【詳細解説】ミドルクラスのベンチマーク的存在「メルセデス・ベンツ新型Cクラス」主役の座は 譲らない!

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以前に速報をお伝えした新型Cクラスが2月下旬、正式に発表された。2014年に登場した現行のCクラスは、セダンとワゴンを合わせて250万台以上、’82年の190から数えると累計販売台数は1050万台となるというベストセラー。今回の新型もミドルクラスのベンチマークになるのは約束されたようなものだ。

内外装や装備はSクラスに匹敵

メルセデスの車名の頭にアルファベットを置いて「○クラス」と正式にアナウンスされたのは初代Cクラスからだった。190の後継モデルを世に放つことになり、それを機会に車名を整理刷新してCクラスが誕生し、Eクラス/Sクラスとなった。でもいまになって思えば、車名変更の理由は将来的な車種の大幅拡充を見越していたからなのかもしれない。実際、いまではAやらBやら派生モデルのSUV各種など、昔に比べたらずいぶんと賑やかになった。ちなみに「CとEがあってDがないのはなぜか」については諸説あるものの「ディーゼルとの混同を避ける」という説の信憑性が高い。

ボディサイズは現行モデル比で、全長が+65mmの4751mm、全幅は+10mmの1820mm、全高は-9mmの1438mm、ホイールベースは+25mmの2865mmとなる。

190がW201、初代CクラスがW202、そして新型CクラスはW206なので、Cクラスとしては5代目にあたる。昨年に新型Sクラスが登場したばかりということもあって、内外装や装備に関してはSクラスのそれを踏襲している部分が多く、オンライン発表会をモニター画面で見る限りでは、サイズ感がいまひとつ正確に伝わってこないので、まるでSクラスを見ているようでもあった。

フロントデザインはついにアヴァンギャルド顔のみとなった新型Cクラス。セダンとワゴンの同時発表はCクラス史上初めてとなる。

実物は全高を除くすべての外寸が従来型よりも拡大している。箱を大きくすれば中身も大きくなるのは当たり前のことで、室内スペースも広くなっている。これは、Cクラス史上初めてセダンと同時発表されたワゴンでも同様だ。

インテリアは新型Sクラス同様に、メーターパネルとセンターディスプレイに分けられる。ほとんどの機能はタッチパネルで行うため機械式スイッチはハザードランプ程度。カラーヘッドアップディスプレイはオプションで用意される。エアコンの通風孔は航空機エンジンのナセルを連想させる新しいデザインを採用。

スタイリング以上にSクラスの雰囲気が漂うのはインテリアで、その原因がふたつの大きなディスプレイであることは確かである。メーターパネルは10.25インチか12.3インチかを選択可能、センターディスプレイは9.5インチのみだが、ドライバー側へ6度傾けられている点がSクラスとは異なる。MBUXなどは最新版にバージョンアップされていて、指紋認証機能なども装備されるいっぽうで、ARヘッドアップディスプレイや乗員個別の音声認識機能などはSクラスから降りてこなかったようである。

Sクラスと違うのは、ダッシュボードおよびセンターディスプレイがドライバーに向かってわずかに6度傾いて設置されることだ。

個人的に、新型Cクラスのトピックスは大きく分けて3つあると思っている。顔と心臓と足である。
新型Cクラスではすべてのグレードがスリーポインテッドスターをグリル内に配したいわゆる〝アヴァンギャルド顔〞となり、ボンネット先端部からスリーポインテッドスターが姿を消してしまった。オンラインのラウンドテーブルで担当者から「Cクラスは顧客年齢層が低いのでスポーティな印象にした」とその理由が語られたけれど、年齢層の高い自分なんかはちょっと残念に思ってしまうし、世界中の若年層は本当にスポーティ志向なのかとも疑ってしまう。せめてこれまで通り、〝顔〞の選択肢を残して欲しかった。

LED高性能ヘッドランプが標準装備だが、新型Sクラスで採用されたデジタルライトシステムがオプションとして用意される。

ディーゼル初のISGを搭載

Cクラスの心臓部であるエンジンはすべて電動化された。現時点ではガソリンもディーゼルも直列4気筒ターボのみで、排気量はガソリンが1.5L(C180/C200)と2L(C300)、ディーゼルが2L(C200d/C220d/C300d)。ガソリンの1.5Lとディーゼルはエンジンのマッピングの違いでグレードによって出力/トルクの差を付けている。そしてこれらすべてのエンジンはISG仕様となった。

エンジンはすべて直4モデルで、ガソリンのみならずディーゼルにもISGを採用した48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載する。

ISG仕様とはスターターとジェネレーターをひとつにしてトルクコンバータの代わりにエンジンとトランスミッション(新型Cクラスは全車9G-TRONIC)の間に置き、モーターとして駆動力をサポートしたりジェネレーターとして48Vバッテリーへの充電も行なう。発進時はモーターを使うので、アイドリングストップからでもスムーズな走り出しが可能だし、追い越し時などでもモーターがアシストする。新型SクラスのガソリンエンジンもISG仕様だが、CクラスのISG仕様には電動式スーパーチャージャはなく、過給はターボのみで行う。

ボディサイズの拡大とともに、前後席の居住スペースも拡大。後席ヘッドルームは先代比でセダンが+13mm、ワゴンで+11mm拡大。フロントシートにはマッサージ機能が、後席シートヒーターも装着可能となる。

さらに新型Cクラスにはプラグインハイブリッド仕様(C300e)も用意された。25.4kW/hのバッテリーによる航続距離は約100km。毎日の通勤や買い物はEVで、週末の遠出はエンジンとモーターで、という使い方が想定されているのだろう。EVモードでの最高速は140km/hだから高速道路も走れるし、55kWのDCチャージャであれば約30分で満充電できると公表されている。

EV航続距離を現行モデルの50kmから100kmに倍増させた同じ”L 4気筒エンジンを採用するプラグインハイブリッドモデルも用意。

プラットフォームには新型Sクラスと共にデビューした〝MRAII〞が採用されている。MRA系はエンジンを縦置きにする後輪駆動をベースにしたモデル用だが、同じプラットフォームだからといって、SクラスとCクラスのホイールベースやエンジンコンパートメントが同一というわけではない。生産技術/設計技術の向上により、プラットフォームという言葉は概念的なものになったようである。ただ、フロントが4リンク、リアがマルチリンクというサスペンションの形式は一緒である。

最新世代のMBUXをはじめ、新型Sクラスでも採用される数々の最先端テクノロジーによって、世界最高水準の安全性能と快適なドライビングを提供する。

従来型にはセグメント初となるエアサス仕様もあったが新型では姿を消している。「思ったほど需要がなかった」そうで、コンベンショナルな足周りとなった。ただし、C300eのリアサスのみエアサス仕様となっている(EQCも同様)。トランク下に置かれたバッテリーが重くても車高を一定に保つことがその目的と思われる。さらには、ついにCクラスにも後輪操舵が採用された。同位相/逆位相の切り替えは60km/hで、後輪の最大切れ角は2.5度。メルセデスはワイパーの払拭面積や空力のCd値など、局所的に異常なこだわりをみせる部分があって、最小回転半径もそのひとつである。「ボディが大きくなってもやるべきことはやっています」という、言い訳よりはむしろ彼らの執念のようなものさえ感じる。

新型Sクラスに採用された後輪操舵システムのリアアクスルステアリングはオプションで選択可能。後輪の最大切れ角は2.5度だ。

若年層をターゲットにした顔にしたのだから、足もスポーティなセッティングになっているかもしれないが、乗り味はおそらく従来型の延長線上にあるだろう。何を変えず、何を変えたのか。その選別と理由に個人的には興味がある。日本へは早ければ年内にも導入されるそうだ。

トランクスペース容量はセダンは変わらず455L、ワゴンのラゲッジスペース容量は、30L増えて490~1510Lを確保。

【Specification】メルセデス・ベンツ C200[C220dステーションワゴン]
■車両本体価格(税込)=ー円
■全長×全幅×全高=4751×1820×1438[4751×1820×1455]mm
■ホイールベース=2865mm
■トレッド=(前)1582[1645]、(後)1594[1670]mm
■エンジン種類=直4DOHC16V+ターボ
■総排気量=1496[1992]cc
■最高出力=204ps(150kW)/5800-6100[200ps(147kW)/4200
■最大トルク=300Nm(30.6kg-m)/1800-4000rpm[440Nm(44.8kg-m)/1800-2800rpm]
■トランスミッション形式=9速AT
■サスペンション形式=(前)4リンク/コイル、(後)マルチリンク/コイル

ルボラン2021年月5号より転載

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