いま改めて振り返る、代燃車とは何ぞや?モノグラム製プラモ「1937年型フォード」を木炭車に改造!【モデルカーズ】

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釜を背負い、ヨタヨタと走ったフォード

代燃車(石油代用燃料使用装置設置自動車)と言えば、戦中・戦後における燃料事情逼迫の象徴であったが、現在ではその存在も広く知られたものではなくなりつつあるようだ。戦地でのガソリンの優先使用により一般への燃料供給が悪化、これに対応すべく代燃車が生まれたわけだが、具体的には、車両に木炭ガス発生装置を搭載し、それによって発生したガス(一酸化炭素)をエンジンへと送って、これを燃料に走行するものである。のちには木炭だけでなく薪なども使われたほか、天然ガスを使用するものもあったようだ。

【画像88枚】性能低下も著しい木炭フォードと、その制作過程を見る!

これは日本での発明と勘違いしている人も少なくないようだが、欧州において先例のあったものである。日本においては、まず1938年に重油や揮発油、ガソリンが切符制となり、翌1939年に石油配給統制規則が公布、こうした動きを受けて1938年にバスの代燃化が始まったのがその導入の最初だ。同年には、代燃車普及のための全国キャラバンも商工省の後援で実施されている。1941年には石油統制取締規則が制定され、民間へのガソリン配給が停止された。

当時の日本においては自家用車は少なく、乗用車の大半はタクシーで、このときタクシーも全面的に代燃車へと転換したのだが、こうした代燃車タクシーのベースとなったのは、フォードやシボレーであった。戦前の日本はいわばアメリカ車の天下で、1925年にはフォードが横浜に、1927年にはGMが大阪に工場を設立し、それぞれフォードとシボレーの生産を開始している。

こうした日本組み立て・右ハンドルのフォードとシボレーは、戦雲の到来に伴い1938年を最後に市場から締め出されてしまうが、それまでの間、そして戦後にかけても、日本のタクシーはこのフォードとシボレーが大半だった。まともな自動車が造れなかった戦中の日本では、1938年までに生産されたアメリカ車を代燃化して使用し続け、しかもそれを戦後も酷使したのである。

終戦後のタクシーはこうした戦前からの生き残りのフォードとシボレーが大半、どちらかと言うと、より頑強にできていたフォードの方が多かったようだ。信じがたいことに、空襲で燃えた車両を再生したものすらあったという。やがて乗用車の生産が再開され、ダットサンやオオタのような小型車が復活したほか、トラックのシャシーに乗用車ボディを架装したような車両も新たに送り出され、そうした車種がタクシーとして使用されるようになってきた。そして1951年にガソリン車への再改造が解禁されると、代燃車は急速に姿を消していったのである。

ストリートロッドが木炭車に変身!
ここでお見せしているのは、そんな当時の自動車事情を模型で振り返るべく、1/24スケールで制作した1937年型フォードの代燃車である。ベースに使用したキットは、モノグラム製のフォードだ。1/24~25スケールの戦前型フォードやシボレーで入手しやすいキットとしては、AMT 1/25の1936年型フォードや1937年型シボレーがあるが、いずれも2ドア・クーペで、セダンへの改造を行うのはかなり難しい。その点、このモノグラムの1937年型フォードは、2ドアながらセダンで、基本的なボディ形状の変更を行う必要がなかった。

具体的には、2ドア・セダンのBピラーにあたるドアサッシ部分を切り取り、プラ板でB、Cピラーを新設しドアラインの筋彫りを入れ直している。当時のフォードのセダンには、リアエンドを滑らかな形とした”スラントバック”と、トランク部を張り出させてその容積を大きく確保した”ハンプバック”の、ふたつの形があった(ハンプ=こぶ)。作例では、木炭装置を収めやすいようボディをハンプバックに改造した上で、木炭車として制作している。

車両としてはできればタクシーとして制作したかったところだが、当時の料金メーターなど装備品の詳細が不明であったため、そこは省略している。想定としては戦争を生き延びた戦後の状態としたので、トランクフードはなくなりスペアタイヤもホイールだけとなった状態で制作、エンブレムも脱落した状態ということで省略した。各部に傷がつき錆の浮いた表現を行い、全体に汚し塗装も施している。

作例制作=周東光広/フォト=羽田 洋 modelcars別冊プラモデラーより再構成のうえ転載

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2022/08/15 18:00

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