妖しい美魔女、ガンディーニ・デザインのマセラティ・クアトロポルテを狙え!

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“手頃な価格で購入できるイタリアンフラッグシップ”というテーマならば、その筆頭は4代目マセラティ・クアトロポルテだろう。だいぶ5代目ピニンファリーナ・デザインモノも範疇に入ってきたが、今回はガンディーニ・デザインとなる4代目を推薦しておきたい。この色といい、相変わらずの妖しさがたまらない!

メーターパネルの全電源がいきなり落ちた

マセラティ・クアトロポルテ・エヴォルツィオーネV6コーンズ・セリエ・スペチアーレ……。まるで筆者が行数を稼いでいるみたいだが、実名である。日本向けに用意されたV8、V6あわせて50台の限定車で、外装色は『QUARZODOLOMITE』だ。

もう時効だと思うので、いきなりだが1999年6月頃の話。箱根でマセラティ・クアトロポルテ・エヴォルツィオーネV8を撮影した帰り際のこと。走行中にメーターパネルの全電源がいきなり”落ちた”。速度計も、回転計も何もかもが反応しないのである。

車両自体は普通に動いているので、機関は問題なさそう。そこでお借りしたインポーターの広報担当に電話したところ、「自走できます? だったらそのままお気をつけてお帰り下さい」と、特に驚くこともなく、”まあマセラティだからそれくらいありますよ”的なテンションで言われたのを覚えている。燃料は確かあったよな……と思いつつ、確か10L給油して無事帰京。念押ししておくが、これはもちろん新車当時の話である。

ビトゥルボ時代のマセラティに関しては、フィアット・ウーノ・ターボに乗っていた頃の主治医から「いいか、間違ってもデルタとマセラティは買うなよ」と言われていたので(当時その両車が常に入庫していた)、正直メーターくらいでは驚かなった。

しかし昔、カー・マガジンの長期レポート車であったギブリ(これも新車)なんかもそうだったが、内外装を含めたいかにも妖しいデザインにいつも魅せられていて、これがいつか似合う日がくるのだろうか……と当時20歳代の平井青年は思ったわけである。つまりどこが壊れるとか、そういった日本車やドイツ車オーナーが騒ぎそうな事項を全て超越して魅了する何かが、当時のマセラティにはあった。

そう、V6だろうがV8だろうが、このエンジンルームのデザインだけで十分買いと言える。

手ごろな価格で手に入るイタリアンフラッグシップ

というわけで今回”手ごろな価格で手に入るイタリアンフラッグシップ”というテーマを思いついた時に真っ先に浮かんだのは……ランチア・テージスであった。おいおい。でも嘘はつけないので順に書くと、とあるミーティングで「○○にあるテージス、結構キレイでしたよ。しかも価格が安い」と話題になった。その場で検索すると確かに200万円切りで(注:原稿執筆時)、状態もかなりよさそう。よし、これだ! と後日、○○に電話すると、「あ、オークションに流してしましました」。

ガーン。いきなり企画倒れである。他にも探せば200万円以下はあるにはあるが、写真だけでも状態イマイチ感が……。そこで頭をよぎったのがクアトロポルテ。フェラーリ傘下になって初のマセラティとなる、1997年にデビューした最終エヴォルツィオーネ系ならクオリティは比較的高いし(メーターは落ちるけど)、V6なら値段が安そう……と探して出てきたのが今回の個体。日本向けの50台限定車だ。

限定車の特徴は、スポーティシート、リアドアのエンブレム、シルバーのブレーキキャリパー、限定車の『コーンズ・セリエ・スペチアーレ』であることを示す専用プレート、そしてそれまで廃止されていたセンターのオーバル型アナログ時計が、この限定車で復活したこと。ちなみにスイスのラサール社製で、やはりビトゥルボ・マセラティにはマストアイテムと言える。なおこちらの取材車は50台中7台目で、限定車自体は2000年11月に発表された。

取材に伺ったRAPORTの井澤一政さんは、このスタイルに憧れていて、「売れなかったら自分で乗ろうかと」思っているそう。やはりこのゴールドのボディカラーにタンのインテリア……。あ、あ、妖しい……。素敵だ……と見入っていると「まだ仕上げてないのですが、販売する時にはいろいろ手を入れてからお渡しします。はい、価格はその作業込みです」と、さすがは販売のプロ。こちらの背中を押す押す。ところが「この写真、記念に頂けます? 自分用に欲しいです」と、ご自身もすっかりマセラティの魔力に魅せられている様子だった。

今回のテーマはカーマガが何度も扱ってきた”ドロ沼”ではないが、これはもしかするとその可能性もある。しかしその妖しい雰囲気は、年齢はちょっと重ねているけど相変わらず魅力的。そう、まさに”美魔女”なのだ。

取材後期:ランチア・テージスの話

実車の取材はできなかったが、このテージスも強く推しておきたい。エンジンはアルファロメオの名機、”ブッソ”V6(3Lあるいは3.2L。2.4のディーゼルもあり)で、パワーとサウンドをディチューンしたのがさらにいい方向に働いた印象。そしてこのスタイル! これが一番似合うのはイタリアの大統領かマフィアのボスだろう。乗りこなすのはかなりのセンスが必要だが、成功したら無敵だ。

ちなみにこのへんの事情に詳しいカーボックス横浜に聞いたところ、確かに完調のクルマは素晴らしいものの、まずA/Tがネックで、他にもスカイフックサスやヨーセンサーが不調だったり(乗り心地が硬くなるのですぐわかる)、いろいろと壊れる模様。トランクにある補助バッテリーは消耗品なので、購入時には新品に換えたほうがよさそうだ。

フォト=佐藤靖彦/Y.Sato カー・マガジン464号より転載

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平井大介
AUTHOR
2022/02/27 15:00

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