだすハイブリットユニット。0→100㎞/h加速は2.5秒、最高速度は340㎞/hとなる。
従来のV12モデルではなく、V8モデルにフェラーリ最高水準のパフォーマンスを与えたのは、このため。つまり、SF90ストラダーレはきたるべきPHEV時代の序列を示すために誕生したモデルだったのである。そしてまた、PHEV時代の規範を示すのも、SF90ストラダーレの役割のひとつだった。
【写真13枚】フェラーリの電動化はエンジンの魅力を引き立てた。
PHEVになれば車重は必然的に増加する。では、車重の増加に伴うアジリティの低下を補うには、どうしたらいいか? この問いに対するフェラーリの回答が3モーター方式だった。これは2代目ホンダNSXと同様の考え方で、フロントに搭載した2基のモーターで左右輪を個別に駆動することで電子制御的にヨーを発生させるもの。つまり、PHEV化の重量ペナルティを乗り越えるためのチャレンジがSF90ストラダーレだったのである。
実際にドライブしてみると、SF90ストラダーレが新技術に満ち溢れた次世代のスーパースポーツカーであることを実感する。まず、スタートスイッチを押してもエンジンは始動せず、ほとんど無音のまま走り出す点は、フェラーリとして異例中の異例。例外はラ・フェラーリだが、あちらは価格が億越えの限定生産モデル、こちらは5000万円台で(曲がりなりにも)カタログモデルという違いがある。その存在意義は根本的に異なっている。

F8 SPIDER。3.9L V8ツインターボエンジンを搭載。488ピスタからの流用も多く、クランクシャフトなどのコンポーネントは軽量化が図られている。0→100km/h加速は2.9秒、最高速度は340km/hをマーク。
しかも、SF90ストラダーレはその”電気感”を前面に打ち出している。モーターからエンジンに動力源が切り替わる際、明確なショックを感じさせたり、轟然たるエンジン音をとどろかせるのは、そのためといって間違いない。事実、296GTB国際試乗会の際にインタビューしたフェラーリのエンジニアは「SF90はテクノロジーのショーケース。技術を洗練させて目立たせなくするよりも、それが明確に感じ取れることを目指した」と証言したのである。
F8は内燃機関の未来を問うているのかもしれない
そうした、いささか荒っぽいSF90ストラダーレに比べると、F8は実に洗練されている。それもそのはず、1975年の308GTBに始まるフェラーリV8ミッドシップモデルの系譜に終止符を打つのがF8の役割で、そのリトラクタブルハードトップがF8スパイダーだ。その意味でいえば、40年以上にわたる歴史の集大成であると同時に、誕生から100年以上が経過した”純内燃エンジン”の最終到達点を示しているのがF8なのだ。熟成され尽くされているのは当然か。
たとえば、フェラーリ自身が”ゼロ・ターボ・ラグ”と呼ぶほどそのレスポンスはシャープで、まるで電気モーターのような機敏さを実現している。しかも、トルク特性は驚くほどフラットで、最高出力を発揮する8000rpmまで一直線にパワーは上昇していく。その意味において、このV8エンジンは電気モーターに似た特性を得ていると思う。
考えてみれば、内燃エンジンのもともとのキャラクターは、自動車を走らせるには実に不都合なものだった。自動車にとって理想的なトルク特性は、低回転で太く、回転を上げるに連れてトルクが細くなるもので、電気モーターがその代表。EVが多段式変速機を備えていないのは、その原動機としての特性が自動車にとって理想的なことを示す証拠といえる。
一方の内燃エンジンの特性は、自動車用原動機の理想からはほど遠い。その後の1世紀におよぶ歳月は、内燃エンジンのキャラクターを電気モーターに近づけるための歴史だったといっても過言ではないだろう。そうしてできあがった最終形が、フェラーリの場合はF8に搭載されたV8ツインターボエンジンだった。
これに対してSF90ストラダーレに積まれたパワートレインは、PHEV時代の先駆けとも呼べるもので、それはその先に控えたEV時代への架け橋としての役割も担う。時代は巡り、そして進化していくのだ。しかし、改めてF8のステアリングを握った私は、こうも考えた。
「これほど完成度の高いパワートレインを、あっさりと諦めてしまってもいいのだろうか?」 この問いかけに答えられるのは、未来の歴史家だけかもしれない。
OTANI’S PERSONAL CHOICE:僅差ではあるが、純内燃エンジンモデルのF8スパイダー
元エンジニアで新技術好きの私はSF90ストラダーレにも激しく惹かれるが、スポーツカーとして楽しむならF8のほうが一枚上手。純内燃エンジンモデルの最終形として手元に置いておきたい。
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