アウトバーンで超驚愕の最高速度417km!!速度無制限といえどもコレは許されるのか否かがドイツ国内でも激論中【池ノ内ミドリのジャーマン日記】

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チェコの実業家が所有のブガッティシロンがアウトバーンを激走!

ドイツには世界で唯一、速度制限が解除となる区間がある高速道路があり、『アウトバーン』と呼ばれています。いわゆる、速度無制限であり、その上どれだけ走っても高速料金は無料です。
日本に住む友人知人らからは、「一度は自分で走ってみたい!」という声を何度も聞きますし、出張や旅行で既に何度も走った経験がある方も多いでしょう。ただ、どこでも速度無制限だと思っておられる方も結構おられるのですが、実際は結構頻繁に速度制限の区間があり、年々その区間は少なくなっているように感じます。

©pixabay

工事区間や大きなジャンクションの合流の個所などの危険区間には速度制限が設けられているのですが、一方で交通量の多い合流でも速度無制限のところがあり、入るのにちょっと緊張する箇所もあるんですよ。特に真夜中の真っ暗の速度無制限での合流は根性が要りますね。最近の物凄く明るいヘッドライトのお陰で、後ろから来るクルマとの速度感が難しいんです。

さて、そんなドイツのアウトバーンですが、ここ暫くドイツで多くの物議を醸し出し、大手新聞の社会面さえも取り上げる事態になっているのです。隣国チェコのビリオネアであり実業家の男性が、愛車のブガッティ シロンでドイツのアウトバーンのA2号線(ベルリンとハノーファー間)を417km/hで走行した動画をYoutubeにアップした事から始まりました。

彼が417km/hで走行していた区間は速度制限の解除区間であり、交通量が少ない早朝でかなりガラガラの状況でしたので、基本的に違法ではありませんが……。
今までにYoutubeにはアウトバーンを300㎞/h超えで走った! という動画は多々投稿されていますが、今回の417㎞はさすがにビックリな速度です。
有識者や弁護士などの様々な方が意見や見解を示しており、毎日のようにメディアを賑わしています。もしも、なにか突発的なトラブルがあっても、その速度からブレーキを踏んで停止するまでは少なくとも500mは必要となる事や、ドライブしていたビリオネアの方が両手をステアリングから離したという事も大変な危険行為だという指摘もありました。
一般の方からの意見は、すごい、カッコいい! というようなものから、非常に危険だ、あり得ない! という批判まで様々です。
速度制限解除の区間は安全に注意して、誰でも自由な速度で走行する事が可能なのですが、400km/h以上はさすがに想像を絶する速度ですよね。トップレーサーが駆るF1やル・マンのハイパーカー、ましてや新幹線の速度も上回る速さです。しかし、それらを操る人々は毎日のように相当な訓練やトレーニングを長年重ねていますが、このブガッティのドライバーは、特別なスキルを持つトップレーサーでもなんでもなく、スーパーカーを多数所有するお金持ちの一般人です。

もちろん、そんなハイパフォーマンスカーを所有してみたら、どれだけ自分で走らせられるのか、試したい気持ちはよく分かりますが、チェコの高速道路の制限速度は130km/hですので、踏み込む事はできません。思いっ切り走らせられる場所は限られてしまいます。

アウトバーンの制限解除標識

女性の私でも空いている時にはドイツのアウトバーンでは200km/h以上で走行する事もあり、その横を猛スピードで追い抜かれて物凄い轟音がしますが、それを大きく超える400km/h以上でもしも後ろから迫られたらと思うと恐怖を感じます。例え自分が追い越し車両を走っていなくても、いつ後ろから超高速の後続車が来るか分からないので、常にバックミラーをチェックしながら運転しないといけません。
普段のアウトバーンでも、バックミラーにかなり小さく映る後続車でも、一瞬で追いついてくる事が常なので気が抜けません。『速いクルマが走ってます、危険ですよ!』という意味で回りに知らせるためにかなり遠くから左ウィンカーを出したり、ライトを何度か軽くハイビームにして知らせてくれるクルマもいますが、それでもバックミラーを見ていないドライバーは、のんびりと追い越し車線に出てきてヒヤっとする場面を何度も見掛けています。

アウトバーンは深夜や早朝以外は結構な交通量があり、例え速度制限解除区間であっても、超高速で走行出来る機会はさほど多くない。©pixabay

ブガッティ シロンというと、世界限定500台という大変稀少なクルマというだけでなく、8.0L W16 クワトロターボで1500馬力というモンスターマシンです。日本を含め、ドイツ以外の速度制限が設けられている国ではポテンシャルを持て余してしまうのが実状でしょうね。ですから、400km/h以上で走行しても恐らく安定しているのでしょうけれど、想像を絶する速度です。いくら違法ではないとはいえ、それ位のスピードで走りたいのならば、サーキットを貸し切って好きなように走って貰いたいと思っているのは、私だけでしょうか?

この417km/hを出したYoutubeの投稿は2022年の1月9日です。それより少し前に撮影された映像かと想像しますが、完全に冬タイヤの季節です。雪は積もっていなかったようですが、日が昇りかけた早朝ならば、外気も路面温度もかなり低いはずですし、部分的に凍結の恐れもあります。
冬タイヤには走行可能な速度レンジがタイヤの寸法の横にアルファベットで記載されているのですが、そのアルファベットのAからYまで走行可能な最高速度が区分けされているのですが、恐らくこのブガッティのドライバーが装着しているのは最高基準のYだと仮定しても300km/hまでですから、それを大幅に越える速度で走行しているとタイヤバーストの危険性も非常に高くなります。

世界トップレベルにお金持ちの多いスイスやルクセンブルグなどのドイツの近隣国のナンバーの超高級車の爆走とたまに深夜に遭遇して、怖いなと感じる事もありますが、それでもこんなブガッティには足元にも及びません。
ドイツの有識者の中で、例え対抗する相手がいなくとも、公道で違法なレースが行われた場合には処罰の対象となり得ると唱える方もおられます。今回のこのブガッティのドライバーは単独でタイムアタック的な走りをしていたのですが、これもそれに当たるのではとの事です。
こんな度を越した超高速で走るドライバーが増えて、万が一誰かが巻き込まれる事故がいくつか起きた場合には、速度制限が法律で可決されてしまう可能性も無きにしもあらずで、今後の動向が気になります。

©pixabay

ドイツのアウトバーンも速度制限を設けるかどうかという議論を長年国会で議論されているのですが、ヘッセン州出身で現在はアストン・マーティンに所属するドイツ人F1ドライバーのセバスチャン・フェッテルは、自動車から排出されるCO2を削減すべく環境保護と凄惨な事故を避ける為にも、アウトバーンに速度制限を設けるべきだと強く主張しています。私の周りにも様々なカテゴリや元F1やル・マンで活躍したプロのレーシングドライバー達がいますが、公道を走る時の彼らは一般のドライバーのお手本となるべく、物凄く慎重に安全運転をしています。

まだまだこの417km/hのアウトバーン爆走問題の議論が続きそうですが、果たしてどうなる事かでしょうか……。

この記事を書いた人

池ノ内 ミドリ

武蔵野音楽大学および、オーストリア国立モーツアルテウム音楽院卒業。フリーランスの演奏家を経て、ドイツ国立ミュンヘン大学へ入学。ミュンヘン大学時代にしていた広告代理店でのアルバイトがきっかけでモータースポーツの世界と出会い、異色の転身へ。DTM、ル・マン/スパ/ニュルブルクリンクの欧州三大24hレースを中心に取材・執筆・撮影を行う。趣味は愛車のオープンカーでヨーロッパのアルプスの峠をひたすら走りまくる事。蚤の市散策。

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