【国内試乗】これがGRの進む道、クルマと対話する 愉しさが蘇る!「GR86」

萩原秀輝
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2021/12/06 12:00

スバルとの共同開発になるGR86を、ようやくオープンロードで走らせる機会を得た。トヨタGAZOOレーシングが、サーキットで培ってきた経験とノウハウに、開発陣が育んできてきた感性を重ね合わせ、走る楽しさをドライバーに直感で伝える。そんなシンプルな難題に、見事に応えてみせた。

ボディ剛性の高さが走りの楽しさに直結!

GRは、ル・マン24時間を含む世界耐久選手権や世界ラリー選手権などのモータースポーツに参戦することで、トヨタGAZOOレーシングが得た技術と情熱を導入したスポーツカーブランドだ。そして、GRスープラ、GRヤリスに続いてトヨタ86の後継モデルとして投入されたのがGR86である。 

ボンネットとフロントフェンダー、ルーフをアルミ製とし高剛性化と軽量化を実現。空力特性の最適化には、まさにトヨタGAZOOレーシングによるモータースポーツに技術が投入される。

86は、従来型を含め基本的にトヨタ(新型はGR)が企画とデザイン、スバルが開発と生産を担当する。スバルは、ひと足先に新型BRZを投入済みだ。だが、GRとスバルはそれぞれに知見を織り込んでいるため、従来型以上に立ち位置が異なる。GRは、ブランドの約束としてサーキットでの限界走行を含めドライバーが楽しめるダイレクトな応答性が得られることを目指している。BRZが目指したのは、一般路での一体感ある走りだ。そのために、サスペンションの設定やボディの取り付け方法まで変えてある。

運転席回りは従来型よりも端正。ステアリングのリムがほぼ垂直に立ち、シートバックを倒し気味にしても最適な運転姿勢をとれる。

実際、GR86は走り始めた直後から、従来型に対してボディの曲げ剛性を60%、ねじれ剛性を50%向上させた効果が明らかとなる。荒れた路面でもボディに振動が残らず、サスペンションが引き締められていてもスムーズにストロークしている感覚が伝わってくる。ダイレクトな応答性の源泉は、まさにこのボディにアリなのだ。

従来型に対して前席は着座位置を5㎜低め、助手席との距離を7㎜近づけている。ドライバーの乗車位置が重心により近くなり、より挙動が実感しやすくなった。

コーナーが連続する場面では、ステアリング操作通りの応答性を示す。従来型のように、ステアリングのギア比をクイックにすることで得た演出的な応答性とは次元が違う。ドライバーの意のままに、ステアリングをスッと切ればノーズがスイッと気持ちよく向きを変える。ズバッと切れば、ノーズがコーナーのイン側にバシッと刺し込んでいく。ダイレクトな応答とは、ドライバーの要求をクルマが忠実に再現することなのだ。
しかも、コーナリング中に路面のうねりを通過してもボディはムダに動かない。従来型も重心高は460mmと世界最高レベルの低さを誇ったが、新型はさらに5mm下げてきた。つまり、基本性能の段階でボディのムダな動きが抑えられるのでサスペンションを無闇に固める必要がなく、路面のうねりをいなしてくれるわけだ。

水平対向4気筒エンジンは排気量を2Lから2.4Lに拡大、低中回転域のトルクを上乗せし高回転域の落ち込みも抑える。回転数でパワーを稼ぎ235psを発揮する。

エンジンは、2.4Lの水平対抗4気筒で、輸出仕様のレガシィなどが積む直噴ターボがベースだ。自然吸気化し直噴にポート噴射を加えたトヨタのD4-Sを採用、最高出力の235psを7000rpmで発揮する高回転型だ。
アクセルを踏み続けると、7000rpmどころかレブリミットの7500rpmまで一気に吹け上がる。6速MT仕様の2速なら100km/h以内となるので、高速道路の本線合流ですら胸のすく高回転域特性が楽しめる。

タイヤはミシュラン製で、RZは従来型よりもハイグリップな18インチのパイロットスポーツ4を履く。エントリーグレードのSZは17インチのプライマシーHPが設定される。

しかも、中回転域では4000rpmからアクティブサウンドコントロールにより、スピーカーから(知らなければリアルなサウンドに聞こえる)中周波の鼓動音を重ねてくる。同時に、トルクが5000rpmにかけてもう一段盛り上がり加速の勢いが増す。速度にして2速で60km/h以下なだけに、山岳路では無理することなく思わず笑顔になるような加速の快感が繰り返し体験できる。

その意味では、GR86に乗るならMT仕様を選びたい。短いストロークでスコッとハマる、小気味よいシフトの操作感も好印象。エンジン排気量の拡大により低回転域のトルクが大幅に上乗せされているので、勾配の変化に合わせた頻繁なシフト操作は不要となり、想像以上に運転がラクだ。
6速AT仕様も用意されるが、ギア比が高く中高回転域ともにエンジンから快感を得ようとすると合法速度を超える場面が多い。もちろん、コーナーを駆けぬける楽しさはMT仕様と変わらず、GRブランドの約束は守られるが。

【Specification】トヨタGR86 RZ
■車両本体価格=3,349,000円(税込)
■全長×全幅×全高=4265×1775×1310mm
■ホイールベース=2575mm
■トレッド=前1520、後1550mm
■車両重量=1270kg
■エンジン型式/種類=FA25/水平対向4DOHC16V
■総排気量=2387cc
■最高出力=235ps(173kW)/7000rpm
■最大トルク=250Nm(25.5kg-m)/3700rpm
■燃料タンク容量=50L(プレミアム)
■燃費(WLTC)=11.9km/L
■トランスミッション形式=6速MT
■サスペンション形式=前ストラット/コイル、後Wウイッシュボーン/コイル
■ブレーキ=前後Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前215/40R18、後215/40R18
公式ページ https://toyota.jp/gr86/

フォト=宮門秀行/H.Miyakado ルボラン2022年1月号より転載

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