1970年に誕生した初代セリカは、我が国初のスペシャルティカーである。新奇で見栄えの良いデザインと、実用的な4座のキャビンを備えた、スポーツカー風味の乗用車――というコンセプトは、アメリカのフォード・マスタングやシボレー・カマロなど、いわゆるポニーカーを日本的に翻案したものだ。当時の国産車としてはきわめて斬新かつ個性的なスタイリングは、前年の東京モーターショーに出品されたコンセプトカーEX-1のモチーフを量産化したもので、メカニカル・コンポーネンツは、同時に開発された中級乗用車カリーナと共有している。
DOHCの2T-Gエンジンを積むトップグレード・1600GTを唯一の例外として、グレードを設定せずST/LT/ETの3種の外装と8種の内装、1.4/1.6/1.6ツインキャブの4気筒OHVエンジン3種、3AT/4MT/5MTの3種のトランスミッションを自由に組み合わせる、“フルチョイス・システム”というユニークな販売方法も話題で、登場と同時に大ヒットとなった。’73年には、ハッチゲートを持つリフトバック(セリカLB)が加わり、SOHCとDOHCの2リッター・エンジンも搭載可能になった。ハードコアなスポーツカーを持っていなかったトヨタのラインナップ中、最もスポーティな車種として、その後も改良を加えながら1977年まで生産され、大きな成功をおさめて2代目にバトンタッチしたのである。
ハセガワ製初代セリカをノーマルにこだわって制作!
初代セリカの1/24プラモデルの現行品はアオシマとハセガワがあるが、この作例は、より新しいハセガワをベースに選んだ。ハセガワ製セリカは2010年代にリリースされたもので、通称ワンテールの初期型1600GTを再現している。同社の最近の製品と比べると部品点数は少なめだが、細部の繊細な表現には一脈通じるものがある。もともとは社外ホイールを履いたカスタム仕様のキットだったが、後からパーツを追加して純正ホイール付きをリリースしたものの、足周りの部品は変更されていない。ファクトリーストックにしては車高の低さが若干不自然なのが気になるので、作例はこれを修正している。
リアフェンダーのラインに丸みを帯びさせる
また、リアフェンダーのショルダーがかなり直線的なラインになっているのも、好みが分かれるところだ。今回の作例ではここも作者好みに改修してみた。フェンダーのみをいじっても良い結果が得られないため、トランクフードを一旦切り離し、カサ上げして再接着、これに沿ってフェンダーに瞬間接着パテを盛り、削って造形している。もっとも、これらは写実性や正誤というよりも解釈の問題なので、気にならない向きはそのままでも充分に満足出来るだろう。
レジンパーツの2T-Gエンジンを搭載してみた
また今回は、奈良の模型専門店・クアトロポルテがSMCブランドでリリースしている2T-Gエンジン・キットを使用して、フルディテール化を行なった。3Dプリントのエンジン・ブロックとレジン注型部品、そしてエッチングで構成されたこのエンジン、非常に精密なモールドで、繊細なハセガワのディテール表現に全くヒケを取らない出来映えだ。エアクリーナーやバッテリーなど周辺補器類は自作の必要があるが、シャシーにモールドされているオイルパンや排気系、ミッション底部はそのまま生かせるので、工作の難易度はさほど高くはない。作例ではシャシーのオイルパン周辺をくり抜いた上で、コアサポートやラジエター、ストラットタワーをプラ板で自作しエンジンを搭載、前述の通り補器類を自作している。
皆さんにも、この作例を参考に初代セリカの決定版をぜひ手にして頂きたいと思う。
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