世はまさにコンパクトカー戦国時代⁉ 世界標準のVWゴルフをはじめ、アイオニック5・ミニ・マツダ3・308を一挙に徹底比較!

独自性が魅力のアイオニック5

総電力量72.6kWhのバッテリーを搭載する上級モデルは、最大で618kmの航続距離を実現。電気モーターはリアに搭載する。

だが、クルマの電動化が本格化。さらにSUVの台頭といった時代の流れによって現代のコンパクトカー市場は有り様そのものが変化しつつある。そんな中、ゴルフは”変わらないこと”も付加価値のひとつとして権勢を保っているわけだが、そのライバル、あるいはフォロワーたちは従来にも増して独自性をアピールする必要に迫られている。今回、ゴルフと比較するために集められた4モデルは、まさにそんな固有のキャラを意識させる存在と言えるだろう。

いかにも最新のBEVらしい、文字通りエッジの立ったエクステリアデザインもアイオニック5におけるキモのひとつ。

まず、同じハッチバックボディでもゴルフとは一番遠い立ち位置にいるのがBEVのアイオニック5だ。大容量バッテリーを搭載するため、その体躯はCというよりDセグメント級の大きさ。タイヤもSUV並みに大径で、ついでに言えば2WD仕様は電気モーターをリアに搭載するので駆動方式の表記もRRとなる。

その外観はポリゴン、あるいはドットといった言葉を連想させる、いかにもBEVらしい出で立ち。それと比較すれば内装はプレーンな仕立てだが、サイズがサイズなだけに室内はゴルフより格段に広々としている。また、ディテールを含めたデザインはクルマのそれというより最新家電のようでもあり、この点でも20世紀的価値観を引きずる内燃機関のモデルとは一線を画している。

家電などにも使える普通電源のアウトプットは、車内だけでなく外部用も用意する。インテリア、デザイン性の高い最新家電などを彷彿とさせる。室内は開放的な仕立て。

しかし、クルマとしての動的な資質はハイレベルだ。強固な骨格や静粛性の高さ、スペックの数値以上に力強い動力性能などは最新BEVなら備わっていて当然だが、アイオニック5ではそれらが素直に表現されていて新しい乗り物を操っているという実感が得やすい。本来、このクルマが対峙すべきなのはフォルクスワーゲンだとIDの名が付くモデルとなるはずだが、2WD仕様なら最大で600kmを超えるアシの長さ、スペックに対してリーズナブルな価格まで考慮に入れれば、ゴルフに対するオルタナティブとなり得る資質は十分と言えるかもしれない。

ボディ両サイド下の画像がウインカーに連動してメーター内に表示。その表示タイミングは適切で、非常に便利な機能だ。

【Specification】ヒョンデ・アイオニック5ラウンジ
■全長×全幅×全高=4635×1890×1645mm
■ホイールベース=3000mm
■車両重量=1990kg
■モーター種類=交流同期電動機
■最高出力=217ps(160kW)/4400~9000rpm
■最大トルク=350Nm(35.7kg-m)/0~4200rpm
■バッテリー種類/総電力量=リチウムイオン電池/72.6kWh
■サスペンション(F:R)=ストラット:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ=235/55R19
■車両本体価格(税込)=5,490,000円
■問い合わせ先=HYUNDAIカスタマーセンター ☎0120-600-066

フォト=柳田由人、安井宏充/Y.Yanagida, H.Yasui (Weekend.) ルボラン2022年8月号より転載

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小野泰治
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