【海外試乗】フレンチMPVの定番が世代交代! 愛と夢をのせてどこまでも!「ルノー カングー」

南陽一浩
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2021/12/08 09:00

欧州市場では6月にローンチされていたルノーの新型カングー。初代から数えて実に3世代目のフルモデルチェンジを果たした。コンセプトからデザインにサイズまで、ガラリと変わったことが従来ファンやオーナーから案じられていたものの、乗ってみればやはり、カングーはカングーならではの世界観に磨きをかけていた。

商用車から乗用車へ格上げ方向に進化・洗練

道看板やTVのCMを通じて、果たして本国でリュドスパスとしてMPVとして、かくも力を入れてカングーがキャンペーン展開されていたことなんてあったか? それぐらい新しいカングーは変わった。逆にいえば、欧州ではシトロエン・ベルランゴとベストセラーを競い合う「商用車」色の強さが仇となり、日本市場ほど熱意ある乗り手やファンは少なかった。

先代比でウィンドーガラス厚を+11%とし、エンジンルーム隔壁を見直すことで、走行中の車内の静粛性も大幅に高まっている。

まず本国発表値で気になる外寸だが、全長4486mmは先代比で+206mm。全幅はなんと1919mmと+89mmも拡大。全高は1838mmで+28mmだが、これはルーフレールを含む値だ。地上最低高は170mmから164mmと、7mm低い。試乗車は205/55R17を、標準仕様の195/65R15より外径が約3mm大きいタイヤを履いていたので、1.5mmほど上がっているはずだが、見た目も乗り味も違和感はなかった。

ウッド張りのダッシュボードや3連ダイヤルのバイゾーン・エアコンなど、商用車ベースとは思えないほど質感や装備が充実。

ホイール以外にも、乗用車としてスタイリッシュ路線を決定づける細部として、インテンスが採用するダッシュボードのウッドパネルには驚いた。他にも液晶表示を備えた3連ダイヤルのバイゾーン・エアコンスイッチや、ルーテシアやキャプチャー同様、緩やかに弧を描きタッチパネルと操作類がドライバー側にチルトしたダッシュボードなど、「非・商用車ぶり」を質感の高さで見せつける。

でもカングーらしいな、と思わせるのは、フランス流お節介ともいうべき充実した収納の数々。メーターバイザー脇から伸びたスマートフォンホルダーを筆頭に、頭上やセンターのコンソールなど、車内収納スペースの容量は50L近くもある。さらに60:40分割だが独立3座のリアシートはひとつひとつ幅も十分で、足元も広い。スライドドアの開口部も広がり、2列目シートを倒せば1.88m、助手席まで倒せば2.7mもの荷室長を活用しやすくなった。

跳ね上げ式ハッチゲートの先にある低床でほぼフラットな荷室は、5名乗車時でも775Lを確保。2列目を畳めば約1.88mもの荷室長が生まれる。

ちなみに今回のカングーの荷室容量は、5名乗車時で775L、最大で3500Lとなっている。先代に比べて譲る点は荷室高が4cmほど低くなったこと。また、リアゲートが観音開きでなく上ヒンジのハッチゲートであることを気にする向きもあるだろうが、雨の際の積み下ろしは楽になった。

前後列ともシートは一新。見た目の質感も座り心地もホールド感もすべてがグレードアップした。坂道で自動ホールドする電動パーキングブレーキも採用。

試乗車はTCe130、つまりガソリン仕様だが、まだEDC7速仕様がなく6速MTだった。17インチ履きで乗り心地を心配したが、走り出すと見事なまでにカングーらしい鷹揚さと、確かな進化を感じさせた。それは速度の高低にかかわらず均質で優しいピッチングに、ワインディングで適度に深いロール感を伴いつつ粘るフットワーク、そして巨躯を感じさせない正確なハンドリングだ。

近年のルノーのモデルに共通するCシェイプを採った前後ランプ。フォグランプに至るまでLED化され、現代的な顔つきとなった。

ADASは車速感応式クルーズコントロールではなく前走車との車間を秒数で表示する距離警告だったが、それでいて全体的な余裕、安楽さが一貫していた。2716mmのホイールベースは+16mmしか先代から伸びていないが、フロアもルーフも微妙に下げた重心の低さと、1584/1596mmに大きく拡大した前/後トレッドが効いているのだろう。

耐荷重80㎏のルーフレールはラッチを緩めてランナーが出せる使い勝手のよいタイプ。着脱式のアンテナを含む全高は1893mmとなる。

しかも今回は2000km以上を走ってリッター16kmと、ガソリン仕様の実燃費が大幅に改善されている。細いタイヤならさらに伸びるはずだ。dCi130にも7速EDCが組み合わされる以上、いっそ日本へはディーゼル導入もありか? 期待させる出来映えだ。

【SPECIFICATION】ルノー・カングーTCe130FAP
■全長×全幅×全高=4486×1919×1838mm
■ホイールベース=2716mm
■トレッド=前1584/後1596mm
■車両重量=1475-1616kg
■エンジン種類=直4DOHC16V+ターボ
■内径×行程=82.50×92.8mm
■総排気量=1333cc
■圧縮比=9.6
■最高出力=130ps(96kW)/4500rpm
■最大トルク=240Nm(24.4kg-m)/1500rpm
■トランスミッション形式=6速MT
■サスペンション形式=前ストラット/コイル、後トーションビーム/コイル
■ブレーキ=前Vディスク、後ディスク
■タイヤ(ホイール)=前195/65R15(-J)、後195/65R15(-J)

ルボラン2021年12月号より転載

この記事を書いた人

南陽一浩

1971年生まれ、静岡県出身、慶應義塾大学卒。ネコ・パブリッシング勤務を経てフリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・男性ファッション・旅行等の分野において、おもに日仏の男性誌や専門誌へ寄稿し、企業や美術館のリサーチやコーディネイト通訳も手がける。2014年に帰国して活動の場を東京に移し、雑誌全般とウェブ媒体に試乗記やコラム、紀行文等を寄稿中。2020年よりAJAJの新米会員。

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