オススメグレードから詳細解説、歴史、中古車情報などアウディA4のすべてがわかる!【一車種徹底研究】

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輸入車は、今やクルマ選びの「当たり前」になりつつある。しかし輸入車もモデルチェンジサイクルが短くなり、気がつけば新型に切り替わっていたり、ドイツ車ではバリエーションの展開も多く、現在発売中のニューモデルの詳細を俯瞰的に理解するのは、案外難しい。

そこで、【一車種徹底研究】では、発売中のニューモデルの様々な情報を集積して再分解。概要から歴史、グレード・価格・中古車相場まで掘り下げ、車種ごとのアウトラインを解説する。第3回は、クールで知的な印象で人気が高い「アウディ」から、メイン車種の「A4」をお送りする。

【車種概要】現在発売中のA4って、どんなクルマ?

・現行モデル「B9」型は2015年登場。ついに先般、日本でもマイナーチェンジ

メルセデス・ベンツ「Cクラス」、BMW「3シリーズ」と並び、いわゆる「Dセグメント」のプレミアム・セダン市場で覇を競うアウディA4。世の中の流行がSUVに移行して、各メーカーともに豊富にSUVのラインナップを厚くしている昨今でも、この3社にとって「セダン」は車種の根幹を成している。そのため、アウディA4もドイツメーカーの底力を強く感じさせる仕上がりになっている。

現行型A4は、2015年に発表、同年9月のフランクフルト・ショーで初公開された。日本では早くも翌月の東京モーターショーに出品。2016年2月から発売を開始している。現行型世代は「B9」と称されるが、これはA4の先祖「アウディ80」から通算して9代目ということを示す。80がA4になったのは通算5代目(B5)からで、現行型はA4として5代目にあたる。

2005年登場の先代A4(4代目・B8)では、ボンネット・ホイールベースが伸びて前後重量配分の適正化を行い、全長も4.7mを超えてかつての上位車種・アウディ100並みのサイズになった。7年ぶりにフルモデルチェンジを受けた現行型も、そのスタイリングを引き継ぎ、さらに全長・全幅を拡大したことで、より伸びやかなフォルムを得ている。その一方で新しいプラットフォーム採用による軽量化も推し進められ、最大で120kgもの減量に成功した。

日本では2019年初頭には小改良を行ったA4は、その後5月になって「マイスターシュトゥック」という特別仕様車をラインナップした。同月、本国のA4はフルモデルチェンジに近いほど大幅なマイナーチェンジを受け、「B9.5」に進化している。前後エクステリアのブラッシュアップのほか、ボディのプレス変更まで実施するという大掛かりな変更で、フェンダー上部にうっすらとブリスター状の造形も付与された。そして本国に遅れること約1年半経った2021年10月、日本仕様もようやくビッグマイナーチェンジ。さらに2021年1月には、待望のディーゼルエンジン搭載モデルを追加して、ラインナップが充実した。

・ボディバリエーションはセダン、アバント(ワゴン)の2つ

A4にはセダンと「アバント」と呼ばれるステーションワゴンを用意する。アバントは、前身となるアウディ80の 4代目80(B4)時代から存在するボディバリエーションで、ユーティリティの高さから、A4シリーズでも根強い人気を誇る。世界的な統計では、2016年時点でのアバント販売比率は約45%だという。駆動方式は、エンジンを縦置きするFFを中心に、アウディ伝統の4WD「クワトロ」をカタログに載せている。また、A4アバントをベースに、無塗装オーバーフェンダーを装着してSUVの雰囲気を加味した「オールロードクワトロ」もラインナップ。オールロードクワトロでは、「アウディドライブセレクト」から「オフロードモード」の選択も可能となっており、見た目を裏切らない、高い悪路走破性も兼ね備えている。

・エンジンは1.4LターボからV6ターボまで多種多様

現行モデル登場時のエンジンラインナップは、1.4L直4ガソリンターボ、2L直4ガソリンターボ(2種のチューニング)、2.9L V6ツインターボの4種類(いずれも直噴TFSIエンジン)とシンプルだった。マイナーチェンジ以降は、ガソリンエンジンの「35」が、1.4Lから2Lに置き換えられ、2021年1月以降に登場したディーゼル版は、チューンの異なる2種類の2Lディーゼルターボエンジンを用意する。また、V6を除く全ガソリンおよびディーゼルエンジンに「12Vマイルドハイブリッドシステム」が装着されている。

なお、アウディはグレード名に排気量の数字を用いず、最高出力(kW)を「30」「45」などの2桁数字で記す表記に改められており、少々分かりにくい。

数字の範囲は、下記のとおりだ。
25:80kW以下(106ps以下)
30:81kW~91kW(107ps~127ps)
35:110kW~120kW(145ps~159ps)
40:125kW~150kW(165ps~198ps)
45:169kW~185kW(223ps~244ps)
50:210kW~230kW(278ps~304ps)
55:245kW~275kW(324ps~363ps)
60:320kW~340kW(423ps~449ps)
70:400kW以上(529ps以上)

このほか、A4をベースにV6・2.9Lツインターボエンジンを積む「RS4」を設定する。こちらはBMWの「M」、メルセデス・ベンツの「AMG」モデルに相当し、アウディでは「クワトロ社」が生産している超高性能版である。RS4のボディはアバントのみなのも面白い。

【歴史紹介】A4の元になったアウディ80から数えて9代目にあたる現行型

・初代「80」(B1型)は1972年登場 2代目(B2型)はジウジアーロデザイン

現在のアウディは、ハッチバック/セダンではA1・A3・A4・A6・A7・A8をラインナップする。かつては50・80・90・100・200・V8などの車種が存在したが、1995年に車種名の体系を「A+ひとけた数字」に変更。その後は、80=A4、100=A6、V8=A8に車名が置き換えられた。

A4の前身・80の初代は、1972年に登場。兄貴分100を一回り小さくしたデザインは、かのジウジアーロの手によるもの。縦置きFFのパワートレーン・サスペンション・ボディなどの主要コンポーネンツは、翌年にデビューしたVWの「パサート(初代・B1)」に流用された。モデル末期にはパサートとの差別化を進めるため、2代目100そっくりのグリルとなっている。

1978年、80は2代目(B2)にフルモデルチェンジ。近代的なエクステリアは、初代同様ジウジアーロ作である。パサートとの兄弟車という関係を維持しつつも、外観は完全にアウディオリジナルとなった。1983年には100譲りの直5を搭載、クワトロもラインナップに加わった。1985年にはビッグマイナーチェンジを受けて、トランクリッドがバンパーレベルで開くようになったほか、5気筒版は「90」として独立した。

・日本でも売れたエアロボディの3代目(B3型)と、その改良版の4代目(B4型)

空気抵抗係数が少ない「空力ボディ」を大きな特徴とする3代目(B3)は1986年に登場。なめらかなデザインは一足早く1982年に出た3代目100(C3)よりもさらにスムーズに、かつ丸みを帯びたものとなり、Cd値はなんと0.29を記録。「プロコン・テン」システムなどの高い安全性も自慢だった。しかしその一方で後席足元の狭さや、2代目の美点だったトランク容量の低下も指摘された。5気筒モデルは、引き続き90を名乗った。

1992年に4代目(B4)へと発展したが、見た目はフロントグリルが独立した程度の違いしか見られないように、実質的には3代目のビッグマイナーチェンジ版といってよかった。しかし、実はホイールベースが60mm以上延長されて居住空間を拡大、トランクスペースも様々な工夫によって容量を増加するなど、地道な改善努力を行っていた。そのほか、B4では90を廃止したことで直5エンジンが80に戻った他、さらに80では初となるV6エンジンやステーションワゴンのアバントを追加した。

・B5型へフルチェンジの際「A4」に改名

1994年登場の5代目(B5)からは、80からA4(初代)に改名された。6ライトのデザインはアウディらしさを保ちつつ、B4よりもシャープな印象でまとめられていた。エンジンは従来通り縦置きで、直4とV6を搭載。アウディ独自の直5ユニットはここでドロップしている。1997年に、2.7LV6ツインターボを押し込んだ高性能版の「S4」を追加した。駆動方式は、もちろんクワトロである。

2代目A4(B6)は2001年デビュー。初代A4(B5)のイメージを継承しつつ、バンパーをボディに完全に取り込んだような、2代目A6(C5)のシンプルな面処理を譲り受けていた。2代目では、80〜A4を通して初のカブリオレも登場。なお、2005年にパサートがフルモデルチェンジして横置きエンジンになったことで、一部世代で行われていたパサートとの兄弟車関係は完全に解消した。

2004年には早くも3代目(B7)になったが、2代目を大幅にブラッシュアップ。ビッグマイナーチェンジとはいえ、直噴エンジン(TFSI)を新たに搭載するなど、パワートレーンは大刷新されていた。またこの代から、ナンバープレートを挟んで上下に分かれていたグリルをひとつにまとめた「シングルフレームグリル」を採用している。カブリオレも引き続き設定していたが、日本には輸入が行われなかった。

・4代目A4(B8型)では一気に車体を大型化

先代にあたる4代目(B8)は2008年から発売を開始した。完全新設計となった4代目最大の特徴は、ホイールベースを165mmも伸ばし、前輪の位置をぐっと前方に押しやったことで得た、プロポーションの大幅な変化だった。これにより、まるで後輪駆動(FR)車のようなスタイルとFR車並みの前後重量配分、そして軽快なハンドリングを獲得した。しかし一方で全長が4.7m、全幅も1.8mを超え、Dセグメントのクルマとは言えないほどに大きくなってしまったのも確かだった。安全装備として「アウディアダプティブクルーズコントロール」をオプションながら設定したことや、クルマの特性を変えられる「アウディドライブセレクト」(こちらもオプション)を選べるのもトピックだった。

【細部解説】マイナーチェンジで、さらに熟成度が高まった現行型A4

【内外装】
・アウディらしい6ライト・デザインに、FR車のような伸びやかなフォルム

現行型(B9)は、アウディ伝統ともいえる6ライト・ウィンドゥ、先代(B8)同様に長いホイールベース・短いフロントオーバーハングの伸びやかなフォルムを持つ。2019年(日本では2021年)のマイナーチェンジ前は、一見すると先代との差がわかりにくかったが、これは、伝統的に前モデルと見た目の違いが少ないという、アウディらしさともいえる部分でもあった。マイナーチェンジ後には、うっすらとオーバーフェンダーが備わり、マスクもさらにキリリとした印象になり、明確にニューモデルらしい雰囲気を得ている。

現行型A4の全長は4760〜4770mm、全幅は1845mmあるが、最小回転半径はFF・クワトロともに5.5mに抑えられている。また、車体が大きく装備が多い中で、車重がライバルとほぼ同じか、もしくは軽めの1.5トン前後(直4ガソリンエンジン・FF車)にまとめられているのも見逃せない。

・知的でクールな雰囲気が漂うインテリア 最新のバーチャルコクピットも用意

精緻で高品質な工業製品、という印象を抱かせるアウディのインテリア。A4でももちろんそのイメージは徹底して貫かれている。樹脂、革、金属の使い方は嘆息するレベルで、質感もとても高い。余計な要素を極力抑えた、水平方向に広がるダッシュボードも、飽きがこない普遍的なデザインで好ましい。

メーターパネル全体を12.3インチLCDディスプレイとして、速度計・回転計やカーナビゲーション画面、Audi connectサービス、ラジオ・メディア情報などをフレキシブルに表⽰する「Audiバーチャルコックピットプラス」を、「35TFSI」以外の全モデルに標準設定する。センターには10.1インチのタッチスクリーン・ディスプレイを置き、従来のハードウェアよりも最大で10倍速いという、最新のインフォテインメントシステム「MIB3」を搭載。カーナビゲーション画面、スマートフォンのアプリと連携する「Audi スマートフォンインターフェイス」などを表示できる。

【エンジン・パワートレーン】
・直4ガソリンエンジンのチューンは2種 12Vマイルドハイブリッドを搭載

基本となるエンジンは、2Lの直4直噴ターボエンジン「TFSI」で、「35」「45」という3種のチューニングを持つ。「35」が150ps(110kW)なのに対し、「45」では249PS(183kW)を発生するハイチューン版になっている。最大トルクは、エントリーエンジンの「35」でも1350〜3900回転という実用域で270Nm(27.5kgm)を発生。「35」だとアンダーパワーでは? という心配は杞憂で、日常使用では十分以上の性能を有している。

トピックは、マイナーチェンジでベルト駆動式オルタネータースターター(BAS)+リチウムイオンバッテリーによる「12Vマイルドハイブリッドシステム」を搭載したことだ。100kmあたり0.3Lの燃料低減効果をもたらす。リチウムイオンバッテリーはスペアタイヤのスペースに置かれ、ラゲッジルームを侵食していない。

・同じく2種のチューンと12Vマイルドハイブリッドを持つ、直4ディーゼルターボ

一方、待望の追加となったディーゼルターボユニットは、こちらも12Vマイルドハイブリッドシステムを備えた2L直4で、2種類のチューンを設定するのも同じ。「35」は163ps(120kW)、「40」は190ps(149kW)という性能を有す。低回転域から発生する太いトルクはディーゼルエンジンの美点で、その数値は「35」で38.7kg-m(380Nm)、「40」だと40.8kg-m(400Nm)にも達する。

・V6ツインターボは別格の存在

スポーティ版の「S4」に搭載される2.9L V6ツインターボは、354ps(260kW)という高出力を誇る。直4エンジンモデルのトランスミッションが「7速Sトロニックトランスミッション」なのに対し、S4には「8速ティプトロニックトランスミッション」が奢られる。

RS4の2.9LのV6ツインターボエンジンはさらに過激で、450ps(331kW)という大パワーを持つ。1.8トン超という決して軽くないRS4に、280km/hの最高速度、0→100km/hまで4.1秒という凄まじい加速力を与えている。

【先進装備】
・運転支援機能・安全装備を満載

現代のクルマに必須となった運転支援機能・安全装備。A4には、右折の際、2km/h〜10km/hの範囲で、対向車両や後続車の接近を知らせて衝突回避を支援する「ターンアシスト」、設定速度(30~250km/h) 内で自動的に先行車との車間距離を保つ「アダプティブクルーズコントロール」、高速道路でレーンのはみ出しを警告、車線をキープする「アクティブレーンアシスト」、並走するクルマが死角に入った場合にこれを検出し、事故の危険を知らせる「アウディサイドアシスト」、前方または後方の障害物を検出し、表示や警告音で知らせる「アウディパーキングシステム(APS)」などがグレードによって装備される。

【グレード別解説・オススメグレード】

排気量・チューニング・駆動方式を組み合わせたシンプルなグレード展開

2021年3月現在のA4のラインナップを、ここで改めてセダンを中心にチェックしてみたい。なおステーションワゴンであるアバントの価格は、セダン+29万円でご計算願いたい。
表示価格は、いずれも税込みである。

・35TFSI(ガソリン:セダン/アバント)455万円

全A4シリーズのエントリーグレードに相当するのが、「35TFSI」だ。エンジンは2Lガソリンターボである。エントリーモデルといっても装備は十分以上で、 “装備されないもの”を探すほうが早いが、安全性能を高める装備が省略されるのは惜しい。バンパーも非スポーツ仕様で、ホイールも17インチながら、シリーズ唯一の10本スポークというシンプルな出で立ち。実用セダンとして、むしろ好ましささえ感じさせる。

・35TFSI advanced(ガソリン)523万円
・35TDI advanced(ディーゼル)538万円

「advanced」は、5アーム17インチダイナミックデザインホイール、パワーシート&シートヒーター(フロントのみ)、「アルミニウムエリプス」デコラティブパネル、パドルシフト付きステアリングホイールなどの装備を揃えた、お買い得なグレードだ。2Lガソリン・2Lディーゼルの両方を設定し、最高出力はそれぞれ150ps(110kW)と163ps(120kW)。

・45TFSI quattro advanced(ガソリン)580万円
・40TDI quattro advanced(ディーゼル)565万円

「45TFSI/40TDI quattro advanced」は、「35TFSI/35TDI advanced」をベースとしつつ、アウディ伝統の4WDシステム「クワトロ」を装備。エンジンは「35」と同じ排気量ながらもチューニングを変えており、ガソリンでは249ps(183kW)、ディーゼルでは190ps(149kW)へとパワーアップしている。こちらではディーゼルエンジン版のほうが安価だが、これはガソリン版のほうが高い最高出力を勘案したものだろうか。

・35TFSI S-line(ガソリン)570万円
・35TDI S-line(ディーゼル)585万円

S-line専用バンパー、18インチSYスポークデザインホイール&245幅の18インチタイヤ、アルカンターラとレザー素材のスポーツシート、「マットブラッシュトアルミニウム」デコラティブパネルなど、全身にスポーティな意匠をちりばめた「35TFSI/35TDI S-line」。性能面では他の「35」グレードと同一で、最高出力はガソリン=150ps(110kW)とディーゼル=163ps(120kW)。

・45TFSI quattro S-line(ガソリン)627万円
・40TDI quattro S-line(ディーゼル)612万円

「45TFSI/40TDI quattro S-line」は、「45TFSI/40TDI quattro advanced」の内外装をスポーティに装ったものだ。性能も「45TFSI/40TDI quattro advanced」と同一で、S-line独自の装備は、「35TFSI/35TDI S-line」におおむね準じる。

・S4(V6ガソリン)897万円

354psのV6ツインターボを積むスポーティバージョン「S4」は、「45TFSI/40TDI」をベースに、さらにヘッドライトウォッシャー、スペシャルエクステリアパーツ(アルミニウムエクステリアミラーハウジング)、Sスポーツバンパー、専用デザインの5スポーク19インチホイール、ダンピングコントロールSスポーツサスペンション、フロントSスポーツシート、カーボンアトラスデコラティブパネルなどを備える。価格は一気に上昇して、897万円というプライスタグを掲げる。2.9L V6ツインターボエンジンは、最高出力354ps(260kW)というハイパワー。

・RS4 Avant (V6ガソリン・アバントのみ)1250万円

最高出力450ps(331kW)の2.9L V6ツインターボを載せた「RS4」は、A4シリーズの頂点に君臨するモデル。RSバンパー、さらに張り出したブリスターフェンダー・5ダブルスポークエッジデザインの20インチホイールなどの専用エクステリアを持ち、インテリアでも、ダイヤモンドステッチを施したファインナッパレザーのスポーツシート、Bang & Olufsen 3D アドバンストサウンドシステムなどを装備する。

・allroad quattro(ガソリン・アバントのみ)634万円

オールロードクワトロも、A4シリーズ共通の改良を受けている。装備面・性能的には「45TFSI quattro advanced」に準じ、オールロードクワトロ専用のエクステリアと、専用のラフロードサスペンションを持つ。最低地上高は、ほかのアバントモデルよりも+50mmの170mmを確保する。

・A4のベストバイはどのグレード?

Cクラスや3シリーズに比べると、比較的シンプルなグレード構成となるA4。400万円〜500万円前半で、格別な高性能も不要で、見た目にスポーティさもいらず、安全で快適なクルマが欲しいというユーザーには、価格・装備・安全性能/運転支援が十分以上に備わる「35TFSI advanced」(523万円)「35TDI advanced」(535万円)がベストバイと言えるだろう。一般的に、ディーゼルエンジン搭載モデルは、ガソリン版に比べて価格が上昇する傾向にあるが、A4ではわずか15万円高。ガソリン3.5Lクラスの38.7kgm(380Nm)という豊かなトルクを1500〜2750回転で発生し、WLTCモード17.1km/Lの好燃費を誇るクリーンディーゼルエンジンを、大きくない差額で手に入れられることを考えると、35TDIを選ばないという理由は少ない。

参考までに、ライバルのCクラスの「ちょうどいいグレード」である「C 180 AVANTGARDE」が530万円なのに対し、ディーゼルの「C 220 d Laureus Edition」では、一気に639万円に上る。3シリーズも同様で、「320i」が538万円、ディーゼルの「320d xDrive」では、駆動方式が4WDの「xDrive」ということもあり、597万円を出さないとディーゼル版に乗ることができない。

エントリーグレードの「35TFSI」という選択もあるが、「35TFSI」には現代の新車ではもはや必須装備といえる「アダプティブクルーズコントロール」が標準装備されない(オプション設定もなし)。その他のホイールやプライバシーガラスなどの外装関連に関しても、「35TFSI」ではオプションすらも徹底して用意されないことにも注意されたい。

【見積もり】代表車種でA4セダンの総額をシミュレーション

・オプションを装着すると、車両本体価格はいくらに?

そこで、「35TDI advanced(535万円)」を価格シミュレーションしてみた。車両本体価格は535万円の状態で、これ以上必要がないほどに装備が充実しており、オプションはそれほど選べない。しかしその中から、革シートを好むなら、パーシャルレザー、運転席メモリー機能、エクステリアミラーメモリー機能、ランバーサポート 4ウェイ(フロント)、マルチカラーアンビエントライティングを得られる「ラグジュアリーパッケージ」(23万円。税込み、以下同じ)がオススメだ。安全性能をさらに向上させるなら、パークアシスト、サラウンドビューカメラ、マルチカラーアンビエントライティングをセットにした「パークアシストパッケージ」(12万円。ラグジュアリーパッケージを同時選択すると8万円)を追加したい。ボディカラーはメタリックだと9万円高くなる。

このほか、受注生産のスペシャルオプションとして、「ヘッドアップデイスプレイ」(15万円)、「シートヒーター」(9万円)を選んでみよう。なお、このほか「サンルーフ」(16万円)、「Bang & Olufsen 3D アドバンストサウンドシステム」(17万円)、「プライバシーガラス」(10万円)なども用意されている。

そこで、「ラグジュアリーパッケージ」「ヘッドアップデイスプレイ」「シートヒーター」「メタリックカラー」をオプションで盛り込んでみよう。その結果、総額は579万(諸費用含まず)となった。

【中古車情報】現行型・先代を中古車で狙うなら……

・現行型なら中古車はいかが?

2015年デビューの現行型A4は、ライバルのCクラスや3シリーズに比べると流通台数が少ないが、2019年式・走行0.2万キロの「35TFSIマイスターシュトュック」に、「マトリクスLEDヘッドライトパッケージ」と安全性能を充実させた「アシスタンスパッケージ」付きで、なんと車両本体価格360万円台、さらには「45TFSIクワトロマイスターシュトュック」で2019年式・走行距離1万キロで約420万円……など、お買い得感が高い個体が多数販売されている。

大手中古車検索サイトの掲載台数:約165台
平均価格:330万円
最多年式:2017年

・歴代A4の相場感は?

このように、現行型でも中古車だとぐっと買いやすくなるA4。先代以前のモデルでは、どのような相場感なのだろうか。(データは、2021年3月27日現在)

・4代目B8

2008年〜2016年に発売された先代A4(B8)になると、さらに価格が下がる。見た目も現行型と見まごうほどに古くなく、装備も充実したプレミアムセダンの平均価格が120万円台というのだから、こちらもかなり「いい買い物をした」感が強い。ただし、大きめのメンテナンスが必要な時期を迎えている個体もあるため、購入後の費用もある程度用意したい。

大手中古車検索サイトの掲載台数:約135台
平均価格:120万円台
最多年式:2011年

・3代目B7

3年しか販売していない3代目(B7)だが、それにしても掲載台数が22台ほどというのは少ない。15年ほど前のクルマでも、高級感・仕上がり・見た目は古さを感じさせない。

大手中古車検索サイトの掲載台数:約22台
平均価格:33万円
最多年式:2006年

・2代目B6

2001年〜2005年販売の2代目(B6)は、メルセデス・ベンツのCクラスでいえば2代目のW203型、BMWなら4代目のE46型に相当するが、両車がそれぞれ40台、120台ほど掲載されているのに対し、A4はなんと8台しかなく、平均価格も約半分だ。クルマ自体の出来はとても良いため、適度に安価で、ちゃんと高級に見えるクルマを求めるなら大穴のチョイスかもしれない。しかもクワトロで30万円台! もちろん、メンテナンスは必要なお年頃である。

大手中古車検索サイトの掲載台数:約8台
平均価格:35万円
台数の多い価格帯:30〜70万円台

・初代B5 および歴代80

190シリーズ(W201型)や2代目3シリーズ(E30型)は、今やヤングタイマー車として人気が高く、中古車市場で台数も思いの外多く、価格も高めだ。しかし、初代A4(B5)、さらにはその前の80になると、かなりアンテナを張って探さないと出てこない。大手中古車検索サイトでは、もはや初代A4の姿はなく、80が1台掲載されるのみである。

大手中古車検索サイトの掲載台数:1台
平均価格:?万円
最多価格帯:30万円〜80万円

この記事を書いた人

遠藤イヅル

1971年生まれ。東京都在住。小さい頃からカーデザイナーに憧れ、文系大学を卒業するもカーデザイン専門学校に再入学。自動車メーカー系レース部門の会社でカーデザイナー/モデラーとして勤務。その後数社でデザイナー/ディレクターとして働き、独立してイラストレーター/ライターとなった。現在自動車雑誌、男性誌などで多数連載を持つ。イラストは基本的にアナログで、デザイナー時代に愛用したコピックマーカーを用いる。自動車全般に膨大な知識を持つが、中でも大衆車、実用車、商用車を好み、フランス車には特に詳しい。

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2021/06/11 12:00

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