【比較試乗】「ポルシェ911カレラ vs 911カレラS vs 911カレラ4カブリオレ vs 911ターボSカブリオレ」最良の911はどの911?

ポルシェ 911 カレラ4 カブリオレ

【あえて「911カレラ4カブリオレ」を選ぶワケ】

911の動的本質は確保されたまま、気軽にオープンドライブまで楽しめる。ーーー渡辺敏史

そもそもパフォーマンス面でもモード面でも競争激しいスポーツカーのカテゴリーで、なぜ911はここまで長く人気を保ち続けることが出来たのだろうか。

Porsche 911 Carrera4 Cabriolet

動力性能水準の著しい向上に伴いスタンスを前後左右に広げてはきたものの、基本的には小さく軽くあろうとする姿勢も然り。頑なに拘るリアエンジンレイアウトがゆえの実用的なパッケージングも然り。気負わず毎日乗れるという柔軟性こそが356世代から続くポルシェのクルマづくりの核心であり、それを最も長きに渡って実践しているのが911だからではないか。個人的にはそう思う。

Porsche 911 Carrera4 Cabriolet

その911は、1990年代の2ペダル化と水冷化によりその門戸が大そきく開かれたものとなった。996世代ではPSM、997世代ではPASMの採用などでリアエンジンにまつわる悪癖を気にならないレベルへと抑え込み、直近の991世代ではPDKの全面展開でもはや速ささえも2ペダルの側に利があるほど機械的に洗練されている。もちろんクローズドコースの速度域ならば911らしい運転の作法も頭に入れておくべきだが、ワインディングを気持ちよく走るような用途であれば身構えるような要素はない。抱えるパフォーマンスと扱いやすさとのコントラストでいえば、変わらずライバルとは明確に一線を画している。

Porsche 911 Carrera4 Cabriolet/911カブリオレにはガラス製リアウインドーを備えた自動展開式のファブリック製コンバーチブルトップが装備。

992世代ではその万能性に一層の磨きがかかり、今回試乗したターボSカブリオレなどは、全知全能という言葉が脳裏によぎるほどの存在と化している。運転していても余りの完璧さに呆れ笑いがこみ上げてくるほどで、強いて難癖をつければ可愛げがない。

とはいえ、911を趣味と実用の完璧なる融合体として乗ろうというのなら、今や四駆は選ぶに越したことはないものだ。個人的には素のカレラの爽快感に惹かれるが、カレラ4のそれはターボS同様、転ばぬ先の杖だけではなく、スポーツドライビングにも積極的に関与するデバイスだ。

Porsche 911 Carrera4 Cabriolet/開閉に要する時間はいずれも12秒、速度が50km/hまでなら走行中でも開閉が可能だ。

ちなみにオープンボディにまつわるネガは991世代辺りからはほぼ無視できる状況になっている。ワインディングを走る程度では剛性不足など微塵も感じさせないし、普通に乗れども遮音や耐候でクーペに対しての見劣りは殆どない。911の動的本質は確保されたまま、気軽にオープンドライブまで楽しめる。このパッケージなら、スポーツカーと暮らす歓びをしこたま味わい尽くせるだろう。

【このオプションがオススメ】ダークパルダオインテリア
992は内装の造形が空冷時代のそれに近づいたこともあり、クラシックなトリムがよく似合うようになった。アルミとウッドのコンビとなるダークパルダオインテリアは質感も高く主張も控えめでお勧めできる加飾だ。

ポルシェ 911 ターボS カブリオレ

【あえて「911ターボSカブリオレ」を選ぶワケ】

ビッグトルクを受け止める911最強の技術がそこにある。ーーー清水和夫

今日はバレンタインディ。毎年、銀座のクラブのあるお姉さんから、ポルシェの形をしたチョコをもらっている。彼女はおじさんのポルシェ・ターボに乗せてもらったことがあり、その時の印象が忘れないらしい。気絶するくらいの加速にすっかりとポルシェファンになったのだ。その後、自ら赤いボクスターを乗りこなすようになったという粋なお姉さんの話である。

Porsche 911 Turbo S Cabriolet

実は、私も1980年代後半に某タイヤメーカーのポルシェ向け承認タイヤのテストで、ドイツのニュルブルクリンクを走ったことがあった。初めてのニュルテストが930ターボ。4速MTなので3ペダルだが、オルガン式のアクセルとブレーキの間隔が離れていて、トゥ&ヒールのテクニックが使えなくて難儀した記憶がある。ポルシェシンクロのギアボックスがターボのトルクに耐えられなくて4速MTを選んだのだ。

ポルシェ911ターボは、どの時代のモデルであっても、完璧なロードゴーイングのGTカーとして君臨してきた。以前、本誌の連載企画DSTで991型の911ターボと992型911カレラSと動的な性能を比較したことがあった。結果は、新型のカレラSが歯が立たないくらい911ターボは完璧だった。そのテストから2年が経ち、ついに最新の992型911ターボのステアリングを握ることができたのだ。

Porsche 911 Turbo S Cabriolet/911ターボSには、ポルシェ・セラミックコンポジットブレーキ(PCCB)が標準装備される。

新型ポルシェ・ターボで富士スピードウェイで走ると、ストレートの後半ではメーター読み300km/hに達する。こんな速いGTカーは、コストを考えると他にない。3.8Lターボはマクラーレンやフェラーリと同じ排気量だが、ポルシェはV8ではなくフラット6。気筒数が少ない分、エンジンのフリクションが少ないから、エンジンのレスポンスは有利だ。しかもピストンが向き合い、ボクシングのように動くことでお互いの振動を打ち消すから、正直にいうとV8ターボよりも上質なのだ。

ポルシェ好きのクラブに呼ばれてスピーチすることがあるが、「空冷水冷問わず、911乗りはターボを知らずして死ねない」と言っている。ビッグトルクを受け止めるシャシーやブレーキは911最強の技術がそこにあるからだ。

Porsche 911 Turbo S Cabriolet/ポルシェアクティブ エアロダイナミクスシステム(PAA)などの強化されたエアロダイナミクスシステムによって、あらゆる状況で空力を効果的にコントロールする。

今回試乗したのはターボSカブリオレだが、能ある鷹は爪を隠すという印象だ。ターボの魅力には満足しているが、念願のゴールド免許を取った私は、たまにサーキットに行った時に爪を出せばいいと思っている。

【このオプションがオススメ】オールシーズンタイヤ
せっかくの4WDなので、純正のオールシーズンタイヤを装備したい。ポルシェ承認のウインタータイヤは、ドライの高速走行も満足できるし、ちょっとの雪なら走破できるはずだ。

ルボラン2021年4月号より転載

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2021/04/04 12:00

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