クラシック・シトロエン乗りも納得の仕上がり!
新型シトロエンC4のカタログを開くと、最初に現れるのがこのシトロエンGSとの2ショットだ。その下には、1928年のC4に始まり、1961年のアミ6、1970年のGS、1979年のGSA、1982年のBX、1997年のクサラ、2004年の初代C4、2014年のC4カクタスの写真が並んでおり、これにプレゼン資料にもある2018年まで生産された2011年の2代目C4を加えると、シトロエンCセグメントの全歴史となる。
なぜこの話から始めたのかと言えば、この歴史を認識した上で、新型C4の立ち位置、キャラクターを定義しシトロエンらしさを追求したことが、今回のモデルから感じられるからだ。その結果、クラシック・シトロエン乗りでも納得できる、スタイルや乗り心地を実現したのである。
まずはスタイルから。全長4375mm、全幅1800mm、全高1530mmと、先代C4からはそれぞれ45mm、10mm、40mm拡大とだいぶ大きくなったが、機械式駐車場にもちょうど収まる、都心部ではベストサイズと言えそう。
デザイン自体は2016年パリ・サロンで登場したこのCXPERIENCEに直接インスパイアされたとされ、C4カクタス以来採用されているディテールを各部に配すことで、近年シトロエンらしいイメージを与えている。2014年にC4カクタスがデビューした時はまだ2代目C4が併売されていて、2018年にC4が生産終了した後も、C4カクタスが生産を続けたという経緯がある。どこまで計画的だったかはわからないが、シトロエンのモダナイズは、じっくりと時間をかけて行われたわけだ。
続いて乗り心地。C5エアクロスで採用された、PHC(プログレッシブ・ハイドローリック・クッション)を初めてCMPプラットフォームと組み合わせているのが最大のトピック。PHCは簡単に書けば、ダンパーの中に第二のダンパーシリンダーを仕込んだもので、低速域でのソフトさやサスペンションが大きく動く状況での懐の深さなどを実現。シンプルな機械制御のため、余計なサスペンショントラブルが起こりにくいのも特徴だ。
シートはC5エアクロス、C3、C3エアクロスと導入してきた、アドバンストコンフォートシートを全車に採用。これは生地裏に特別なフォームを配したもので、しかもそのボリュームを2mmから15mmへ大幅アップ。シートサイズ自体もたっぷりとしたもので、いかにも疲れなさそうな作りだ。
日本に導入されるパワートレインは3種類。1.2Lターボのガソリン(価格325万円)、1.5Lターボのディーゼル(同345万円)、そして日本のシトロエン初となるEV(BEV)だ。EV版は『Ë-C4エレクトロニック』(同465万円)と呼ばれる。グレードは上級グレードのシャインで、ガソリンエンジンのフィール(同290万円)のみ受注生産だ。ボディカラーは写真の4色が用意される。
さりげなく価格も併記させて頂いたが、ちょっと驚いた方も多いだろう。そう、見た目から感じる車格よりも、随分とリーズナブルな印象なのだ。ちなみにシャインとフィールは装備差だけなので、待てる方はファブリックシートのフィールを選んでもいいかもしれない。
今回日本初お披露目となる発表会に参加したのだが、強調されていたのは、シトロエンがユニークなデザインを持ち、そしてあらゆる面で快適性を追求していることだった。それがブランドのDNAであることを認知し求めた結果が、今回の新型C4となるのだ。
C3やC5エアクロスなど、最近のシトロエンの魅力を思い出しつつ今回のプロフィールを見ていくと、まだ試乗前ではあるが、乗らずともその素晴らしさは容易に想像できる。事実、この日トークショーに参加した、ひと足早く試乗体験したクラシック・シトロエン乗りたちも、「シトロエン乗りにもフィットする」「あたりがソフト、いなしが凄い」「一時期違うと思っていたが、先祖返りしている」と、納得していたのだ。
クラシック・シトロエンと聞くとハイドロニューマチック・サスペンションに目が行きがちだが、その一方で、金属バネの素晴らしい乗り心地を持つクルマを数多く輩出してきたことも忘れてはならない。そんなDNAを”わかりやすく”体現した新型C4からは、もはやヒットの予感しかしないのである。
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