プラモを作ってキャンプ気分に浸る!MPC製「1969年型シボレーC30オープンロードキャンパー」【モデルカーズ】

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荷台に載せるシェルからキャンパーボディに進化

広大な大地を自動車で旅行する――寝泊りもクルマに乗ったまま。そんなキャンピングカーは、“自由”を最大の理念として掲げるアメリカにこそ相応しいものだろう。自動車でのキャンプ旅行はT型フォードの時代から米国には存在していたようだが、それがレジャーとして一般に広く根付いたのは、第二次大戦後のことだという。それまでは、キャンピングトレーラーを牽いていく場合を別とすれば、寝泊りはキャンプを張ってという形態が主だった。戦後、ピックアップの荷台にそのまま取り付けるキャンパー・シェルが登場したのが、キャンプ旅行普及の大きな契機だったようだ。アフターマーケット・アイテム的な存在だったキャンパー・シェルだが、1960年代には、キャンパーとして架装済みの車両をディーラーで販売するようになっていった。

例えば当時のシボレーのキャンパー&RVカタログには、オープンロードやピックアップ・トップス、シェルドンといったメーカーのキャンパー・シェル、ウォードやパーソンズ・モービルによるモーターホーム、トラベル・イーズィーのトラベル・トレイラー(サバーバン用)などが掲載されている。今回採り上げているキャンパーは、ベッドに載せるタイプからさらに進んで、大きなシェルをフレームの上に直付けするタイプだ。架装はカリフォルニア・レドンドビーチに本拠を置いたオープンロードによるもの。

ここでさっそく模型の話に移ると、ここでお見せしているのはMPC製1/25スケール・プラモデルのオープンロード製キャンパーだ。ベースとなっているのは1969年型シボレーのCシリーズ。年式は異なるものの、当時の資料(1971年型カタログ)では、フレームマウントのキャンパーボディはC10にはなく、C20とC30に用意されているのが確認できる。全長などから判断すると、C30のロングホイールベース(127インチ:3226mm)に12フィートのキャンパーボディを架装したものの再現であろう。

MPC製キットのキャンパーだがベース車はAMT製
かつて、アメリカのプラモデルには豊富なオプションパーツが奢られていた。キャンパー・シェルもそんなオプション・アイテムだったが、主客転倒してオプションパーツのほうがメインのようなキットも存在した。その代表例がこのモデルだろう。MPCのパッケージ(品番403-300)であるが、実はキャブ部分はAMTの金型によるパーツとなっている。ちょうどこの年代はMPCが大幅に勢力(?)を拡大していた時期にあたり、両社には何らかの強い関係性があったものと思われる。

1969年型のはずのキャブには少々問題があった。グリル形状は確かに1969年型だが、ドアウィンドウ下の「CST」(Custm Sport Truck)のバッジと、ホイールアーチからボディサイドにかかるモールがこの年式とは異なる。どうやら、AMT初版1967年型の金型にサイドマーカーを追加しただけのようだ。さらにグリルもリニューアルし、エンジンフードのロゴをボウタイ・バッジに変更したという具合。ただ残念ながら、グリル中央の「CHEVROLET」のロゴは凹モールドが正しく、ホイールも1967年のままだ。作例のキャブはサイドモールと「CST」バッジを取り除いてスタンダード仕様にした。

さらに、シャシーフレームにキャブとベッドの底が一体成型されている。本来はラダーフレームにキャブとキャンパーボディが載っているのだから、根本的に異なる構造となってしまった。シャシーの一部パネルをカットしたが、重たいキャンパーボディを支えるには、できるだけパネルを残した方が良いだろう。タイヤはオフロードタイプに変更したが、こだわるなら足周りもヘビーデューティにすべきで、ホイールはトラックの8穴タイプを流用した方が良い。エンジンはV8で、箱には327-cid(5.35L)と記載されているが実車では307-cid(5L)が標準のようだ。

キャブは1969年型だが、キャンパーの方は前年型になっているらしい。1969年型のキャンパーのルーフ角断面は、角ではなく丸くなっている。表面の波板のモールドは、いかにもキャンパーの雰囲気が嬉しい。インテリアは、キャブ上にベッドルームが位置し、シンクやグリルにオーブンまで備えたキッチン、冷蔵庫、ヒーター(エアコン?)、シャワールーム/トイレ(外形のみ)、ソファー&テーブル、収納スペースと、装備という意味でも模型としてという意味でも非常に充実したものになっている。

内装に木目パネルを多用しているのがこの時代を反映している。興味深いのは、木目のモールドにエッチング処理と思われるシボ加工が施されていることだ。それまでは、職人が金型に直接彫り込んだようなモールドが主流だっただけに、当時最新の金型技術を投入したということだろうか。木目パネルの再現は塗装によるもので、ベースにウッドブラウンを塗っておき、レッドブラウンやタン、ライトカーキ、黒などをドライブラシして木目調に描き込んだ。ベースカラーの色を変えることで色々な素材(木)を再現できる。

バックミラーをキャンパーに取り付ける点には違和感がある。シボレー純正のキャンパー・カタログでは、キャブのドアに大型のバックミラーを備えるのが普通で、キャンパーからミラーが生えているのというは存在しない。やはり、既にあるキャブ部分のパーツにキャンパーパーツを合体させた構成なので、キャブではなくキャンパー部分にミラーを追加する方が楽だったのだろう。キャブのボディカラーはシボレーのコマーシャルカー用レッドをセレクト。クレオスのシャインレッドがそのまま使える。

なお、このキットのキャンパー部分のパーツは、2004年に「ディーラーズ・チョイス・パーツ・パック」と銘打ってAMTとMODEL KINGのダブルネームで再販されている(No.21453)。下の写真は内部パーツのみだが無論キャンパーボディ本体も付属、さらに、1971年型シェビー・ピックアップ・ベースのレーサーズ・ウェッジ(フラットベッドのキャリアカー)から、ベッド部分のパーツもセットされている。「ディーラーズ・チョイス」とは、有力な小売店の要望でメーカーが特注品(再販)を作ったという意味であろう。

作例制作=畔蒜幸雄/フォト=羽田 洋 modelcars vol.196より再構成のうえ転載

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2022/06/05 17:00

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