ル・マン24時間レースの取材でミュンヘンから往復2000km以上を走破!【池ノ内ミドリのジャーマン日記】

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毎年のライフワークとしている6月のニュルブルクリンクと7月のスパを経て、ヨーロッパ三大24時間レース取材の最後となるル・マン24時間レースのために、自宅から片道約1100kmの道のりを自走でフランスのル・マン市へと向かいました。

サルトサーキット正面入口。今年は24hレースのデザインが一新されました。

ミュンヘンの自宅を朝8時頃出発。この日はとても暑く、ル・マンまでほぼ西へ一直線に走り、ずっと西日の直射日光を正面に浴びながらの走行は、幾らエアコンの温度を下げようが、汗だくでした。

博物館ではトヨタの特別展が開催中。

ドイツからフランス領に入ってからもドイツ語表記が多い上、景色も変わらないので、突然入るラジオの交通情報がフランス語になった事で、あぁここはフランスね、と感じるくらいです。フランスの高速道路は最高130km/hで、場所によっては110km/hや90km/hの所もあるといった感じです。速度制限解除区間があるドイツからくると、かなりのノロノロ運転に感じます。道幅も広く空いており、走りやすいのですが、景色は殆どずっと変わらず、果てしなく広大な畑の中を何100km/hもクルーズコントロールで走り続け、眠たくなる要因満載です。特に半分を超えた辺りからは、昭和懐メロを流しても一向に眠気も覚めず、何度も休憩を取りました。

パドックの様子。

フランスのサービスエリアのよいところは、お手洗いの利用が無料!(ドイツは有料)ただ、便座のないフランスの公共トイレには何度行っても慣れませんが……。

ピットロード。

休憩から戻ってきてエンジンを掛けようとした時、スマートフォンで誰かと通話中の半泣きの中年男性と中学生くらいの男の子が寄ってきました。スコットランド人でバカンスからの帰り。たった今、そこのサービスエリアで置き引きにあって帰りのフェリー代を含む現金500€の入ったお財布やパスポート等が全て盗難に遭って途方にくれている。お金は帰国したらすぐにあなたの口座へ振り込むからフェリー代金の500€を現金で貸して欲しいとの事。あらら、お気の毒に……、私もミュンヘン空港で仕事道具の一眼レフカメラとパソコンらが一式入ったリュックサックを置き引きに遭ったのでそのお気持ちはよく分かります。でも私は多額の現金を持ち歩かないですし、これから仕事で向かうのでお金をお貸しする事は出来ないので、すぐに警察や大使館に連絡をした方が良いですよ、と言ってクルマを出しました。

サーキット近辺のスーパーではル・マン24hレースグッズコーナーが。

サーキット近辺のスーパーマーケットのレジにもル・マン24hとのチャリティーキャンペーン広告が。

そして、次の休憩の為にサービスエリアに行くと、次は中年男性がひとり、これまたスマートフォンで通話をしながら私のクルマに駆け寄って来るではありませんか、そしてどっかで聞いたフレーズが……さっきの休憩の時と全く同じ! もしや、サービスエリアごとにこんな詐欺グループがいるのではないか、と怖くなりました。よく考えたら、パスポートを盗まれたらドーバー海峡をフェリーで渡る事もできませんよね。

地元警察の展示コーナーにあったマトラJet6。

フランス在住の日本人の友人たちからは、助手席にバッグを絶対に置いてはいけないと口を酸っぱくして注意をされていた事を思い出してハッとしました。パリの高速の渋滞中にクルマのガラスを割られて強盗に遭った知人もいますし、平和ボケの日本人だったと改めて気を引き締めなければと反省しました。

ファンビレッジはアルピーヌの展示が人気。

日本でフランス車がブームという事もあり、イタリアと同様にフランスでもオシャレなクルマが多く走っているイメージがありそう……ですよね。ドイツ、特に私の住む街ミュンヘンにはクーペやカブリオレといったスポーツカーが多く走っているのですが、フランスではそれらのクルマは皆無。他にもドイツ国内ではとても多いセダンやツーリングワゴンでさえもフランスでは多く見掛けませんでした。コンパクトカーや小型SUVが多いという感じを受けました。ライフスタイルや用途によっても自動車のチョイスはひとそれぞれですものね。

出待ちファンもアルピーヌ推し。

フランスではドイツ車や日本車は少なく、そしてドイツでは多い韓国車やテスラ、シュコダ、セアト(クプラ)やイタリア車も非常に少ない印象で、シトロエン・ルノー、プジョーといったフランス車が多くを占め、自国の製品を強く愛しておられるんだな、と感じました。ドイツは自国に多くの自動車メーカーを持つ国ですが、それでも多種他国の自動車が走っており、そんなバラ

エティ豊かな国はヨーロッパでもドイツだけではないかな、と思います。陸続きですが、走っているとヨーロッパ各国で車種やメーカーの特色が見られて興味深いです。

サーキットでお掃除をしてくださるマダムもオシャレ♪

ル・マンで有名なトヨタファンのフランス人。

ファンコーナーで地元新聞を配っているおねえさん。

ファンコーナーで活動する救急隊員のみなさん。

オシャレなクルマに乗っている人がステキというよりは、ステキな人が乗るクルマはどれもオシャレ、そんな風に思えてきました。

ところで、ドイツのアウトバーンの速度制限解除区間を120km/h前後でのんびりと真ん中車線を走り続け、物凄い勢いで煽られているフランスナンバーのクルマを、特にバカンスシーズンに多く見掛けます。走行車線が空いているのだから、そっちを走ってくれればよいのですが、なぜか真ん中を堂々と延々走るフランス人。パッシングや左ウィンカーで、何台もが車線変更を促すものの、一向にどかないのもフシギなんですよね。もちろん、フランスナンバーだけではなく、そのようなクルマが後を絶たないので危険です。真っ暗なアウトバーンであれだけハイビームで迫られるだけでも眩しいと思うのですが、それにプラスしてライトパシャパシャでも無反応。

インタビューに気さくに応じてくださったおまわりさん。

ル・マン24時間レースのファンビレッジに地元警察の展示コーナーがありましたので、おまわりさんにその辺の事を聞いてみました。私もおまわりさんもかなり酷い英語でしたが、何とか意思疎通に成功(笑)。フランス人はよくも悪くも楽天家。ルールをきっちり守らなきゃいけないという概念、道路へのリスペクトはあまりない、との事。おまわりさんらもそれはよく分かっておられるようで、警察としても困っているとの事で、規則はきっちり守るものというドイツや日本人の感覚とは全く違う、ともおっしゃっていました(苦笑)。

ステキなポストカードとボールペンをおまわりさんがお土産にプレゼントしてくださいました。

フランス人、いつもフシギなのは、なぜ追い越したままでもウィンカーをずっと出し続けているのだろうか? というところですね。フランス車は自動で消えない? そんな事はないですよね~? ドイツでずっと左ウィンカーを出したままにすると、どけどけと言わんばかりにずっと煽り続ける事になるので要注意です。

警察のプジョー308。

パドックに停まっていたダチアのパトカー。ドイツのアウトバーンだとパワー不足で違反者を追いかけられませんね(笑)。

私がフランスで最も苦手なもののひとつ。それは高速道路の料金所! ドイツの国内には高速道路の料金所はなく、通行料も無料なのです。なので、フランスやイタリアの高速道路で料金所がくるたびに身構えてしまいます。

フランスの高速道路の料金所。

かなり接近して停めなければいけない上、車高の低いクルマでは元々届かない位置にチケットや現金投入口があるのでシートベルトを外して身を乗り出さなければなりません。

オランダナンバーのVW ID4でキャンピングトレーラーをエンジン距離で引っ張るのは、何回くらい充電する必要なんでしょう。

なおかつこの機械ったら、たまにドイツのカードが反応しなかったりしますので、最近は現金支払いのレーンに並ぶようにしているのですが、今回はそれが……。お金を入れても全く反応せず、返金ボタンを押しても戻らない! 係員呼び出しボタンを押すと、カードでもう一回支払ってください、と。カードで無事に支払いを終えたのはいいけれど、先に入れた現金を返金して欲しいと訴えるものの、係のフランス人女性はドイツ語で「チュース(バイバイ)」と言ってガチャッと通話を終了、後ろは長い行列になっていますので、ゲートが開いてクルマを出すしかありませんでした。先に入れたお金は戻らずトホホ。

料金所に近づく度にドキドキ(笑)。

毎回見ているとドイツと同じく高速道路に料金所がないオランダ・ベルギー等のナンバーのクルマはもたもたしている傾向なので、その後ろに並ぶ事にしているのですが、うっかり前後がフランスナンバーだと、慣れない精算やトラブルに大クラクションの嵐になり、更に焦ります(苦笑)。

ドイツへ帰る日に有名な超高速ストレートのミュルサンヌへ。

投入したお金が戻らない(返金してくれない)、おつりが出ないという経験を重ね、フランスやイタリアに行く時は、高速道路の料金所対策としてジップロックに事前に両替をした小銭や小額紙幣を入れて持って行く事にしているのですが、今回もお金を返して貰えないとは。もう本当に料金所恐怖症です(苦笑)。イタリアやフランスには年に1~2回しか行かないのに、各国のETCを着けるのもムダですしね。

サービスエリアにはエッフェル塔のおみやげもの。

ちなみに、フランスのサービスエリアでは一般的なコーヒーの自動販売機。小銭がない時に助かるのはカードでの支払いですが、カードでは支払い済みになったのにコーヒーが出てこない……、こんなトラブルにも遭いました。係員の方に酷い英語で訴えるも、フランス語オンリーの店員さんが大半でこれまたトホホ。ル・マンでお会いした日本人の方と立ち話をしていると、偶然にもその方たちも同じトラブルに。しかし、同行者にフランス語の通訳の方がおられたお陰で無事に返金して貰えたとの事でした。

ル・マンへの道のりではシャンパーニュ地方も通過。ピンクのビスケットはシャンパーニュ地方の銘菓で、シャンパンに浸して食べるのだとか!? さすがおフランス、オッシャレ〜♪

そんなこんなで、帰りはドイツ領に入ったらすぐにガソリンを満タンに給油して、ヒャッホ~とばかりに踏んで帰りました。速度無制限、最高デス! そこそこのスピードを出すと、必然的に緊張感も出ますから疲れも眠気も吹っ飛びます。フランスでの130km/hの長距離運転を経てふと感じたのですが……ドイツのアウトバーンの合流箇所で速度制限が出されているところもありますが、速度無制限となっているところも多く、特に夜の真っ暗闇の中で、明るいLEDライトに後ろから照らされて合流する際に速度感覚が分からない時があるのです。ドイツのアウトバーンの速度に慣れていない近隣国のドライバーはとても怖いだろうな、と思いました。

往復共に休憩を4回~5回ずつ取りながら、12時間を走り事故なく無事に家に到着できてほっとしました。今年のレース取材もすっかり後半戦に突入ですが、残りのシーズンも楽しく安全運転で取材に向かいたいと思います!

この記事を書いた人

池ノ内 ミドリ

武蔵野音楽大学および、オーストリア国立モーツアルテウム音楽院卒業。フリーランスの演奏家を経て、ドイツ国立ミュンヘン大学へ入学。ミュンヘン大学時代にしていた広告代理店でのアルバイトがきっかけでモータースポーツの世界と出会い、異色の転身へ。DTM、ル・マン/スパ/ニュルブルクリンクの欧州三大24hレースを中心に取材・執筆・撮影を行う。趣味は愛車のオープンカーでヨーロッパのアルプスの峠をひたすら走りまくる事。蚤の市散策。

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